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宮岡志衣
2019年10月2日 07:39
黒く暗い空気が音を立てて車を撫でる。11月の高速道路。18時を過ぎればば辺りはすっかり闇に包まれる。窓から見える無数の灯りはきらきらと輝いて空の星よりも強く大きく輝いていた。まるでその光が宝石箱のように美しく愛おしいものに見える。それがたちまち滲んでぼやけた。父の運転する白い車の一番うしろ。イヤホンをさして鼻をすする。奥の方がツンと痛くて目が熱い。嗚咽が小さく漏れた。前に座る母が何も言