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1990年代後半のクラシックCDを思い出す

デフレだったんである。この時代、クラシックのCDがとにかく安かった。
NAXOSが1000円前半で、ArteNovaも1000円前半で新譜を発売していた。
再発ではなく新譜でこの値段なのだから驚いたし、芸術の安売りはどうかと思ったものの、思わずたくさん買ってしまったものだ。

ベーレンライター社刊行の新全集版を使用したベートーヴェンは当時話題になったので、覚えておられる方も多いのではないだろうか。
あの時、確か1200円くらいで手に入れて、家路を急いだ覚えがある。

今となっては4000円くらいする。

ベーレンライター社刊行の新全集版を使用したベートーヴェン

NAXOSではティントナーのブルックナーが良かった。

ジャケットも美しかったし、こだわりの版選択、虚飾のない演奏で、当時は大いに応援したものだ。


遅咲きのティントナーが遺した味わい深いブルックナー

病苦により自らの命を絶ってしまったことが、本当に悲しかった。
王道を歩んだヴァントのようには、いかなかったかもしれないが、立派な晩年のブルックナーには勇気をたくさんもらった。

いちば~ん最初にHMVで安売りされて度肝を抜かれたのはボールトのブラームスだった気がする。


ボールト翁のブラームス。いかにも廉価版というジャケットではあったが、、、

確か1000円もしなかった気がする。。まさに廉価版時代の夜明けだ!という気がしたものだ。

1番のソロはメニューインが友情出演したとのことで、そこだけ繰り返しきいたりした。ボールトは自分が成熟するまでブラームスはふらなかったのだとか。。

この時代、色々安く聞けてありがたかったのだが、反面粗製乱造だろう!と思う物も多かった。紙切れ1枚というジャケットもたくさんあったし、まったくすりきれたような音のCDもたくさんあった。

今となっては特殊な時代であったが、わくわくした面白い時代でもあった。

Youtubeも良いが、胸をときめかせてCDを買いに走った時代も、素敵な時代だったと思う。


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