意外と知らない〖お米〗の真実
最近小売店の店頭でお米が品切れ状態になっているといういうニュースをよく目にするので、一体何が起こっているのか調べてみました。
直接的な原因は昨年の猛暑により収穫量が減ったことと、時期的にあと3ヶ月ほどで新米を収穫する時期で在庫量が底になる時期が近付いているということですが、よく調べてみると政府、すなわち農水省の行政に起因する面が多々あります。
まず私はとにかく現在の小売りの現場を確認したいと思い、近くの2つの大手のスーパーに足を運んでみました。私の故郷は農家で、今までお米を買ったことも無ければ、スーパーのお米売り場をまじまじと観察したことはなかったので、新鮮な気持ちで状況を確認できました。
結果は2つのスーパーとも同じような状況で、5kgの袋の積まれ方から見て明らかに品薄であることは明らかでしたが、驚いたことが一つありました。「カルローズ」というアメリカ産のお米のコーナーが非常に広くとってありました。
最近はTPPなどの関係で外国産のお米が輸入されていることは聞いていましたが、政府の資料で国内の全販売量の4%程度と認識していたので、こんなに外国産のコーナーが大きいとは意外でした。しかも一つのスーパーは「カルローズ」だけが売り切れになっていました。
値段は「カルローズ」が5kgで税込1800円、国産米が一般的に2200円で、国産より約20%安く購入できます。
また外観は、写真でも分かるように、国産よりも色が白く、大きさは少し長い感じです。
また肝心の食感は、PR資料によりますと「あっさりとしてべとつかない」と表現していますが、実際に市販の炊飯器で炊いてみますと、水の量に敏感で、国産と同じ量ではどてっとした重みのある感じで、逆に5%から10%程度少なめにするとぱさぱさとしてしまいます。
さらに国産ですと収穫後1年経ったお米でも炊き立てはほんのりとおいしいご飯の香りが漂いますが、「カルローズ」はほとんど香りません。
したがって、「カルローズ」は値段は安いが品質は国産よりかなり劣るというのが私の評価です。
米農家の今後のあり方
私の予想では、今後はおそらく「カルローズ」のように、品質は少し劣るが値段の安いお米の輸入がさらに増えるものと考えています。そしてお米の自給率が更に低くなるものと考えられます。
もちろんこの原因は一にも二にも政策の失敗に起因しますが、国民は田んぼの地形だとか、農家の高齢化が原因だと考えています。この言い訳は農水省が自分たちの失敗を隠すためにそのように国民を洗脳しているからでもあります。
日本の山間部の地形では田んぼはどうしても小さく曲線の多い形状になってしまいます。そんな中、農民は頭の悪い役人の「効率重視」の稲作を求められ、高い機械を買わされて無理やり役人の考えに合わせるような稲作を強いられてきました。
一方では、農村を軽視し都会に資源と人を集中する政策を講じてきたため、ますます農村の過疎化が進み、気が付けば人口が減少し高齢化が進み廃業寸前の農家が大半となってきました。
最近では政府は他人事のように「限界集落」とか「消滅可能集落」とか言って何も手を打たない状態になっています。
本当は国民が選挙で政治家を選ぶわけですから、国民の頭の悪さ、勉強の無さが原因ですが、このような地方の過疎化の問題は今からでも改善は可能です。現実にロシアや中国などは、国家戦略の一番の課題は食の安全保障という意識から農業第一に取り組んでいます。
日本のように農林大臣と言えば「派閥順送りの人事」というような国は大国では存在しません。
「カルローズ」米でも見られるように、米国では向こうが見えないような広大な田んぼを開拓し、生産方式も「湛水直播」という、田植えを省略する生産方式を採用していますし、私の推測では種籾の開発も行っているのではないかと思います。
また、カリフォルニアのような雨の少ない地方で米を大量生産するなんて普通は考えられませんので、香りが無くてまずいのは水のせいだと、私は考えています。
さて、問題の価格面ですが、現在の農家が農協に供出する価格は5kgで約1250円と考えられますので、「カルローズ」の税抜末端価格は1650円ですから国産が負けるはずがありません!
最後に私が考える輸入品に負けない米作り、さらに大きく捉えれば農家のあり方についてまとめます。
(1)「カルローズ」すなわち輸入米を単に日本人の空腹を満たすお米として捉えるのではなく、稲作を兼業農家や兼業社会を形成するための一つの要素として捉えて地域全体の共生を図ることが重要です。すなわち地域が自律化し豊かさを感じる社会を目指すことです。
(2)お米の生産方式については、いわゆる大量生産方式を目指すのではなく、中山間地の特徴を生かした小農を目指し、そのために必要な技術開発、また、生産財の調達や活用システムの再構築等を果敢に進める。
例えばいま私が勧めているのは「乾田直播」の実験で、今年中には何とか目途をつけたいと考えています。
(3)お米の流通については、農家と消費者の直結を基本とし、従来の中間業務の省力化や物流の改善を図る。また改善に当たっては、最新のIT技術をフルに活用する。
(4)今までの農業は「補助金」という餌につられながら、主に「お上の言う通り」運営してきましたが、お上によって農民の多くが廃業に追い込まれる様子に直面し、もはやお上に頼っていては命まで取られてしまうということが解ってきました。
今後はお上の協力を得つつも「自律化」という基本を踏襲し生き抜いていく必要があります。また、各地域が金太郎飴にならず、それぞれの地域の個性を武器に他の地域と強調する活動を具体的に積極的に展開することです。
(5)最近農業の大量生産による弊害が顕著になってきたため、農業を取り巻く自然環境や農作物による健康被害が注目をあびてきました。
特に自然環境破壊の対策については、アグロエコロジーや協生農法など新しい概念の農業が見直されつつありますし、私自身はより積極的な健康対策として漢方的な要素を取り入れた農作物の導入を考えています。具体的には枸杞、どくだみ、アロエ、紫蘇など、いわゆる「医者いらず」の農業を目指しています。
これからは「地方から都会を変える時代」です。
農家の皆さん、また地方へのUターンやIターンを検討中の皆さん、共に頑張りましょう!