最小の努力で最大の結果を出すための「3つのキーワード」
予備校で生徒さんを教えていると痛感するのが「がんばれ! という言葉って、すごく無力だなあ」ということです。
がんばりたいという気持ちはあるけど、がんばれない人がとても多い。
私は2010年に予備校を立ち上げ、いまは社会人向けの英語コーチングスクールを経営しています。
老若男女さまざまな生徒さんを見てきて思うのです。「がんばれない」のは、決して責められるべきことではありません。それは運動が苦手だったり、背が低かったりするのと同じ。ただの「個人の特性」です。
好きじゃないことや、単調なことに取り組むのがわりと得意な人がいる一方で、極端に苦手な人は確かに存在していて、それは「心持ち」のようなあいまいなことでは解決しないと思うのです。
そういう人に必要なのは「がんばれ!」という言葉ではなく、努力に頼らなくても結果を出せるような工夫だと思います。
今回はそんな「がんばれない人」が結果を出すための方法をまとめてみました。
勉強以外でも、人生のなかで普遍的に使える考え方です。
どうしてもがんばれなくて、夢や目標を諦めていた人に「これならチャレンジできるかも」と思ってもらえたら、とてもうれしいです。
最小の努力で最大の結果を出す方法
私が10年以上かけてたどり着いた「最小の努力で最大の結果を出す方法」。それは、次の3つのキーワードに集約されます。
「効率化」
「外注化」
「習慣化」
です。
効率化により、目標達成のためにやるべきことを整理して、ムダなことを極力やらないようにします。
やるべきことが決まったら、それを「自分でやるべきこと」と「自分でやらなくてもいいこと」に分けます。
自分でやらなくてもいいことは、外注化して手離れさせます。そして自分でやるべきことは、習慣化して無理なくやれるようにします。
この3つの原則をクリアすれば、実質、努力はほとんど必要なくなるのです。
イメージとしては、追い込み漁。どんどん魚のいる範囲を狭めていって、「ここぞ!」というところで一撃ですくい上げる感じです。
「いや、言うのは簡単だろうけどさ……」と思う人もいるかもしれませんが、大丈夫です。どのように実行すればいいか、詳しく解説していきます。
①「効率化」 ムダな努力はしなくてOK
効率化とは、やらなきゃいけないことの総量を減らすこと。
勉強というと大変なものをイメージするかもしれません。でも勉強とはシンプルにいえば「できない」が「できる」に変わること。そんな大変なものではないのです。
なにかを身につけるのは、それを人生に役立てるため。人生の役に立つ「武器」を手に入れると思えば、勉強もそんなに悪いものではありません。
役に立たなくても「学ぶ」という行為自体に意味がある、というのもたしかに正しい考え方です。ただ、それは学生の勉強か、もしくは大人が趣味でやる勉強の話。
「人生に役立てるため」の勉強は、思ったよりもずっとラクにすることができるのです。
目標に向かって最短距離をすすもう
ではどうやって、やらなきゃいけないことを減らすのか。
いちばん重要なのは「なんのためにそれをするのか?」という目標を、とことん細かくすることです。
目標があいまいなまま行動をはじめると、努力がムダになってしまう可能性があります。
たとえば「仕事に英語を使いたい」という目標。ハッキリしているようにも見えますが、これではまだ不十分です。
英語で、海外の人とミーティングやメールのやり取りをしたいのか?
それとも、英語のニュースや文献を読んで、情報収集がしたいのか?
それによってやるべきことは変わってきます。前者の場合は、英語を「話す・書く」ところまで習得しないといけません。しかし後者の場合は「聞く・読む」さえできればいいわけです。
もし後者の人が「仕事に英語が使えたらいいな」というあいまいな目標のまま、なんとなく英語の勉強を始めてしまったらーー?
本来は必要ないはずの英会話やライティングにも時間を使ってしまい、よけいに苦労することになります。
それを防ぐためにも、目標はできるだけ細かくしておきましょう。「なぜそれをするのか?」という目的と、「いつまでに、どうなりたいのか?」という期日を明確にするのがポイントです。
それは本当に自分でやるべきことなのか?
