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女将、今までもこれからもまかない作りを続けます♡#自分にとって大切なこと


自分にとって大切なこと。このタイトルで描いてみよう。だって、簡単に書けそうだもん。

そう思って、記事を書き始めた。そして、数分でキーボードを打つ手が止まった。

自分にとって大切なもの? それって何だろう。

考えても考えても、全くうかんでこない。さあ、困った。どうしよう。

考えて考えて考えて・・・かなりの時間考えて、そしてこう思った。

長い間、ずーと続けていることこそが、きっと自分にとって一番大切なことなんじゃないか。

長い間、ずーと続けていること・・・・なんだろう???

しばらく、いやずーと考えていたら・・・あった。これだ。多分。

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1993年の春。「食」に全く興味のなかった私が、突如として飲食店の女将となった。

開業当時、私は、

飲食の女将になんて、なりたくてなったわけじゃない! 今まで勤めていた会社を辞めたくてやめたわけじゃない!!!仕方なく飲食店の女将になっただけだ!!!

と、常にそう思っていた。だから飲食業の女将であることを卑下していた。

私の周りの料理好きの友人からは、とにかくうらやましがられた。個人店でも店をもてるなんて、贅沢なことだ!と。

しかし、自分では、全く納得がいっていなかったし、むしろなんでそんなにうらやましいのか、その理由が全くわかっていなかった。まあ、今になると、本当に食に携わる仕事に就けて、幸せでしかないのだが。。。。

とにかく、開業前は、食の仕事にまったく興味がなかったし、ましてや経営なんて、全く無縁の生活だった。

私生活での食生活もそれはめちゃくちゃで、特にOL時代はひどいものだった。

朝食なんてカフェオレ一杯だけ。時折、トーストにバターを塗って、ひと口ふた口食べて、すぐ出勤。

昼ごはんといえば、社員食堂で、ががぁーとうどんかラーメンを口に流し込み、夜は、職場の仲間と繰り出した居酒屋で済ませるか、駅前のファストフード店でバーガー類で済ませるかのどちらかであった。

開業するとき、

マスターとアルバイトスタッフさん達に厨房仕事は任せて良い!女将は調理する必要なし。資金調達と集客活動、接客が女将の仕事!

と言われて、安易に開業に快諾してしまったが、実際開業してみると、そうも言っていられない。

料理もしたことがない新米女将は、商品としての料理を作ることをせざるを得ないのだ。料理嫌いの飲食店の女将が、お客様にご提供するお料理を調理する・・・

これって、案外大変なことなのだ。

そんな女将が、唯一、楽しんでいた調理作業・・・それは、まかないご飯作り。

経費も売り上げもなぁーんにも考えず、目の前にある残り食材を使って、食べてもらいたいお料理を自分の味で作るのだから、それは楽しくて楽しくて仕方ない。

料理嫌いの女将は、まかないづくりを通して、料理が好きになっていった。

男子スタッフばかりの日は、生姜焼き定食っぽいもので。

女子スタッフばっかりの日は、見た目華やかに。

主婦の方が勤務してくれた日は、家庭でも作れるよう店の味を家庭の味にアレンジして。

寒い日には、おでんやお鍋料理。
蒸し暑い日には、さっぱりとしたソーメンと夏野菜たっぷりの副菜。
いいことがあったという報告を受けた日は、ごほうびご飯。
季節季節のイベントに合わせたご飯も作ったりした。

好き嫌いも受け入れてきた。葉物野菜が苦手なスタッフさんには、根菜類で料理を作り、肉が苦手なスタッフさんには、魚や豆腐でご飯作りをした。

失恋したり、受験や就活がうまくいかなかったスタッフさんには、具沢山のお粥を作ったり、スポーツをしているスタッフさんには、高タンパクで低カロリーを心がけた。

そうやって、もう28年。何人のスタッフさんにまかないゴハンを作ってきたのだろう。時はすぎて、もう数えられなくなっている。

コロナ禍になった今、時は過ぎても、やっぱりみんなに元気で過ごしてもらいたいと、私は今日もまかないゴハンを作り続けている。

昨年、何を思ったか、飲食店開業して27年目に調理師免許を取得した。28年前、料理が嫌いだった女将が、である。

マスターが調理師の資格を持っているので、私はいらないね・・・

なんて、ずーっと言っていたが、このコロナ禍でテイクアウトの注文も増え、まかないゴハン作り以外でも、調理をする機会が増えた。

お客様へのお料理を調理する作業が増えてきたので、やっと重い腰を上げて、調理師免許を取得したんです。

と、お客様には説明しているが、これは建前であることは、自分がよく知っている。

調理と栄養と食衛生をしっかり学んで、そしてまかないゴハンを作りしたいと思ったのだ!!

これが、女将である私の本音。

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「28年も個人経営の飲食店を営んでいると、店を閉めてしまおう・・・と思ったこと、ありますか?」

と、聞かれたことがあった。

私は、一度もない!だって、店を閉じてしまったら、まかないゴハンが作れなくなるから。

私が駅から少し離れた川沿いの住宅街で、こうやって今も飲食店を営み続けているわけは、多分、いや、絶対に、まかないゴハンを作るためだ。

そして、このまかないゴハンづくりが、私を女将でい続けさせてくれているのだ。

だから。
自分にとって大切なこと。

それは、自身の店の厨房で、まかないゴハン作りを続けることだ!

#自分にとって大切なこと

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