見出し画像

茨木のり子さんの詩にハマりまして・・・

先日も『自分の感受性くらい』について書いたばかりです。


今日は「倚りかからず」より、『苦しみの日々 哀しみの日々』を取り上げてみます。


苦しみの日々 哀しみの日々

苦しみの日々
哀しみの日々
それはひとを少しは深くするだろう
わずか五ミリくらいではあろうけれど

さなかには心臓も凍結
息をするのさえ難しいほどだが
なんとか通り抜けたとき 初めて気付く
あれはみずからを養うに足る時間であったと

少しずつ 少しずつ深くなってゆけば
やがては解るようになるだろう
人の痛みも 柘榴のような傷口も
わかったとてどうなるものでもないけれど
(わからないよりはいいだろう)

苦しみに負けて
哀しみにひしがれて
とげとげのサボテンと化してしまうのは
ごめんである

受けとめるしかない
折々の小さな棘や 病でさえも
はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから

茨木のり子「倚りかからず」:ちくま文庫


ときに、悩みは成長の糧となります。

悩んでいる渦中は、「なぜわたしが」「どうしてこんなことに」と心の中は苦しみでいっぱいになるでしょう。

やがて(周囲の助けも含めて)徐々に悩みを乗り越えていったとき、ふと振り返ることがあります。

あれはみずからを養うに足る時間であったと

まさにこの言葉のように、よい経験だったと昇華することがあります。

わたしたちの表現では『自己概念の成長』といいます。


「そうか!そういうことなんだ!」

悩んでいた頃にはわからなかった新しいモノの見方・捉え方ができたとき、より強く成長を感じると思います。



はしゃぎや 浮かれのなかには
自己省察の要素は皆無なのだから

いまの、わたしの学びのテーマは『自己概念の揺らぎ』です。

自分の信じてきたモノの見方・捉え方がグラグラと揺らぐ・・・そこには、悩みがあります。悩むような経験があります。


もちろん、うれしくて悩むこともあります。


でも、大きく成長を感じられるのは、やはり悩みであることが多いのではないでしょうか。
悩んでいるときほど、大きく揺らぐのではないでしょうか。

揺らいでいるときこそ、自分を見つめるチャンスです。自己省察=内省のチャンスです。


そこに寄り添うのが、キャリアカウンセラーです。

だから「悩みを解決しようとし過ぎない」ことは、大切な心得です。

悩んでいる最中に、じっくりと自分を見つめ、自分の中にあるモノの見方・捉え方を味わってもらうことが、キャリアカウンセリングにおける大切な時間なんでしょう。

会長や理事長も「相談者に悩んでもらう」という表現を使われます。やはり悩むことを大切にされているからこその言葉だと思います。



あなたにとって、苦しみの日々 哀しみの日々はどのようなものですか?

いま一度振り返って、自己概念の成長を実感してみませんか?




明日も佳き日でありますように


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?