やることの総量を減らすために、もうひとつ重要なこと。
それは、目の前のタスクが「本当に自分でやるべきことなのか?」を見極めることです。
なんでもかんでも自分でやっていたら、目標を達成するのにとても時間がかかってしまいます。
たとえば、ダイエットで「ランニング」と「ヘルシーな料理」の両方が必要だとします。ランニングをしながら、同時に料理を作ることはできません。でも、どちらかを人に任せれば、同時進行でタスクをこなすことができます。
この場合、代わりに走ってもらっても意味がないので、料理のほうを人に任せるべきでしょう。誰かに作ってもらってもいいし、低カロリーな食事をコンビニなどで買うのも「任せる」方法のひとつです。
経営でもそうです。社長が社員に仕事を任せず、ずっと手を動かしている会社は、なかなか大きくなりません。
成功する人は、自分でやらなくてもいいタスクを、適切に人に任せているのです。
では「外注化」について詳しく見ていきましょう。
②「外注化」 ぜんぶ自分でやらなくてもOK
外注化とは、苦手なことや手が回らないことを、他者に任せること。
「人に頼るなんてズルい」「自分でやることに意味があるんだ」と思う人もいるかもしれません。
しかし「なんでも他人に頼らず1人でやらないといけない」というのは、思い込みです。
そもそも私たちは普段から、他人に助けられて生きています。電車や電気やガスを使えるのは、誰かが裏で支えてくれるおかげ。いまさら「他人に頼ってはダメだ」なんて、よく考えたらおかしな話です。
任せるのは「人」でなくても構いません。掃除をルンバに頼んだり、洗濯を乾燥機付き洗濯機に頼んだりするのも、立派な「外注」です。
いちばんローコストで安全な外注は「本」
これは勉強や仕事にも応用できます。いちばんローコストで安全な外注は「本」でしょう。
1,500円程度で、プロの知識や方法論を「外注」できるのです。あとは自分でやらないといけないわけですが、自力で方法を見つけようとするよりも、ずっと時間を短縮できます。
「どの本を買えばいいかわからない」というときも、人に頼りましょう。
英語なら「あの人、急にTOEICの点が上がったな」という人に、おすすめの参考書や、おすすめのスクールを聞けばいいのです。(英語ならうちのサービスもおすすめです)
成功している人や、その道のプロにとことん頼るのがポイントです。
外注で損をしないコツ
外注すると、人やモノやサービスに「投資」することになるので、損をするリスクも当然あります。
損をしないコツは「自分でやるよりコスパがいいかどうか」で判断することです。
たとえば自分とルンバ、どちらのほうが部屋をきれいに保てるか。
掃除がそんなに苦ではない人なら、ルンバ<自分となるので、外注しないほうがいいかもしれません。しかし、掃除がものすごく苦手だったり、忙しくて掃除の時間がとれない人なら、ルンバ>自分なので、ルンバへの投資はお得になります。
自分の不得意分野を外注すれば、基本的に損はしません。
「得意なこと」どうしを交換する
不得意なことを他者に任せると、自分は「得意なこと」「やるべきこと」に集中できます。すると、得られる価値は自然と大きくなっていくのです。
この世には「お金」を介して、価値を交換する仕組みがあります。
人よりも得意なことをやると、投下時間に対して効率よく価値を生みだせます。なるべくそこだけに集中することで、効率よく資産が増えていきます。
得意なことで生み出した価値(お金)を使って、自分の苦手なことを、それが得意な人やモノに任せる。
つまり外注とは「得意なこと」どうしの交換なのです。
任せる側は、やってもらってありがたい。任される側も、効率よく対価をもらえてありがたい。みんなが「得意なこと」に集中することで、お互いにwin-winな「任せる・任される」の関係ができます。世の中全体が豊かになっていくのです。
③「習慣化」 努力と感じずにやれればOK
目標が決まって、自分がやるべきことも決まった。そうしたら、基本的に「あとは淡々とこなすだけ」です。
どんなにすごいメソッドや方法論も、継続できなければ意味がありません。むしろ継続さえできれば、そんなに奇抜なメソッドなどは必要ないはずです。
毎日ちゃんと単語帳を見ていたら、ふつうは覚えられます。毎日ランニングを続ければ、ふつうは痩せるでしょう。
それができないから、みんな挫折するわけです。
努力感なく、淡々と継続する。そのために必要なのが「習慣化」です。
「意思」ではなく「仕組み」で継続する
