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ハンセン指数と人民元急落が告げる事。- マーケットからの ”メッセージ” 。

 参照: 逃げ出す「お金」。向かう先は...。|損切丸|note

 マーケットの関心が「ドル円」に集中する中、実はもう一つ注目を集めたのが今日(10/24)の香港ハンセン指数の▼1,000bps を超える暴落人民元も対ドルで安くなり、リーマンショック(2008年)以来の@7.2500を突破「日本円」同様、「お金」が逃げ出している

 理由は明白。「一強体制の確立」だ。これまでも「ゼロコロナ政策」等、経済を無視した政策を取ってきたが、今後はこれを止める術がなくなる時計の針を100年前に戻して「専制政治」を強化するのだから、欧米の「お金」が逃げ出すのは必定

 これでアジアの2大通貨「日本円」と「人民元」から「お金」が逃げ出す構図が決定的となっているが、実は共通点がある。「インフレ下の金融緩和政策」である。ある意味トルコと一緒だが、理由は微妙に異なる

 前稿.なぜ「円買い介入」は効かないのか? -「円」の需給からアプローチしてみる。|損切丸|note などでも触れたが、「無理」を押し通す日銀。- 日本国債(JGB)市場の "歪み" が意味するもの。|損切丸|note の理由は明々白々。「国債管理政策」即ち国債の利払いを減らす事だ。これを「財政健全化至上主義」と呼んで官僚の評価尺度としているようだが、「インフレ税」を払わされる国民はたまったものではない

 日本の「国富」↓(=家計や企業、政府等の各部門を合算し、土地や住宅、工場等の資産から負債を差し引いた総額)は2020年末時点で3,668兆円。これをドル換算すれば@115.07(2021年末)で31.8兆ドルだが、@150円なら24.5兆ドル▼7.3兆ドル(▼23%)も目減りしたことになる。輸入品の「値上げ」海外旅行費用の高騰もその結果に過ぎない。

 「勝ち組」は「円で借金している人」その代表が1,200兆円もの国債を発行している日本政府=財務省"価値" で見れば1,200兆円×23%≓276兆円も「回収」するという空前の大勝利で、まさに「インフレ税」

 一方中国の「国富」不動産高騰のお陰で2020年末に米国を逆転、e.g., ①中国120兆ドル(シェア23%)②アメリカ89兆ドル(17%)③日本35兆ドル(7%)世界首位に躍り出た。現象としては「東京23区でアメリカが2つ買える」などと浮かれていたどこかの国の「バブル」にも酷似するが、まあこれでつけ上がるな、という方が無理かもしれない。両国ともに有頂天になっていた時期にその後の「没落」の種が蒔かれていたことになる。

 中国が「金融緩和」を止められないのはこの不動産が不良債権化してしまったから大量の未完成マンションなどが収入を生まない「ゼロ・インカム資産」と化してしまい「借金」の「資金繰り」に追われている

 特に「土地の権利」入札で回していた地方財政は深刻で、巨額の「借金」を抱えいわゆる ”自転車操業” 。1年や2年でどうにかなるものではない。「一強」を確立した現政権がこの問題にまともに取り組むとは思えず、おそらく誰かを犠牲にする「徳政令」=「借金」帳消しを目論むだろう。ハンセン指数の下落はその事を反映しており「お金」の逃げ足は速い

 この局面、「お金」に甘い日本人はよくよく考えるべき。そうでなくても1,200兆円もの国債=「借金」で四苦八苦しているのに、淡い期待で中途半端に彼の国に資産を残すのは「お金」をくれてやる行為に等しい「家族でも ”お金” だけは別」と小さい頃教わったが、 ”情” で「お金」の判断をするのは危険。これは「投資」「相場」の世界もそう

 10/22、23毎日新聞:「日銀の金融緩和政策についてどう思いますか」①「見直すべきだ」55%②「続けるべきだ」22%③「分からない」22%

 メディア毎の ”バイアス” には気をつける必要があるが、現在M新聞は与党(K明党)寄り。このアンケートも政府内部の動きを反映している可能性がある。我慢強い日本人もさすがに▼300兆円近い「インフレ税」には耐え難くなってきた

 それは「国債管理政策」の肝、JGB市場にも現れてきている"串刺し" にされた10年国債金利をよそに、20~40年の超長期金利の上昇が激しい。 ↑  アンケート同様、まるでYCC(イールドカーブ・コントロール)など既存政策の変更を促しているように見える。

 筆者も「利上げ」が難しいのは理解している。だが「国債無制限・指値買取オペ」は明らかにやり過ぎだ。4/20に導入して以降「円安」は加速10年@0.25%に固執しなければ、 ”自然体” の金利は@0.72%近辺まで上がっていたはず。それを ”逃がし弁” にすればドル円はここまで急騰しなかった最近の "AIモデル" は精緻に出来ており、こういう "隙" は絶対逃さない

 「どうせヘッジファンドや "ハゲタカ" が儲けるために仕掛けている」

 「投機筋」という言い方にこういう "悪意" を感じるが、ヘッジファンド投資ファンドも実際に会えばそんな「悪の秘密結社」ではないことが判る。コンプライアンスも叫ばれて久しく、インサイダーなどもっての外市場の成熟度も増しており、「昭和」の「阪和興業」のように一人や二人で力任せに動かせるマーケットなどもはや存在しない数兆円単位の「円買い介入」の方がよほど「投機的」であり、それで「円高」に振れない相場が奇しくもその事実を証明している。

 今回の「介入」も海外ファンドをターゲットにしたようだが完全にお門違い。取引金額は大きいが、彼らはAIプログラムなどによる「投資モデル」に沿って売買を行っているだけ。意図的に相場を操縦しようとしてはいない。もう「パワーディール」の時代ではないのである。

 ハンセン指数もそうだが、「投機」などと蔑むより真摯にマーケットの声を聞くことが大事。そうすれば「失われた30年」は回避できたし、アメリカとの差はその点に尽きる国債市場が大荒れのイギリスのように "痛み" は伴うが、結局それが近道市場を歪めて「先延ばし」にすればするほどダメージは深刻になる今の日本と中国に向けられた "メッセージ" である。

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