見出し画像

泣きながら目を覚ました朝。私の中にまだ住んでいた高校生の頃の自分。

悲しい夢を見た。
目を覚まして夢だと分かっても、悲しい気持ちが抜けなくて、一緒に寝ていた猫のふさおの後頭部に顔を埋めて、しばらくべそべそと泣いた。

それは、友達の輪に入れてもらえず、ひとりぼっちになる夢だった。

こんな年になってもまだ「友達に裏切られる」「ひとりぼっちにされる」というのが、泣くほど悲しいのかとトラウマの根深さに驚いた。

─────────────

中高生の頃を振り返ると、いつも誰かの顔色を見ていたなと思う。

私は、クラスのいわゆる「ヒエラルキー」では、中の下の存在だった。

キラキラした上の人たちに憧れながらも、自分と同じぐらいの階層の人を探し、そこからはみ出さないように過ごしていた。

一応、仲の良い友達はいた。
高校では、同じ吹奏楽部の4人組。
そこが私の定位置だった。

「おそろいにしよ!」と言って、学生鞄につけるチャームを買ったりもしたし、お互いの家に泊まりに行ったりもしていた。
授業中に手紙を回したり、恋バナだってたくさんした。

だけど、嘘をつかれたこともあったし、他の子が私の悪口を言ってると聞いたこともあった。

休日に、私以外の3人で会っていたことを後から知ったこともあった。
逆に、私と他の子が内緒で出かけたこともあった。

思えばいつも、腹の探り合いだったのかもしれない。


そして、ある月曜日の朝、突然3人から無視された。

先週まで、普通に話をしていたのに、仲良くしていたはずなのに、何を言っても振り向いてもくれない。
ショックだったし「今日のお昼ご飯、誰と食べたら良いんだろう」と途方に暮れた。

私の高校では、お昼になったら仲の良いグループで机をくっつけて、お弁当を食べるスタイルだった。

もしそのグループからはじき出されたら、1人でお弁当を食べなきゃいけない。
それは私にとって、ものすごい恐怖だった。

その時は、他の友達が話を聞いて「そんな馬鹿な奴らは放っておけば良い!」と、グループに入れてくれて助かったけど、3人は私に見向きもしないで、楽しそうにお弁当を食べていた。

そのあと確か1週間ほどで、なんとなく和解はした。

だけど、中学の時にも似たようなことがあったし、他にも「ふと仲間はずれにされる」経験がいくつかあって(全部書いてたら明日になるから書かないけど)、多分「ひとりぼっちにされてしまう」という恐怖がずっとどこかに残っていた。

だから、あんな夢を見たんだと思う。

─────────────

それは、今親しくしている友人たちと、温泉にいる夢だった。

私は露天風呂に入って「後から行くね」と言った友達を待っていた。

待てど暮らせど、友達は来ない。
人が入ってくる気配を感じるたびに入口を見るけど、違う人ばかり。

なぜかその露天風呂は大混雑で、みんな友達や家族と入っていて楽しそうで、私だけがひとりだった。

しばらく待ったけど友達は見当たらない。
どうしたんだろうと部屋に戻ると、彼女は他の子たちと楽しげに話をしていた。

「なんだー、部屋にいたんだ。待ってたけど来なかったから」と、部屋の入口から彼女の背中に声をかけた。
本当はショックだったけど、なるべく平静を装って笑って声をかけた。

すると彼女は、一瞬振り返って面倒臭そうに「あーごめんねー」とだけ言って、また楽しそうにみんなと話し始めた。

私は入り口に立ち尽くして、みんなが楽しそうに話しているのを見ていた。
誰も振り向かないし、声もかけてくれない。

私だけがひとりだった。

「ずっと待ってたのに。さみしかったのに」それが言えなくて、夢の中の私はただただ立っていた。

そこで目が覚めた。

─────────────

今、現実で同じ状況になったら「ちょっと!ずっと待ってたのに!何してるのよ!のぼせるかと思ったわよ!」と笑いながら言えると思う。

それに、今周りにいる人は「うわー!ごめん!忘れてた!ごめんねー!!のぼせてない?大丈夫??!」と言ってくれると思う。

大人になって良かったし、良い人たちと出会えて本当に良かった。そう心から思う。


でも、あの頃の「ひとりでいることが悲しかった」経験があるから、何かしらの集まりで、ひとりになっている人を見つけると、つい声をかけてしまう。
「寂しくないかな?大丈夫かな?」そう思うから。

もうあんな思いは二度としたくないけど、もし少しでも誰かを救えているなら、あの経験は無駄じゃないのかなと思いたい。

あ、でも、ひとりでいるのが好きな人の場合は、声かけてごめんなさい(笑)
その時は「ひとりが好きだから大丈夫」と言っていただければ、笑顔で引き下がるのでどうか遠慮なく。

いいなと思ったら応援しよう!

オカダトモコ 旅が好きなライター / カメラマン
いただいたサポートは猫たちの養育費に使わせていただきます。ありがとうございます。猫たちがいるから生きてます。

この記事が参加している募集