旅館業許可の「寝具」と「ベッド(寝台)」とは?
2023/12/26(火)更新
「寝具」の定義
旅館業許可にいう「寝具」は、下記の定義を使うのが一般的です。
旅館業許可を管轄している自治体が定めている「旅館業法施行条例」で、
別途、規定されているものは少ないと思われます。
そのため、この定義を意識していれば、
大きく問題になることはないと思います。
「ベッド(寝台)」は、意外と大変です。
「ベッド(寝台)」の定義
旅館業許可(営業種別*:旅館・ホテル営業)では、
「ベッド(寝台)」の有無で、
最低限必要な客室の広さが、変わるため、重要な点になります。
まずは、定義を確認します。
旅館業法施行令では、「寝台」とあるだけです。
そのため、厚労省の解釈をみると「ベッド(寝台)」の定義は、
引用文章中に、カッコ書きで示されています。
ポイントは、「枠組構造」です。
この構造であれば、材質は、木、金属などで特段の限定はないです。
社会通念上、横臥に支障をきたさない強度があれば、OKです。
往々にして聞かれる質問で、
マットレスは寝台に該当しますか?
こちらは、一般的には「枠組構造」とは言えないため、
マットレスを置いただけでは、
「ベッド(寝台)」とは認めれられないことが多いです。
さらに、階層式寝台(2段ベッド)に関しては、
とあります。
こちらは、許可基準になりますので、最低限満たす必要があります。
なお、これは、旅館業法の規定で、
別途、火災予防条例などで消防法令により規定があることがあります。
「ベッド(寝台)」の有無〜旅館業許可の営業種別:旅館・ホテル営業〜
話を最初に戻すと、「ベッド(寝台)」の有無により、
旅館業許可の営業種別(旅館・ホテル営業)で、
必要となる客室の最低床面積(あり:9㎡、なし:7㎡)が、
変わってくるからです。
さらに、「ベッド(寝台)」がない場合、
別途、敷布団などを収納する収納場所を確保する必要があります。
下記の記事を、参照のこと。
旅館業許可でいう「ベッド(寝台)」の該当への有無が、
重要になってくるわけです。
そのため、旅館業許可申請書の添付書類「設備の構造を説明する書面」に、
「寝台の有無」として記載することになります
旅館業許可の申請後、保健所の現地確認がありますが、
その際、担当者が、「ベッド(寝台)」がある場合、
その構造を確かめるのもそのためです。
下記の流れで、検討することになります。
さらに、旅館業許可の場合、
旅館業の許可を管轄している自治体が定めている旅館業法施行条例とその細則を、確認する必要があります。
定義や解釈が、自治体ごとに、変わるためです。
そちらに、何も記載がなければ、上記のお話で済みます。
東京都台東区の場合
具体例を一つあげます。
こちらは、条例・細則で、「寝台」の規定をおいています。
「規則」で定めるとあるので、
東京都台東区の「寝台」は、
「宿泊者が宿泊中の移動及び収納を予定していないもの」になります。
「枠組構造」より、こちらの方が該当する範囲が広いと思われます。
マットレスも、移動や収納を予定していないもの(例:折りたたみ式ではない、床に置きベッドの代わりとして使用想定で作られている)であれば、「寝台」と判断される場合があります。
ただし、「原則として」の言葉がありますので、
個別具体で判断する含みを持たせています。
これらの判断は、主観(申請者の申告)と客観(保健所や社会通念上)から総合的なされることになります。
*旅館業許可は、3つの営業種別に分かれており、
営業種別ごとに、基準があります。
許可の申請は、営業種別を決めた上、おこないます。
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