「貿易赤字」→「円安」→「貿易赤字」の "無限ループ" 。
参照: 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note
判っていても見る度に溜息が出てしまう。またも「貿易赤字」が▼2兆円を超える「円の垂れ流し」。「日本株式会社」は「仕入値」が上がり続けて赤字経営が続く商社のよう。
昔担当していた輸入商社の財務部長が言っていたが、商売の要は「仕入れ」。どんなに営業が頑張っても「仕入れ」が悪ければ儲からない。逆に言えば「仕入れ」さえ良ければ営業はさほど問題ではない。だから「仕入れ」には社内で指折りの優秀な社員が選ばれる、という。
この状況を反映してドル円は@150円に接近(10/20東京前場)。ただこれはもう通過点に過ぎない。
国で言えば財務省が「財務」、日銀が「資金繰り担当」、経済産業省が「営業」「仕入れ」の両方を担当していることになる。やはりエネルギー資源の「仕入れ」値の高騰が響いているわけだが、それでも1970年台の「オイルショック」以降、分散化を図ってきた効果は見られる。少なくとも極東の天然ガスに依存しすぎたヨーロッパよりは遙かにマシ。
それでも「財務」は借金の利息を減らす事にご執心で「仕入れ」の悪化は知らんぷり。挙げ句に「資金繰り担当」に自社社債(=国債)買入を命じるという ”禁じ手” を発動。これではいくら「営業」が頑張っても赤字は増え続け、株価(=「円」)は下がる一方だ。
「資金繰り担当」は1,000兆円もある「余剰金」(=国内預金)を使って自社社債を買い続けて来たがそろそろ限界。短期社債(=短期国債、FB)を発行してドルに換えた虎の子の100兆円(=外貨準備)を取り崩して自社株買い(=円買い介入)を始めた。
だが時既に遅し。「株価」(=「円」)の下落には歯止めがかからず、赤字になった分の「資金繰り」を外部(=海外投資家)に頼らなければいけなくなってきた。いずれ社債(=国債)は「株価」(=「円」)に見合った高い金利で発行されることになる。
14ヶ月連続の「貿易赤字」が続く「日本株式会社」現状はこんなところ。このままだと危険な "無限ループ" に陥り、いずれ借入コスト(=国債金利)の上昇は避けられない。既に「国債無制限買取オペ」で抑え込んでいる10年JGB以外の金利には上昇圧力がかかっている。
ではこの赤字会社を建て直すにはどうしたらいいのか。
1.「信用」の回復
まずは "社外" の疑心暗鬼を払拭するために自社の社債を「資金繰り部門」が大量に買う ”禁じ手” を止めること。「信用」を回復するには、まず「あるべき合理的な金利水準」に戻すことが先決。
2.仕入値の改善
これは株価=円の価値を戻す以外に方法はない。虎の子(100兆円のドル外準)を使って自社株買い(円買い介入)をしても根本的解決には至らない。借入コストの上昇を甘受しながら 1.「信用」を回復するのが近道。
3.無駄な支出の削減(財務健全化)
一見矛盾するが、借入コストの増加は社内の支出削減に大きく寄与する。タダ同然で「資金繰り」が回ってしまうと、どうしても財務規律が緩む。本来の金利コストを払ってこそ、自社の現状を把握できるようになる。
この辺の「再建」方法は、実は企業も国家も同じ。大事なのはスピード。時間が経てば経つほど赤字は膨らみ「株価」=「円」も借入コストも悪化が酷くなる。本来日本のような大企業には起き得ないが「昭和の成功」が慢心を生んでしまった。 "成功体験者" がまだまだトップに居座り続けている。
「損切丸」も58歳になってつくづく感じるが、 ”新しいモノ” への対応力が激しく落ちる。例えば学生時代に覚えた歌は一字一句覚えているのに、いざ新しい歌詞を覚えようと思ってもサッパリ頭に入ってこない(苦笑)。これが70代、80代ともなれば、どんなに地頭がいい人でも厳しい。8百万人の「団塊」が後期高齢者入り(=75歳)する今は「世代交代」のタイミングなのだろう。人間、やはり "引き際" が肝心だ。
日本のお米や果物などの輸出が増えたり、海外への就職希望が増えたりと、少しずつだが ”変化” の兆しも見える。国内企業も消費者も、人もモノも安く調達できるという「幻想」(願望?)から目を覚ます時。ドル円もおそらく@120円以下には戻るまい。
人口動態を考えると「人件費」上昇は世界的な趨勢であり、今の「インフレ」は一時的なコストプッシュなどではなく今後数年は続く。世界的な金利上昇はそのサイン。日本も「新時代」に備えたい。
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