「お金のマニュアル」 -損をしないコツ- 其ノ18 不動産編②
<リーマンショックがもたらした金余り-これからの東京は?>
特に、2008年のリーマンショック以降、主要国の中央銀行が大幅な金融緩和を断行したため金余りが顕著になり、行き場を失った投資資金が不動産に流れ込んだ。実は、これはロンドンだけの現象ではなく、ニューヨーク、ロサンゼルス、香港、シンガポール、シドニー、上海など主要な金融センターでも起きており、この20年で大幅な不動産価格の上昇が起きている。おそらく世界の主要都市の中で取り残されたのは東京だけ。
だが、最近東京の街を見渡すと日本人以外を見かけることが多くなっている。それもそのはず、日本政府は外国人観光客の誘致や海外労働力の導入、カジノの創設に東京オリンピックなど海外資本の導入に前向きとも取れる政策を推し進めているのだから。
オーストラリアの知り合いに「東京の不動産は買わないの?」と聞いてみたことがある。彼も東京の不動産が割安なのは認識していたが、非居住者に対する規制や、複雑な税制や手続で売買の流動性も低いので手を出さない、との事だった。裏を返せば、他の主要都市並みに規制を緩和すればそのポテンシャルは低くない、とも読める。
ロンドンの場合は中東など石油資本が大きな役割を果たしたが、日本では隣国に華僑大資本が控えており、同じような現象が起きる可能性がないとは言えない。
<Cash was King ? 次のサイクル>
様々な状況の違いもあるが、トレンドとして20年遅れで東京がロンドンを追随していくのではないかと個人的には思っている。確かに平成30年間、日本は不動産をはじめ異常なデフレ現象が続き、その間はひたすら現金を貯め込み、物や不動産を買わずに我慢してきた人々が勝者だった。
逆に多額の借金を抱えたダイエーや西武などは平成デフレの世に沈んだ。ただ、もう30年近く続いたサイクルもそろそろ別のサイクルに転じてもおかしくはない。デフレ時代の方程式に囚われて手元に現金ばかり保有していると手痛いしっぺ返しを食う可能性があることも指摘しておきたい。
ベネズエラの話を思い出して欲しい。日本は経済大国なのであそこまで極端な事はないにしても、いつまでも現金が王様( = Cash is King. マーケットでよく使われる慣用句。「お金」持ってるやつが強い、の意か?)の時代が続くわけではない。実際、いろいろなものが値上がりしていて皆不快になっていないだろうか? バブル時代を羨ましがる若者もいるようだが、当時も同様にいろいろな物の値上がりが激しく生活は決して楽ではなかった。
また、この点も後述するが政府の意向も併せて考えると、デフレは既に終了して別の局面に入った可能性が高いと考えている。
其ノ19は不動産編③。「パンプキンショック」やサブリース問題などの考察も加えて。