E173: ご一緒しませんか?
【連続投稿: 第93日目 ライランⅡ: 第4日目】
一昨日、こんな記事を書いた。
今から書くのは、時系列的に言うと、↑の記事のちょうど真ん中あたりで起こった出来事である。
2つをいっぺんに書くと、ややこしくなるので、
↑の記事では飛ばしたある出来事を、今日は書こうと思っている。
私が、↑の記事にある「妙な応対をする受付女性」から書類を受け取り、MRI専用の待合室に行ったときのこと。
ちょうどMRIの部屋から出てきたご婦人がいた。
「お着替えを済ませられてから、受付に行ってくださいね」
そう説明されたご婦人は、なんだかぼんやりした顔をして、部屋を出ようとする。
(ああ、MRIで緊張して疲れたんだな)
その時はそう思っていた。
それ以上、大して気にも止めず、こっちも疲れていたので目を閉じた。
1〜2分ぐらい経った後だろうか?
なんだかやたらカチャカチャガチャガチャ音がするので、そっちのほうに目をやった。
すると、さっきのご婦人が、(どう見てもその部屋違うよね?)と思われる部屋を、持っていた鍵でガチャガチャしている。
ハッとする。
ん?間違っているんじゃないか、もし鍵を開けるとしたら、さっき私も出てきたロッカーの方に行くべきではないか?
私はこの時点で、初めて、ご婦人がぼんやりしていた理由を察した。
あ、もしかして…この人…
これは手助けが必要ではないか?
そう思ったが、一患者の私が、勝手に声をかけるわけにもいかず、
ましてや、ひょっとしたら、彼女は本当にその部屋に行く必要があるのかもしれず、はてどうしようかと迷っている間に(といっても数秒だが)
異変を察知した病院のスタッフが、飛んできた。
ほっと胸を撫で下ろすと同時に、私は少し緊張した。
さて、このご婦人に、今飛んできた若い男性スタッフはなんと声をかけるだろうか…。
私はじっとその様子を見ていた。
すると、
彼は、ふわりと優しくご婦人の手を取り、
「よかったら、(ロッカーまで)ご一緒しませんか?」
…うわー、素敵だ!
かけた言葉が、予想外で、とても優しくて、
こちらまでうれしくなった。
私自身は、元来、とても気が利かない人間で
こういうとっさの時に、
「そこ、間違えてますよ」
みたいなことを、親切心で、良かれと思って、つい言ってしまいがちだ。
「あ、そこじゃありませんよ!」
と、声をかけても決して、間違いではない。
でも、彼はそうしなかった…。
かけた言葉、その時の所作、エスコートの仕方。
全部が完璧だった。
自分も、こうでありたいなと思った。
彼は病院で働くスタッフであり、こんな場面はいくらでもあるのかもしれない。
でも…
私はこのわずか数分前に、同じ病院の「ヘンなスタッフ」に遭遇している。笑
客観的に見ればすごくよくわかる。
他人の事はよくわかる。
でも、残念ながら
私はとっさの時に適切な言動ができない。
まだまだ、の人間である。
後になって、
(そうそう、こんなふうにすればいいんだよね!)
と思うことだらけだ。
後からなら、なんとでも言える。
もうちょっと人間を、言葉を、磨きたいなぁ…
とっさの時に、どんな言葉が出てくるか
私自身はもう少し、修行が必要だなぁと思った。