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「国境」を巡る「戦争」なんて...。ー "Society 5.0" 時代に思う。
たまたま娘が大学で情報系の授業を受けているので話をする機会があったが、今は "Society 5.0" なんだそうな。内閣府も関連資料や動画を公開しているが、「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムによって開かれる社会」のことらしい。50代後半の筆者にはまた付いていくのがやっとの代物が出てきた(苦笑)。
まず ”歴史的変遷” を追うと:
Society 1.0 狩猟
Society 2.0 農耕
Society 3.0 工業
Society 4.0 情報
Society 5.0 サイバー+フィジカル?
ふむ。一応世界史を習った者として、Society 3.0 ≓「産業革命」だな、とは気が付く。そして*4.0「情報化社会」→ 5.0「新しい社会」(?)。
*実際筆者の従事した「投資銀行」はまさに「情報産業」だった。鍵は "IT" (Information Technology)。筆者もEXCELでスプレッドシートを造り、リアルタイムの株、為替、金利のデータを取り込んだ。「金利裁定取引」などの歪みは一瞬で矯正されるため、システムの善し悪しが収益を左右する。1秒間に何万回も取引を繰り返すHFT(High Frequency Trades、高頻度取引)はその究極だが、最後は各社の端末が東証のシステムに何ミリ近いか、 "アナログ" な闘いになっていたのは何とも皮肉だ。
おさらいのために内閣府の図表をご紹介しておこう。↓
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これを見ていると「理想の社会」がおとずれて「皆が幸せ」になれそうだと "錯覚" する。だが実際は1.0~4.0まで「大変革」は何度もあったが「皆が幸せ」にはならなかった。いや、むしろ貧富の差は開いた。
実際今世界を震撼させているのは「国境を巡る戦争」だ。69歳の大統領とそれに加勢する同い年の主席 vs 73歳の大統領とそれに追随する64歳の首相の対決の構図。しかも前者は100年前(毛沢東)や300年前(ピョートル大帝)を「理想」として標榜しており、まるで時計の針を "Society 2.0" まで戻そうとしているかのようだ。
一体 "Society 5.0" はどこにいったのか(苦笑)
メタバース等のサイバー空間が物理的移動を補完すれば「国境」は余り意味を成さない。血みどろの闘いで「領土」を奪う事にどんな意義があるのか。58歳の筆者でさえ訳が分らないのに「Z世代」なら尚更。きっと「じいさん達の生き残り戦争」を冷ややかな目で見ているに違いない。世界を "横" に切れば国同士の闘いだが、"縦" に切ると「世代間闘争」にも見えてくる。
ただ1つ言えるのは、筆者は曲がりなりにも最も豊かな国の1つに属しているからこんな事が言えるのであって、**今も「インフレ」でまともな生活が営めない国々や人々には "絵空事" ということ。世界各地で暴動が頻発しており、世界一豊かなはずのアメリカでも銃乱射事件が相次いでいる。どうみても「理想の社会」とは程遠い。
**確かに産油国などエネルギー輸出国にとって「脱炭素」は ”死刑宣告” に等しく、今起きている戦争の根源はそこにある。「温暖化で地球が滅ぶ」などと叫んでみても、彼らにとっては "戯言" 。「10年後の理想」より「今日のパン」である。やはり「お金」の問題は避けて通れない。
「お金」でふと思うのは、国境を越える "Society 5.0" が実現した場合、「国」で括られた「法定通貨」やそれに付随する「金利」や「為替」はどうなるのだろう。その***前触れとしてビットコインなどの「仮想通貨」「暗号資産」が現れたのだろうが、現状は「利上げ」等によって「国家権益」に潰されている。これもやはり「既得権益」を巡る「世代間闘争」か。
***「ブロックチェーン」などの新技術は確実に金融市場に変革をもたらし「通貨」の概念も変わっていく。web 3.0 等も相まって「国境」をまたいだ、高速かつ高効率のマーケットが出現してくるはず。「投資」の概念も徐々に影響を受けるだろうから、こちらもアップデートが必要だ。
ただ今起きている戦争を見ていると「世代間の橋渡し」などは微塵も感じない。あるのは強烈な ”エゴ” だけ。独裁者の心理というのはなってみないと判らないが、おそらく「自分」が肥大化しすぎて「死に行く事」が受け入れられない。だから何かを成し遂げて「歴史に名を残したい」。端から見ていると馬鹿げているが、本人は真剣そのもの。「お金」同様、何にも代え難い ”価値” なのだろう。
まだ筆者も勉強不足なので取り留めの無い話になってしまったが、マーケットも人生も絶えず「変化」に自分自身を適合させていく努力は必要ということ。これが「リスク」の世界に20年以上身を置いて得た教訓でもある。人間50歳も超えると「新しい事」が吸収できなくなる(皆さんにも分る日が来ます。苦笑)が、取り残されて「姥捨山」に行きたくないなら頑張るしかない。事実、自戒も込めて「損切丸」を綴っているということもある。