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ジョジョの奇妙なマネジメント〜カーズ様から学ぶ「心理的安全性」(前編)

コロナ影響で家にいることが多くなりついにhuluに加入、今更ながらジョジョを観はじめました。
原作は読めどアニメは初見だったのですが、え、めっちゃよくない?ジョジョのアニメめっちゃ格好よくない??溢れる原作リスペクト、アニメならではの躍動感と色彩、みんな鬼滅のあとにジョジョのアニメ観た方がいいよ、いやマジで。

2部も久々に観ました懐かしい、理系の夫が「ワムウが光の屈折で透明になるのは理論的におかしい」とか言い出してジョジョの魅力はそういうことじゃねえーッ!!とイラっときたりしばらくは夜に「シィィザーーーーァァァッ!!!!!」と叫んでから眠ることが日課になったりしましたが、今回はジョセフでもシーザーでもなく、カーズ様について語りたいと思います。

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※画像はすべて『集英社マンガ総集編シリーズ・ジョジョの奇妙な冒険 第2部 戦闘潮流 総集編・上および下巻』から抜粋させていただきます。

カーズ様とは?
2部のラスボス。約1万年前、どの生き物より強いけど太陽の光に当たると消滅してしまう「闇の一族」に生まれた天才。自分たちの未知なる能力を引き出すため、血を吸うことで生き物に不死身の能力をもたらす「石仮面」を独自開発。(※この石仮面から第1・3部ラスボスのDIOも誕生)

一族は「カーズは危険だ」と殺しにかかったけど、カーズ様は「あらゆる恐怖をなくしたいと思わないのかッ!」と激昂、逆に一族を皆殺しに。唯一の賛同者・エシディシと、何も知らない赤ん坊であるワムウとサンタナを連れて、全ての生き物の頂点に立つ究極の生命体になるために旅に出る。2千年周期で眠るけど、最近起きた。

太陽という唯一の弱点を克服するため、石仮面の能力を増幅させるなんかすごい宝石である「エイジャの赤石(せきせき)」をずっと探している。

要はカーズ様はエシディシとワムウというリーダー、そしてその下の石仮面で吸血鬼化させた雑魚たち100匹くらいのトップです。
(※サンタナはほぼ単独行動だったんで除外)

原作で読んでたときは何とも思っていなかったのですが
社会人も14年目の今、2部を観た率直な感想が
「カーズ様、マネジメント超うまくない?!」と。
私、カーズ様の下で全然働きたい。

最終的には考えるのをやめてしまったのが大変悔やまれるカーズ様ですが、本noteではカーズ様に学ぶマネジメントとは何かを考察していきたいと思います。
ちなみに以下、ネタバレしかしないので「これから観ます!」という方はご注意くださいね。一生観ないよ!という方も、これ読んでぜひジョジョに興味を持ってくださいね。

▼エイジャの赤石で完全な生命体になったカーズ様、小〜中学生男子の自由帳みたいで私はすごく好きです。

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1 : 部下の「心理的安全性」を担保する

エドモンド教授がTEDで提唱した「心理的安全性」。Google社でも取り入れられているとのことで一気によく聞くようになりました。
詳細はググっていただければと思いますが、以下の図をご参照ください。

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出典:Edmondson,A.C.(2008)"The Competitive Imperative of Learning,"HBS Centennial Issue. Harvard Business Review 86, nos. 7/8.より岡田作成

パフォーマンスの高い組織は右上の「学習」ゾーンにいると言われています。心理的安全性も高く、1人ひとりの責任(求められる仕事の水準)が高い組織です。

まずは縦軸の、心理的安全性からみていきましょう。

「心理的安全性」は、みんなが周囲の反応に怯えたり不安になることなく、素の自分を出していいし、思ったことを発言していいと思えるような組織状態のことです。
ここが低く、かつ与えられる責任も低いと「仕事なんてどーでもいいや、」とチームは「無関心」となります。
かといって低いのに仕事の責任だけ高くすると、恐怖に怯えながら仕事する「不安」状態になります。みんな怒られたくないので失敗を隠そうとして重大ミスが報告されなくなり、意見も言えないのでPDCAは回らなくなり、常に上司の顔色を伺って指示待ちとなって意思決定のスピードも遅くなるので、大変よくないですね。私もかつてこういう組織にいたことが……いやなんでもないです。

