「憧れのアメリカ」の終焉。ー「音楽」「映画」等のソフト産業の変遷と共に。
今回はマーケットから離れ、「音楽」「映画」等についての note. 。
小学校時代によく親に怒られていた「損切丸」。なけなしのお小遣いをはたいて「Jャンプ」「マGジン」「サンDー」「チャンPオン」など片っ端から週刊漫画誌を読み漁った。今や世界に誇る日本のソフトコンテンツとなった漫画・アニメだが、当時は*「害悪」扱い。まあ、大人より少年達の方が "先見の明" があったと言う事だろう。
これが「音楽」「映画」になると「憧れのアメリカ」が中心になる。
筆者が洋楽指向の事もあるが、1980~90年代はアメリカの音楽が日本を席巻した。「ベストHットUSA」なる番組も流行り、MイケルJャクソンのMV(ミュージックビデオ)が出る度に大きな話題になった。短編映画のような "Thriller" などこぞって見はまったものだ。
「映画」は何と言っても「ハリウッド」。邦画は一部のファンが行く程度で若者は見向きもしなかった。何しろ「お金」のかけ方が全然違う。「Dイハード」「Tーミネーター」等アクション・SF物は圧巻で、恐竜のCGには度肝を抜かれた。当時の「Gジラ」シリーズではとても対抗できなかった。
「ハリウッド映画」の主題歌には当然米国アーティストの曲がフィーチャーされ「憧れのアメリカ」が出来上がっていく。おそらくこの辺りアメリカは国家戦略として行っており、世界覇権へ大きく貢献したはずだ。
風向きが変わったのは「音楽」で言えば1980年代後半、ニルバーナに代表される「グランジ」ブームの頃からか(個人的には大好き)。「内向き指向」が強まり ”闇” を感じさせる音楽に変化。とても "世界向け" ではない。
筆者もここ10年、「ハリウッド映画」を見に行く機会がめっきり減った。相変わらず「お金」はかけているが、ほとんどは有名俳優の出演料に消え、50年以上前の「Mーベル」コミックの実写化ばかり。かつてのような「挑戦」する気概は失せ、はっきり言ってつまらない。
一方で見る機会が増えたのが「邦画」。結構面白くなっている。よく「芸術・文化は不況で育つ」と言われるが、「失われた30年」の苦しみが創造性を育んだのだろうか。他のアジア諸国と共に発想も面白く世界的にも評価が高まっている。日本ならジブリを中心としたアニメがその最たるものだ。
これは「音楽」も一緒。韓国のアーティストが米ビルボードチャート1位を取って話題になったが、今や "J-POP" もかなりレベルが高い。今の若手バンドの曲を良く聞くが、まず演奏技術が凄い。1曲中に複数回転調したり、「マニピュレーター」と呼ばれる自動演奏と生演奏を繋ぐ役割の人もいたりで、59歳のおじさんには正直何をやっているか見当がつかない。だが大分面白い事をやっているのはわかる(感心、感心)。
一方、現在の米ビルボードはラップ系のアーティストが席巻しており、やや偏りが強く「内向き指向」。とても "世界向け" とはいえない。
最早アメリカが中心ではないのではないか。
ハリウッドでは「中国」で儲けようとしている向きも多いが、これだけ「米中対立」が激しくなるとやりにくい。まして 「デフレ」の沼に落ちた中国。|損切丸 (note.com) では尚更だろう。
アメリカによる「世界覇権」は2001年の "9・11" で曲がり角を迎えたと筆者は考えている。無理にマーケットとこじつけるつもりもないが、こういう文化・芸術分野での「内向き指向」と無関係ではない。2016年の「トランプ大統領」誕生で決定的になったのが「憧れのアメリカ」の終焉である。選挙に負けたからといって大統領が国会議事堂を襲撃するようでは世も末だ。
自国礼賛はあまり好きではないが、漫画・アニメに加え、**最近では過去のニューミュージック系の邦楽が海外で見直されているようで、これだけ幅広くコンテンツが受け入れられるようだと、この国も捨てた物ではない。案外「日本の時代」がやってくるのでは、と密かに期待している。 ”ソフトパワー” は侮れない。この国が自信を取り戻すきっかけになるといい。