学びのサイクル【LIPT】
今日はわたしの仮説をお伝えします。
学びのスタイルに自己概念が関わっているのではないかと考え、経験をふりかえることに絡めて自分らしい学び方を見つけ出すまでの流れを学びのサイクル【LIPT】として考えてみました。
ぜひ最後までお読みください。
はじめに
あなたはこれまでどのように学んできましたか?
いつ、どこで、誰と、何を、どうやって、学んできたのでしょうか?
その経験から、自分なりの学び方が確立できていませんか?
多くの方は教育機関で学び、学校を卒業して社会に出ることでしょう。
そのため「学習する」というと次のような流れがあると考えられます。
まずは授業で講義を受けて知識や技術を「学ぶ」ことから始めます。
次は、例えばテストや資格取得の場面で、あるいはアルバイト先や学校以外の場所で、学んだことを「実践」します。
その結果、うまくいったりいかなかったりと、成果が目に見えて現れます。それをどう受け取りどう解釈するか「内省」(ふりかえり)をします。
そして自分なりにどうしたらよいかを考えます。よかったところは次も結果が出せるようにパターンを見出したり、改善すべきところは手直しをしたりと、自分だけの方法を考えます。つまり「理論化」するわけです。
わたしはこれを
・学習:Learning
・実践:Practice
・内省:Introspection
・理論化:Theory
の頭文字をとって【LPIT(リピット)】と呼ぶことにします。
このサイクルに沿って自分らしさに気づくことが、就転職活動の自己分析・職務経歴の整理に役立ち、かつ成長の糧になると考えています。
主にOFF-JTや教育機関などの講義を行ってから実践する学習方法を想定していますが、日常の些細な学習行動にも生かせる部分があるかもしれません。
ではこの1つひとつのステップを見ていきます。
1.学習:Learning
講義だけでなく、読書や問題演習などを含む、インプット全般を「学習」と捉えます。
漢字が読み書きできないのに作文を書くことはできませんし、数値の概念がないのに計算はできません。
ですので、まずは誰か(何か)から教わり、自分の知識として蓄えることから始めます。
このとき特に意識したいのが「何のために学ぶのか」という目的です。
「○○をするために△△という知識が必要だから、✕✕という方法で学ぶ」というように、目的がはっきりとしていればインプットの質も量も格段に向上します。
逆に「何のために覚えなければいけないの?」とよくわからないままインプットすると、すぐに忘れてしまうなんてことも。
できることなら、外から与えられる目的(外的動機)でなく、自分の意志で決めた目的(内的動機)が望ましいですね。知識の質も高まりますし、応用力として発揮できる可能性も高まります。
2.実践:Practice
学んだことを行動に移すこと、実際にやってみること、体験することなどを「実践」と捉えます。
例えば、公式な試験に挑んだり、職場で実際に仕事で行ったり、あるいは限りなく本番に近い環境でシミュレーションやロールプレイを行うこと(いわゆる通し稽古)などです。
実際にやってみると、学んだことが活かせてうまくいくこともあれば、学んだはずがすっかり忘れていて失敗してしまうこともあります。
試行錯誤という言葉のとおり、あれこれと学んだことを試してみて、その結果を受け止めることがこのステップです。
ここで気をつけたいのが、○○点しか取れなかった、成功/失敗だったという「結果だけですぐに判断しないこと」です。
その結果になったのは必ず原因があります。学んだことの何が効果的で、何が不足していたからその結果になったのかは、この後のステップで検証します。
すぐに成功/失敗という軸で判断したくなるところですが、それはグッとこらえてつぶさに結果を捉えます。
3.内省:Introspection
学び、実践した結果を受け止めて、検証する段階です。
客観的な事実を積み上げて検証することも大切ですが、もう一方でその結果をどのように受け止めているかという気持ちの面も大切にします。
それが「内省」です。
良かった/悪かったと考えがちですが、それは判断であり評価です。
例えば、あるテストで50点を取ったとします。
これは良かったですか?悪かったですか?
もしこの試験の平均点が90点だったとすれば、それは必要な学習ができていないという結果が見えてきます。
一方で平均点が30点だったとすれば、相当難しい試験だったにもかからわず平均よりもかなり上の点数を取れたということがわかります。
ですから客観的に検証するためには、結果だけでなく環境やそこに至った経緯なども含めて事実を積み上げることが大切です。
その一方で結果をどのように受け止めたかは、本人の捉え方が大きく影響します。
客観的には成功したと思えても本人はあまり「出来が良くなかった」と感じることもあるでしょうし、逆に失敗と思えてもそれは「よかった」と捉えることもあります。
わたしも以前チャレンジした試験に落ちてしまいましたが、その直後はショックで悔しかったことが忘れられません。でもその結果を受け止めて、自分にとって大切な経験だったと捉えられるようになってからは、むしろ不合格だったからこそいまの学びに役立っていると感じるようになりました。
気持ちの面での納得感が、結果の受け止め方を180度変えてくれたという貴重な体験になっています。
「自分はこの結果に対してどのように感じているか」
「そう思う根本的な理由は何か、どこにあるのか」
「沸き起こる感情は結果に対してか、それまでの過程も含めるのか」
「ふりかえってみて、どんな知識が役立ち、何が不足しているか」
そんな問いかけを自分自身に向けてみます。
ここで出てくる答えに対して、最初に設定した目的と今回の結果がどのようにつながっているかを、自分自身でじっくりと反芻します。
このステップは特に重要です。一人でできないときは信頼できる他者に話を聞いてもらって行うことをお勧めします。
4.理論化:Theory
このまでの経験を総括し、自分なりに「何をどうしたら学んだことが活かせるのか」という仮説を立てます。これを「理論化」と捉えます。
例えば、毎日10分欠かさずに問題を解くという方法で試験に臨み、結果として目標を大きく超える点数が取れたとします。
そこから「わたしは毎日少しずつ続ける方が合っているかも」という仮説が見えてきます。
そうしたらその仮説に沿ってまた新たに学びからスタートします。
その結果、順調に点数が伸びればその仮説は正しい可能性が出てきますし、他のチャレンジでも結果が出続ければ、自分の理論として確立できます。
つまり「自分に合った勉強方法」が見つけられたわけです。
逆に結果が伸び悩んだり、他では通用しなかった場合などは、仮説に何らかの見落としがあったということがわかります。
それもまた「この勉強方法は自分に合っていない」という気づきが得られます。
こうしてLIPTサイクルで試行錯誤を繰り返し、自分のスタイルを作り上げていく―――というのが、現段階でわたしが考えている学習サイクルの理論です。
これは「わたしらしい学び方」という学習スタイルを構築するというイメージが元になっています。幼保・小・中・高・大短専と学び続ける中で、自分に適した学び方が身についていくのではと考えています。
最後に
LIPTの成果がもっとも発揮されるのは、社会に出てからです。
社会ではあらゆる課題を解決するために、様々な知識や技術を組み合わせて挑んでいきます。当然、学校で習っていないこともたくさんあり、新たにインプットが求められる場面も多くあります。そのときに、「わたしらしい学び方」が理論として身についていれば、より早く解決に向けて取り掛かれると思っています。
「何のために学ぶのか」
「どんな自分であるために学ぶのか」
「自分らしさとは何か」
そんな問いがこの学びのサイクルを支えています。
CDA・キャリアカウンセラー・キャリアコンサルタントとして学んできた『自己概念』という考え方が、学習にも生かされるのではないかというところからスタートしたこの理論。常に自問自答し、自分らしさを追い求めることが、学習にも生かせたらと思って仮説を提唱してみました。
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ご意見をいただけたらうれしいです。
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