遂に「マイナスCPI国家」として "取り残された国” 日本。
本日(6/15)欧州時間早朝に発表された5月のドイツ、フランス、イタリアのCPI ↓(消費者物価指数、年率):
ドイツ +2.5% (速報)+2.5%
フランス +1.4% (速報)+1.4%
イタリア +1.3% (速報)+1.3%
日本(6/17発表予定) (予想)▼0.7% (前月)▼0.4%
景気回復が脆弱で指標精度にも難があったギリシャと元来物価がバカ高いスイスのCPIがプラスに転じたので、先進国の中で晴れて日本だけが「マイナスCPI国家」として "取り残された”。インフレに苦しむブラジルやトルコ、レバノン、ベネズエラからは "羨望の眼差し" が向けられるだろう。
「預金が1,000兆円もあって物価がマイナスならさぞ生活は楽だろう」
外から日本はそう見えているに違いない。確かにデフォルトの際にある国々と比較すればある意味それは正しい。だがアメリカや中国、ドイツ、スイス等に比べて「物価が下がって暮らしやすい」とはとても言えない。
日本のCPIの問題については何度か指摘してきたのでここでの説明は省くが(興味のある方は2020.11.25.おかしいのは株価ではない、金利だ!! ↓ ご参照)根本的な問題は「生活実感」を反映していないことである。
巷からは「生活が苦しくなる一方」という怨嗟の声ばかり漏れ出てくる。それもそのはず、「生活費」が上昇する一方なのに賃金が上がっていない。経団連など経済団体はCPIを基準に「賃上げ」対応しているので「マイナスCPI」は「渡りに船」。低金利を維持したい財務省と利害が一致しているためにこんな "横暴" が20年以上も続いている。一種の「隠れ所得増税」だ。いい加減、日本人も気付くべき。
我慢に我慢を重ねてきた「生活民」だが(多額の借金なしに株や不動産を所有している一部の層を除いて)「基本的生活」を送れないほどの状況に追い込まれて不満が噴出。CPIもその一端だが「コロナ危機」がきっかけで、マイナンバー、DX(デジタルトランスフォーメーション)や医師会、保健所、ワクチン接種等等、今まで覆い隠されて来た "FACT" が露呈したのは今回の危機の ”功績” だろう。
日本のCPIについて「損切丸」的に提案するとすれば:
「 "財政健全化" について物価上昇率を加味した評価を加えること」
つまり「インフレ概念」を加味し「債務評価額」を変える。具体的には:
(条件)CPIは年率。現在の国家債務残高=1,200兆円
①CPI@▼0.7% → 「債務評価額」+8.4兆円
②CPI@+1.0% → 「債務評価額」▼12兆円減
インフレになれば「借金」は目減りするのだから、経済学的にも正当。 こうすれば金利の支払いを減らしても、元金部分の変動で吹き飛んでしまうので「マイナスCPI」の必要は薄れる。
元々日銀が@「+2%のインフレ目標」を掲げているのに、反対側で財務省が「低金利・増税」に固執しているのは「政策の矛盾」でしかなく「ポリシーミックス」は破綻している。結果、日本は活力が失われ、どんどん貧しくなってしまった。
まあ今からでも遅くない。どちらにしてもワクチン接種が進んで経済が正常化すれば、「人手不足問題」が噴出し人件費は上昇せざるを得ない。現状のコロナ対策同様、*後追いでは政策効果は半減し「コスト」が嵩むだけ。ここは一歩先を見据えた政策運営が効果的だ。そういう意味では「インフレ」を上手く利用して「借金」を "棒引き" にしてきたアメリカを見習った方が良いかもしれない。
*「コスト」として筆者が懸念しているのが日本国債(JGB)の市場流動性低下だ。このところまともな売買がほとんど成立していない。これでは商売にならないので、外資系はおろか三菱までもプライマリーディーラーの資格を返上してしまった。日銀(最新バランスシート@6/10 ↓ )の買い余力が途絶えた今、今後訪れるであろう金利上昇局面でショックを和らげる "クッション" がマーケットには無い。随分高く付くことになるだろう。
日経平均が上昇しても上がらない「円」も気掛かり。年初は@103.44だったので、対ドルでもう▼6.4%も「円」が目減りしている。これではいくら国内の株や不動産価格が上がっても台無し(それでも現・預金よりはマシ)。
「海外の観光客は日本が大好き!」
こんな宣伝文句に浮かれてはいけない。彼らが日本を旅行したいのは様々な値段が「安い」のが主因。昭和バブル時に日本人がこぞって海外旅行に出掛けたのと逆現象だ。このまま「間違った政策」を放置すれば、本当に "取り残された国” 日本になってしまう。「生活民」が起こす次の行動は「選挙」だろうか。それでも駄目なら「日はまた沈む」かもしれない...。
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