素人がボードゲームを製作、販売する方法 〜ゲームマーケットで売れるゲーム〜
ゲームマーケットはボードゲーム製作者にとっては国内最大の超重要イベントで、例えば、2023春は22000人が参加しており、もの凄い影響力があります。ここで評価され、有名になったゲームも多数存在しており、製作者も当然に気合いが入ります。私自身も初めてゲームマーケット2023春に参加する際、どうすればたくさん売ることができるのか色々調べてみました。ただし、実績のある方々の販売戦略に感心させられただけで、時間不足、能力不足、資金不足により全く実践はできませんでした…。
購入の意思決定
ヒトがモノの購入に至るまでに、一般的に次の5つのステップを踏むと言われています。
①問題認識
②情報探索
③代替品の評価
④購買決定
⑤購買後の評価
ゲームマーケット来場者は入場料を払っているので①は明確です。しかし、例えばゲームマーケット2023春の参加者は出展された約900のゲームについて、②、③、④をとてつもないスピード感で実行しないといけなくなります。具体的には、気になるゲームをHPやカタログ等で事前にある程度チェックしておき、当日も会場を一周してある程度チェックし、その後チェックしたゲームの中から面白さや価格といった要素にて優劣を決め、予算の範囲に収まることを確認できて初めて購入に至るのだと思います。即ち、まずは「ある程度の選択」に残らない限り購入に至ることはありません。
勝負はゲームマーケット当日までについている
たくさん売った実績のあるほとんどの方がゲームマーケットまでの広告の重要性について記載していました。具体的には次のような内容を指します。
・ゲームの魅力を伝えるわかりやすい画像、動画を作成する。
・画像、動画、写真等をyoutube、インスタグラム、X、HP等に載せる。
・事前に試遊会を開き、そこでの意見や感想をゲムマ当日のセールストークに活かす。
・ゲームマーケットのブースのためにポスターを作成し、ブースのインテリアにも気を配る。
私のようにゲームマーケットの1週間前にギリギリ完成して、喜んでいる時点で問題外です…。上記のうち何とか実践できたのは写真をXに載せることと、ゲームマーケットのブログに遊び方を記載することのみでした。時間も能力もないことから、画像、動画作成について、プロにお願いすることも検討しましたが、ボードゲーム製作費を超えるようなコストになることがわかり断念しました…。
もちろん、ただ広告すれば良いのではなく、多数の作品の中から選択してもらえるようにゲーム名、テーマ、ゲームメカニクス等で「ん、何これ?」と思わせたり、ゲームマーケット当日他者が試遊している姿を見て「ん、何これ?」と興味を引かせることが重要になります。更に、その上でゲームマーケットの限られた時間内に面白いと判断してもらえるようなわかりやすさも必要になるのではないかと思いました。
とても浅い結論で申し訳ないですが、「十分な広告」✖️「面白い」✖️「目立つ」✖️「わかりやすい」✖️「妥当な価格」のゲームがゲームマーケットでは売れやすい傾向にあるのではないかと思います。もちろん、既に実績のあるゲームデザイナーや事前にしっかり広告活動ができ、独自のブランディングが確立されているのであれば、このような傾向に左右されずに売ることができるのだと思います。初出展の素人には難易度が高過ぎです…。
ちなみにゲームマーケット2023春で上記の条件に合致すると思ったのがマッシュスマッシュというボードゲームです。ただ目立っていただけでなく、デザイン、ストーリー、ゲームメカニクスの全てが素晴らしいと思いました。購入し、今も子供達のお気に入りです。
大事なのは購買後の評価
ゲームマーケットでの販売個数を重視し過ぎ、製作者の本当に製作したいものから離れてしまったり、ゲームマーケットで売れなかったというだけで自作ゲームにネガティブな印象をもってしまうのは不幸なことだと思います。
実績のない素人がボードゲームを継続的に販売していくためには、ゲームマーケット後も広告活動に注力し、時間をかけて流通ルートを増やしながら、在庫を抱え過ぎないように最適な生産数を意思決定していく方が理にかなっています。ゲームマーケットでの販売個数が多かった、少なかったではなく、購入や試遊してくれた方々一人一人の評価を大事にし、そのボードゲームに合った販売・流通ルート、広告戦略を模索したり、次のゲーム製作に活かす等、ゆっくり確実にファンを増やしていくことが重要だと思います。ゲームマーケットにはゲームメカニクスに詳しい方が多数参加していますので、少しわかりにくいゲームでも貴重なアドバイスをもらえる可能性があります。
私もゲームマーケット2023春に参加して以降、皆様のご意見や評価を基に動画作成やnoteでの記事作成を頑張っています。自分の中で広告と位置付けて作成したのが次の記事です。
動画でも画像でもなく、わかりやすさからはかけ離れた記事になっていますが、この記事のおかげでアブストラクトゲームに関する大変勉強になる記事とそのクリエイターに出会うことができました。また最近では、製作したUNOZERO(ウノゼロ)の公式戦ルールを検討することを目的に始めた将棋の歴史やAIの研究にハマってしまい、本来の目的から脱線して没頭しています。色々と面白い発見がありましたので、また記事にしていきたいと思っています。
最後に
ボードゲームはただ歴史が長いというだけでなく、現在、ゲーム理論の研究者の多くがノーベル経済学賞を受賞したり、AI研究に活かされていたり、知育・教育・会社研修等で注目されたり、マインドスポーツとしてオリンピックの正式種目化が検討されたりと、非常に奥が深く、幅が広い世界となっています。もちろんゲームマーケットでたくさん売れれば大変喜ばしいことですが、販売個数のみを気にする必要は全くないと思います。素人だからこそチャレンジできるエッジの利いた作品との出会いを楽しみにしています。
ゲームマーケット2023秋はスケジュールの都合がつきませんでしたが、2024春に参加できるように調整していますので、これからもよろしくお願いします。