まずは「ここならありのままの自分になれる!」とエルサも安心の雰囲気を作らないと、人はのびのびと仕事ができません。

さて、カーズ様の組織はどうでしょうか。ここで初登場、2千年の眠りからカーズ様とエシディシとワムウが目覚めたときのシーンを思い出しましょう。
カーズ様がうっかりワムウの影に入ってしまったことで、ワムウが反射的にカーズ様を斬りつけます。

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私だったら「ふざけんなクソが」とワムウをぶった切ってしまいそうですが、そこは私の100倍優秀で100倍人間ができているカーズ様……寝起き1分にも関わらず、なんとワムウの個性を理解して許します。許すどころか「今のは自分が悪かった」と謝っているのです。
カーズ様はGoogle社よりも数千年早く、心理的安全性の高いチームづくりに取り組まれていらっしゃいました。


2-1 : 「テーマ(方針)」の中で部下に自由にやらせる

心理的安全性は「=とにかく相手を肯定して褒めればOK」とよく誤解されがちです。もう一度、先ほどの図を再掲いたします。

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ただ褒めるだけ・楽しいだけだと左上のコンフォートゾーン、つまりは「快適」なだけのぬるま湯の組織となってしまい、高いパフォーマンスは出せません。
心理的安全性は「責任(仕事の基準)の高さ」とセットで、その真価を発揮します。

適切に高い基準があった上で、みんながその達成のために仕事に前向きに取り組む。必要な意見はお互いにちゃんと言うしお互いに受け入れるし、知識やスキルは自ら意欲的に習得しようとする。ビジネスの観点では、そんな右上の「学習」状態が理想の組織であると言われております。

では、そのような組織はどうやって作るか……?社会人生活の中での経験を振り返って、以下が重要なのではないかと思っています。

「学習」状態をつくるためにマネジャーができること
① 組織の「テーマ(方針)」を明確に示す
② テーマの中で、部下にちょうどいい自由度で任せる

まずは①の「テーマ(方針)」について。Google社なんかだと、もう入り口の時点でめちゃくちゃに優秀な人を採用しているので、20%ルール(※)に代表されるように、もうとにかく自分自身でテーマを探してもらって、とにかく自由にやってもらうことがパフォーマンスを最大化させる方法なのでしょう。
※勤務時間のうち20%を、通常業務以外の仕事に使うことができる制度

が、恐らく普通の会社でそれをやったらほとんどの社員が潰れます。地図も道も一切ない険しい山で、何の説明もなく「じゃあ、頂上で集合な★」と言われているようなものです。
どこからどの方向を目指すのかの方針や、「まずはここを目指す」みたいな中間地点が必要になってくる。

そして②の「自由度」山の登り方は、それぞれのレベルに合わせて思い切って任せることです。
登山の実力がある人や、自由に景色を楽しんだり自分であれこれ工夫することが好きな人に、ガッチガチに全部道を指示してしまっては、本人は好奇心を削がれてどんどんやる気をなくします。
一方で登山経験が不足している人や、手順通りに正確にやることが得意な人に「自由でいいよ〜!」と言ってしまっては、強いストレスを感じてフリーズしてします。

例えば管理職などある程度の役職以上なら、会社の戦略の中でテーマから考えてもらう。
中堅〜ベテランの社員には、テーマを渡してその中で自由に考えてもらう。
若手社員には、テーマまでの道筋をさらに噛み砕いて具体的なHOWとして教える。……などなど。

例として役職と年次で書いてしまいましたが、そんなものは目安程度です。とにかく相手をよく見ながら、その人の個性とスキル・組織風土を鑑みて「何のテーマを」「どのくらいの自由度で」渡せば、その人のパフォーマンスを最大化できるのか?を考え抜くこと。
そして相手をよく見ながらですが、時には思い切って1段階上のテーマや自由度を任せることが、人材育成に繋がるのではないでしょうか。

そうすれば、1人ひとりが自分にあった自由度でやりがいのあるテーマを追いかけるフロー状態になり、自ら意欲的に学習して、パフォーマンスが最大化されるのではないかと思っています。

こちらを踏まえて、カーズ様のマネジメントをみてみましょう。
……というところで次回!後編では「カーズ様が設定したあのテーマ!  カーズ式マネジメントで華開くワムウ」「完璧な男、カーズ様に足りなかった唯一のアレ」の2本立てでお送りします。絶対見てくれよな!

▼後編はこちらから


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