【コラム】外国人シェフのマネをしてみたら盛り付けについてよく考えさせられた話
外国人のシェフはすごい。
何がすごいって、あんまり美味しそうじゃないのにすごいと思わせるところがすごい。
日本人の作る料理は、そういう観点から見ると、きっと美味しそうに見せるのが上手。
そりゃ、外国人で一括りにするのも、どっちがどうって分けてしまうのもナンセンスなのはわかってるんだけど、完全に個人的な感覚です。
ぼくはフランス料理の厨房で働いているんですが、日々のまかないや余り物を使って、盛り付けの練習がてら遊んでいます。
#octopus
ぼくがよく使うSNSはinstagramなんですが、#octopusと検索してしてみると、外国人シェフによる豪快なタコ料理が目に留まる。
いや、そんなタコの足一本まるまる食えんやろ!噛み千切れんやろ!あご疲れるやろ!その前にナイフで切れるんか?
と、まあ、厨房のみんなで諸々突っ込みながら笑ってたんですが、こんな性格のぼくは、実は、やりたかったんです。
あのまるまる一本のタコの足を使ったヒトサラ。
で、出来上がったのがこれ。
まあ。なんてお下品ですこと。しかも中途半端。こういうのは、思いっきりが大事。小馬鹿にしながらなんとなく見てても、意外とできないもんやなぁ。と、けっこう反省しました。
※決して食べ物を粗末になんてしてません。食べました。洗って。
日本人っぽい盛り付け
大反省会のかたわら、余ったタコはまかないと試作に回しました。
この日はちょうどぼくがまかない当番。
最近はこのご時世もあって、わりと率先してまかないを作っています。
そのまかないがこちら。
・鰆 炭焼き(完璧に火入れできてとっても上機嫌でした)
・なます(これは当日の朝食の余り物)
・たこ ぬた和え(タコが行き着いたところ)
・豚汁(これがまた美味しくできましてとっても(略))
・冷奴(これはさすがに買ったやつ。いつか作りたい)
・夏野菜 揚げ浸し(ちょっと醤油入れすぎた。反省)
・ごはん(練習がてら土鍋炊き。言わずもがなうまい)
こんなときだからこそ、料理人として本気のまかないを作って、楽しみながら勉強しています。大好評でした。
で、やっぱり盛り付けって大事。
基本的に、まかないはそれ用のお皿があって、ドカドカ持っていくスタイルなんですけど、ひとつずつ、丁寧にバランスとって置いていくだけで全然違う。大根おろしだってコロンと置いてみるだけでとってもコケティな感じ。
あと、うつわもめちゃくちゃ大事。
地元の焼き物や作家ものを最近好んで使ってますが、そのうつわに合わせた盛り付けを考えるようになるので、頭の体操みたいな感じ。
試作の話
ぼくが働いている厨房ではフレンチと言えども和食の要素がふんだんに取り入れられています。
で、まかないで作った蛸のぬた和えが、アミューズ(コース料理の前半で出される一品)として面白そうだったので、盛り付けしてみました。
桃の花なんか散らしてみちゃって。季節感もいい感じ。
うつわは地元の砥部焼で、龍泉窯の作品です。かっちょよい!
それと同時進行で料理長が作った蛸料理。
かっちょええ。。。
ちなみにこのみどり色のお皿は織部焼。ここぞってときに使うちょっぴりセレブな子。
厨房の若い子達に勧められて最近インスタデビューした料理長は、厨房の誰よりもフォロワーの伸び率が異常で、いいねの数もぼくらが驚く数字です。
俺たちの料理長、かっけぇって話でした。