意気揚々と勉強の計画を立てても、けっきょく挫折してしまう。
それは「やる気があるときの自分」を基準に計画を立てているからです。
いつどんなときもやる気に満ちあふれている人なんていません。「意思の力で自分を律する」なんて、基本的には不可能だと思ったほうがいいでしょう。
必要なのは、意思ではなく「仕組み」です。
たとえば唐揚げが大好物の人がいるとします。その人の前に唐揚げと漬物を置いたら、唐揚げを食べるのは当然です。この人に漬物を食べさせる方法は「唐揚げを置かない」ことしかありません。
「唐揚げを食べちゃダメだ」と自分を律するのではなく「仕組み」ごと変えて、自然と漬物を食べてしまうようにする。
勉強も同じです。「勉強しなきゃいけない」と気合を入れるのではなく、気づいたら単語帳を見ているような仕組みをつくるのです。
習慣化というのは、そういう「仕組み」をつくっていくことなんです。
習慣化のコツその1:行動のハードルを下げる
それでは習慣化のコツをいくつか教えます。
まずひとつめは「行動のハードルを下げる」ことです。
うちの予備校では、生徒に「自習室に毎日くるだけでもいいですよ」と伝えています。勉強してなくても、来るだけでいい。そうすることで、行動のハードルを下げているんです。
自宅で勉強する社会人の生徒さんには「単語帳を毎日ひらくだけでもいいです」と伝えています。
いきなり単語を覚えようとしなくていい。まずは「帰宅したら単語帳をひらく」だけでOKとします。それが難なくできるようになったら「ちょっと眺めてみる」「覚えようとしてみる」というふうに、徐々にハードルを上げていく。そうすると失敗しにくいのです。
習慣化のコツその2:環境を整える
「周りがみんな勉強してる」という環境を作っておくのも大切です。
これは「ピアプレッシャー」といって、仲間がいることで行動しやすくなる効果を利用しています。
社会人なら「勉強アカウント」で勉強仲間を見つけたり、友人や上司に目標を宣言することにも効果があると言われています。最近は友人とZoomをつないで「バーチャル自習室」をつくる人もいるそうです。
習慣化のコツその3:報酬系を刺激する
さらに「報酬系」を刺激するのは有効です。
報酬系とは「インセンティブ」があることで行動を誘発できる、脳の神経系です。
うちでは自習室にくると、ラジオ体操みたいにスタンプがもらえます。スタンプを集めると、賞品がもらえるんです。中高生なので、外国製の文房具なんかをあげると、すごく盛り上がります。
そうやって「自習室にくるといいことがある」と思えると、報酬系が刺激されて、継続しやすくなるのです。
社会人なら「単語帳を○ページ覚えたら、あのお菓子を食べてもいい」「参考書を○問解いたら、楽しみにしていたドラマを観ていい」などと、自分でインセンティブを決めるといいですよ。
習慣化のコツその4:「トリガー」を決める
最後は「トリガー」を決めることです。
「毎朝7時に勉強しよう」などと「時間」を決めるのは実はNG。それよりも「毎朝、歯磨き後に勉強する」などと、毎日やっている行動と、やるべきタスクをセットにするほうが継続できます。
これは習慣化の手法で「if-thenプラニング」というもの。「あれをやったら、これをする」というように、行動をセットで決めておくのです。
自習室に入ったら→単語帳をひらく。
電車に乗ったら→読書をする。
ズボンを履いたら→腹筋を10回する。
といったぐあいです。
習慣化のコツは、うちで運営するSTUDY HACKERというサイトにもたくさん載っているので、よかったら参考にしてみてください。
なんか、できるような気がしませんか?
どうでしょうか。私は自分で説明していて、なんか絶対できそうな気がしてきました。
やることは極力減らす。自然とやれる仕組みをつくる。どうしてもできないことは人に頼む。そうすれば、理論上ほぼ確実に成功します。
努力は「知恵の輪」のようなもので、力任せにやってもうまくいかないんです。あくまで戦略的に。「がんばったら負け」ぐらいに思っておくのがちょうどいいかもしれません。
最後に、私が会社員時代に聞いたなかでいちばん印象に残っていて、いまも大事にしている言葉をご紹介します。
「すぐする、すぐ済む」
です。
これはほんとに効きます。ほんとにすぐ済みますし、一歩進むだけで、先が見えることもあるあるです。
ぜひ、実践してみてもらえたらうれしいです。
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