「ルーブル」の ”リアル” 。
ニュース①:ドル建債務の一部についてルーブルで支払
ニュース②:ルーブルは1ドル=@81.16ルーブルを超えて上昇し、侵攻が始まる前日に当たる2/23の水準を回復
この2つのニュースを見て、何か違和感を感じないだろうか? そう:
「ルーブルが上昇しているのだから、@81.16でルーブルを売って買ったドルを返済に回せばいいじゃないか」
それからこう言う意見の人もいる:
「俺ならルーブルで受け取ってドルに換える。ルーブル高だから儲かる」
ところが現実はそうならない。
"うまい話" には「裏」がある。ー「ルーブル高」の "カラクリ" 。|損切丸|note
見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸|note
同じ様な説明を何度かしているので、くどいと思われる方はご容赦を。この辺りの為替の「キャッシュ・フロー」は繰り返し復習しないと "馴染まない" ので(経験談)敢えて書かせて頂いている。
実際には国内銀行は海外への「外貨売り・ルーブル買い」を禁じられており「外貨売り」は中銀に限定。「ルーブル」との交換レートは中銀の「言い値」で実質「固定レート」だ。ドル円のようなマーケットレートではない。
いくらロイターやFX業者で@81.16と "画面表示" されても基本「ルーブル買い」の一方通行であり、*市場では取引されない "異常なルーブル高" 。当然そんなレートでドルやユーロを売ってくれる欧米の銀行も存在しない。
ニュース③:国内では砂糖が+47%高騰、洗剤(米国産)が@1,300円相当に値上がり
ニュース④:日本で買った中古車が入金待ちで輸出できず、港湾で足止め
これらのニュースもおかしい。ルーブルが "侵攻前" に戻しているのなら、輸入品価格も "侵攻前" に戻るはず。実際には輸出業者がドルや円の支払を要求してるのにドル/ルーブル@83.16では交換できない証拠。
つまり我々が認識している為替レートではないということ。 ”闇” の交換レートが1ドル=@130台(▼60%)のようだから ”リアル” はこれに近いのだろう。そうすると全て辻褄が合う。もっとも ”闇” レートでは供給量に制限があるので、中古車ぐらいの値段になると外貨調達も容易ではあるまい。
”ルーブルで代金を払え” = ”+60%割高の料金を払え”
こういう理屈になるわけで、まともな輸入業者が取り合うはずもない。まして「固定レート」を自由自在に変えられるとなれば尚更で、 "買えても売れないルーブル" など危なくて使えない。現状で「ルーブル建」の条件を飲むというのはそういうこと。「@83.16で売ればいいじゃないか」というのはいささか認識不足である。
通貨も商売も全て「信用」あってこそ。口を開けば "嘘" ばかりで、何をするかわからない相手とはどんな交渉も契約も成り立たない。「ルーブル」は現在そう見做されている。ドル/ルーブルの "画面レート" も一種の「フェイク」であり、 ”リアル” は別に存在する。
しかし、いわゆる ”レッド・チーム” に共通する「自分の悪事を相手に転化するレトリック(詭弁)」、e.g. 自分の捏造→ 相手の捏造、「内政干渉」はするが受け付けない etc. 、そんな思考回路があるのかと、お人好しの日本人としては半ば感心してしまう。欧米では良くディベート(論戦)のトレーニングをするというが、こういう ”レッド・レトリック” の対処方も学習するのだろうか(苦笑)。
しかし「フェイク」とわかっていても画面上で「ルーブル高」になるのはイライラするし、ましてそれを「ルーブルが上昇」と書き立てるメディアや記事は不快でさえある。 ”レッド・レトリック” も相手にすまいと思ってもむらむらと湧き上がる怒りを抑えるのがやっと。まるでクレイマーや反社勢力の相手をするようで、感情のコントロールが難しい。
外交などで向き合えば本当に面倒くさい相手。できれば関わり合いになりたくないが、これがお隣に3カ国もあるのだから容易ではない。国ごとどこかへ引っ越せればいいのだが…(苦笑)。まあ "他人" は変えられないので、まずは "自分" のことをしっかりするしかない。「お金」の面ならまずは「円安」を何とかすることだ。短期的には日銀の責任は重い。