「映画ドラエモン月面探査記」からのメッセージ
おはようございます。アルキメデス岡本です。
さて、今回は「映画ドラエモン月面探査記」の感想を書きたいと思います。
ドラエモン映画といえば私の中では、子供の頃に観た「ドラえもん のび太の魔界大冒険」が傑作だと思いますが、この映画もそれと同じくらい面白かったです。
■解説
原案はてんとう虫コミックス『ドラえもん』23巻収録作品「異説クラブメンバーズバッジ」。アニメ第2作2期としては初の3年連続のオリジナル作品となる。脚本を女流作家が単独で担当するのはシリーズ初となり、主要ゲストキャラクターが転校生かつ宇宙人というプロットや、作中の季節が秋に設定されているのも大きな特徴となっている。
本作で脚本を務めた辻村は2013年にも藤子プロから脚本のオファーを受けていたがプレッシャーを感じ一度辞退している。しかしその後も藤子プロ、むぎわらしんたろう、映画スタッフとの交流を深めていくうちにバトンを受け取る覚悟が出来たという。
監督の八鍬は本作のテーマの一つを「想像力の大切さ」としており、「異説クラブメンバーズバッジは人間の想像力を象徴するようなひみつ道具」「『ドラえもん』もやっぱりのび太くんの想像力であったり、子どもたちの想像力を形にしている作品なので。『ドラえもん』の核心に迫るテーマを描けるんじゃないかと思って取り組みました」と語っている。
■あらすじ
月面探査機なよたけが月で謎の動く影を撮影したとニュースになる。のび太は「月のウサギだ」と言い、みんなの笑いものになる。それを聞いたドラえもんは異説クラブメンバーズバッジで「月の裏は空気があり生き物が住んでいる」という異説を唱え、のび太とどこでもドアで異説の月に行く。
二人は月のクレーターにウサギ王国を建設。動物ねんどでウサギ型生物ムービットを作り、水や植物を増やす。のび太はジャイアン、スネ夫、しずか、そして転校生のルカにバッジをつけ、月の王国に行く。だがのび太がねんどで作り損ねたウサギ怪獣が巨大化して暴れだし、のび太はバッジを残して行方不明になってしまう。
ドラえもんたちは月の地下でのび太を発見。ルカは自分がカグヤ星のゴダール博士によって作られた人工生命体エスパルであると明かす。地下はエスパル11人が暮らすコロニーだった。のび太たちはルカたちと月面でカート遊びをするが、アルがエーテルの力で岩石を壊したのをきっかけにカグヤ星軍が攻めてくる。
のび太たちは命からがら地球に逃げ帰るが、ルカたちエスパルがさらわれ、どこでもドアが破壊されてしまう。地球についてきたモゾはルカが残した宇宙船に案内する。ルカたちを助けるため、のび太たちは決死の覚悟で、夜、家を抜け出し、ドラえもんが改造した宇宙船で地球を出発。ルカやノビットの機転で助かったルナとしずかを月に残し、カグヤ星を目指す。
■感想
のび太が唱えたうさぎ生存説はみんなにバカにされるが、異説クラブメンバーズバッチを使ってそれを現実化するのが面白い。
ウサギ王国の描かれ方も細かくてきちんと世界観が作り込まれている。
ドラエモン映画という子供向け映画でも、ここまできちんとロジックが構築されていると観ていて安心感があります。(ある映画と違って)
登場するキャラクターも個性的で可愛いくてお茶目でした。特に良かったのがカメのモゾ。
それと、予言能力があるアル。それぞれ物語の鍵になっていました。
ストーリーは至ってありがちな勧善懲悪なんですが、脚本がしっかりしていたので辻褄合わせが見事で、物語の中に自然と感情移入出来ました。数十年前のドラエモン映画と比べても、ドラエモンの世界観が壊されていなかったし、最後にはうるっとくる感動的な終わり方で観ていて気持ちよかったです。エンディング曲も映画と合っていて良かった。
若干、スターウォーズチックな演出が目立ちますが気にする程ではありませんでした。逆にレースシーンは没入感がありました。
作者の偏った思想や価値観の押し付けもないので、心が平和になったのと前向きな気持ちが湧いてきました。アニメ映画としてのパワーもあるし、きちんと善悪の対立軸があって子供向けとしてもオススメな映画です。
■メッセージに込められた意味
異説クラブバッチを出すくだりの中で印象深い言葉がありました。「定説は異説から出来たと」いう意図のセリフです。かつて地動説を唱えたガリレオも、異端審問の裁判にかけられてものび太のように自分を曲げませんでした。
のび太はその異説を信じて謎を解き明かそうとしますが、最終的にはその説を地球人に知らせる事はしませんでした。無理に自分達の発見を広めるのではなく、最後はエスパル達の自由意志に未来を委ねます。そして、エスパル達は自分達の超能力を自ら手放し、限りある生命体としての人生を選びます。
「科学が進歩しその力を支配する事にこだわれば、それは文明の発展を逆に妨げてしまう。」
この映画にはそんな深いメッセージが込められていたように思います。
さすが脚本のレベルが高いし、知性を感じる。表向きは子供向けアニメでも、大人にも考えさせる作りになっているし。子供達にもそれとなく大切なメッセージを伝えている。これこそがプロの仕事ですね。
ほなまたお会いしましょう。バイバイ~♪