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梅雨明け明け【超掌編】

梅雨が明けた。それからしばらくカレンダーが進んだ。同僚が「梅雨はダルいなあ」と今年も愚痴っていたのが今では少し懐かしい。今年も嫌がらせのように毎日雨を降らせ、前髪を湿らせ、気持ちを重たくさせる梅雨だった。そして、今年も終わった。そういうシステムであり、ルールなのだ。秩序なのだ。ギラつく陽光がビルに反射し地面の発熱と交わり、気温がピークになるオフィス街の14時。「あぁ、雨でも降らねえかなあ」と同僚が口にする。僕は相槌しそうになるのを我慢し、ハンカチで額の汗を拭った。

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狼だぬき
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