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「円、どんどん売ります!」の免罪符。ー 世界的な「真性インフレ」下、「金融緩和」しているのはトルコと日本だけ。

 「@135円台も」なんて呑気な事を言っていたら、あっという間に@134円台目処どころか単なる ”通過点” になる蓋然性が高くなってきた。日本の "トルコ化" (?)|損切丸|note では、まあ5年ぐらい猶予があるかと "楽観" していたが、どうも3年ぐらいに短縮された感じである。

 クレディ・スイスの投資銀行部門が第二四半期赤字転落のニュースが伝えられているが、株価の調整でファンドも銀行も青息吐息。儲けネタを死に物狂いで探す中「円売り」は見逃せない。何しろ日銀総裁の "お墨付き" だ。

 エリート街道を驀進してきた "プライド"「金融緩和策」の "強弁" を繰り返しているが、現状のように世界的な「真性インフレ」が起きている中での「金融緩和策」強行は「円売り」の免罪符でしかない。このような "奇策" を取っているのはトルコと日本だけ

 何かと日銀、財務省との付き合いの長かった「損切丸」には、「金融緩和」の真の目的は「国債管理政策」、より具体的には国債利払いの減額にしか映らない。▼1%で▼10兆円の "節約" 。消費税@10%の年間税収が+20兆円程だから、その大きさは窺い知れよう。国内的にはそれでもいい。

 だがFXのようなグローバルマーケットでは通用しない本来「インフレ」を反映して上がるべき金利を「無制限国債買入オペ」のような一種の「介入」で押し留めた "歪み" がモロに「円安」という形で出た。言い換えれば「インフレの輸入」。政府はよく「投機的な動き」のようにコメントするがマーケットを舐めてはいけない*今の「円安」は非常に理に適った動き

 *全く正反対の理屈が働いたのが財務省・日銀による「円高介入」。 大規模介入政策の”歪み”。ー(例)「円売介入」における金利と為替の連関性。|損切丸|note で大量に買ったドルで米国債を購入したため金利が異常なレベルに低下「ドル売」圧力が「ドル金利低下」に転化された。丁度グリーンスパン元・FRB議長17回連続「利上げ」しても上がらない米国債金利を ”Conundrum” (謎)と言った時期に当たるが、日本、中国による大規模なドル買い介入がその大きな要因の1つだった。今回は逆に「無制限国債買入オペで無理に金利を低く抑えた結果が「円安」というメカニズム

 現・日銀総裁は典型的「団塊の世代」の一人で、長い間下の世代を抑えつけてきた。今回の「値上げ受容」発言が炎上したのも、「高給取りだから庶民生活を知らない」という点よりも(日銀総裁の役職で年収3,500万円は特別に高くはない)、おそらく「誤解を招いた」の部分。つまり「俺様は悪くない。理解できないお前らが悪い」ということ。「減点主義」の官僚組織の中で身に付いた処世術でもある。

 「全体の内容を無視したマスコミの悪意的切り取り」のように日銀を擁護する向きもあるが、一般国民を見下している事が透けて見えている。まあこれは「円高」「利下げ」「株高」「不動産神話」の「昭和の夢」が抜けない他の "団塊" 政治家、官僚、団体のトップにも同じ傾向なので、いわゆる「シルバーデモクラシー」の弊害。世代交代を急がないと このままでは「円」の「信用」がボロボロになる。|損切丸|note

 「円安」「インフレ」で日経平均の名目株価が上がっているうちはまだいい。だが「通貨安」は最終的に資産価格の下落を誘発する。それはトルコアルゼンチン、ベネズエラ、レバノン、パキスタン、スリランカ等等で見てきた "FACT" 。程度の問題はあるが、合理的な対策を講じないと事態が悪化するのが歴史の必然である。

 前首相への忖度なのかご本人の "プライド" なのかは判らないが、本来金融政策に総裁人事は何の関係もない。100歩譲って**「利上げ」する局面でないとしても「無制限国債買入オペ」は明らかにやり過ぎ。まさに「円売り」の免罪符であり「円安」が突っ走り始めたのはそこから。通常の国債買入オペを交えスピード調整しながら金利上昇を促すのが常道であり、そうすればここまで速いペースでFX相場は動かなかっただろう。

 **「利上げ」すると懐が痛むのは財務省だけではない日銀も500兆円を超える国債を抱えており、平均利回りは@0.20%そこそこ ↓ 。つまり短期金利を上げると銀行から預かる「当座預金」の金利が上がり、+1%でさっと年間▼5兆円損失が出る勘定。一種の ”自殺行為” だ。実は2021年央から段階的に国債買入を減らし 「お先に!」 ー 着々と進む日銀による「ステルス・テーパリング」。|損切丸|note してきたが、 ”バズーカ” の後始末 ー 「10年日本国債@0.25%無制限買取オペ」の深層。|損切丸|note にはまだまだ時間がかかる。

 マーケットの機先を制して総裁が任期途中で交代するような ”劇薬” を打てば+10円ぐらい戻すと思うが、 "プライド" が邪魔するだろう。だがマーケットは来年4月まで呑気に待ってはくれない。特に今は「血に飢えた狼」がウジャウジャしており非常に危険な状況。このまま135円、140円、145円と急激に「円安」が進めば今夏の参議院選挙にも影響する。

 「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」(日銀法第4条)

 時間を稼ぎたければ、せめて「無制限オペ」はやめるべきだが.…。日銀がどうするのか、見物である。


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