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【永久保存版レシピ】旨味がすごい!バンズから作る『俺のハンバーガー』三つ星のまかないレシピ【第三話:実は主役級の超リッチなバンズの作り方の巻】
あなたは、海原雄山という男を知っているだろうか。
※このnoteは前回、前々回の続きです
海原雄山。
みんな大好き『美味しんぼ』の登場人物、主人公・山岡士郎の実の父であり、高級料亭『美食倶楽部』を主宰する美食家、さらには陶芸、書、絵画にも精通する芸術家。
作中において、この男がハンバーガーを食す場面があるんですけど、もう、食べる前からすごい。
それはもう親の仇とでも言わんばかりの言いがかりで、
『味覚音痴のアメリカ人が食べるあの忌まわしいハンバーガー』だとか、『こんな下卑た食べ物の食べ方はわからん』とか。
この回の話はですね、
美食倶楽部の若い料理人が、ハンバーガーショップを開くために独立するってところから始まります。
ランクの高い牛肉のパティを売りにしますが、なぜか不評で、漢、雄山にも『売り物にならん!』と言われる始末。
で、なんやかんやあって、ある要素を改良することで、最終的に雄山にも認められましたとさ。(手が汚れるから二度と出すな!と子分に怒鳴るツンデレ)
って感じです。
もう皆さんお気づきかとは思いますが、ある要素ってのが今回紹介するバンズです。
つまり、どれたけ旨味たっぷりなパティを作っても、それを支えるしっかりしたバンズなくして、ハンバーガーは成立しないのである!
で、実際に何度かハンバーガーを作ってみて、それが本当だったって話。
前書き
と言う訳で、今回は旨味を堪能するための超リッチなバンズの作り方。
牛肉、ベーコン、卵、玉ねぎ、ピクルス、トマト、レタス、チーズ...
これらの材料は単純に旨味で考えると、とんでもない数値になるのはお分かりいただけるかと思います。それを包括しなければならない役目を担うバンズとは、相対的に超リッチでなければなりません。
ここで言うリッチっていうのは、リッチorリーンの話。
小麦粉の味わいを楽しむために最小限の材料で作られるパンをリーンなパンと言ったりします。バケットとかカンパーニュとか。
一般的にバンズのレシピも、どちらかというとリーンな生地が多いように感じます。きっと、具材の味を邪魔しないようにできるだけ素朴なバンズに仕上げようとするレシピ作家の意図があるのではないでしょうか。
しかーし!雄山大先生もおっしゃる通り、負けてはならんのです。
このレシピは、高くて美味しい小麦粉を使ってる訳でも、濃厚な地鶏の卵で作ってる訳でもありません。どこのスーパーでも比較的手に入りやすい材料で作ってます。
一晩寝かせるので時間がかかるのがネックですが、時短レシピとか簡単レシピがお好みの方はもうここまで読み進める前にマクドナルドに向かっている最中でしょうから、気にせず進めることにします。
ぼく自身、この『俺のハンバーガー』を作るにあたって一番力を入れて考えたバンズレシピです。
むしろバンズにするのには、もったいないくらい美味しいパンですので、多様なパンに応用できると思います。材料選びのポイントから、失敗しないコツまで、できるだけ丁寧に解説したのでぜひ参考にしてください。
それでは今日も、いってみよー!
材料
材料(8〜10個分)
a.強力粉 250g
a.全粒粉 50g
a.きび砂糖 10g
a.ゲランド フルールドセル 6g
a.サフ インスタントドライイースト 赤 2g
a.いりごま 15g
b.水 240cc
b.卵黄 2個分
バター 70g
材料選びのポイント
・砂糖はお好みのもので代用可能ですが、パン作りにはきび砂糖がオススメです。馴染みの良さや甘みの出方がマイルドなのと、白砂糖のように精製が進んでないため、ミネラル分が豊富でコク出しの作用もあります。
・塩はどのメーカーでも代用可能ですが、できれば粗塩を使ってください。粗塩は精製されてない塩の意味ですので、粒が大きければいいという訳ではありません。これも理由は砂糖と同じです。フルールドセルといっても、たくさんの種類があります。一番有名なのがゲランドではないでしょうか。お好みの塩を探すのも楽しそうですね。
・ごまは白でも黒でも金でも代用可能です。プチプチした食感と香ばしさが欲しいので、できればホールのいりごまがベターです。
・イーストはご家庭にあるものでも代用可能ですが、その際は調節してください。耐糖性のものがベターです。
・卵黄はMサイズのものを使用。卵黄に関しては卵のサイズに関係なく重量はあまり変わりません。それよりも、例えば地鶏の高級卵とかの方が重さや大きさには関係してくると思われます。もちろん味も濃厚なはずですので、ブルジョワジーな方はぜひ。
・バターに関しては、マーガリンでも代用可能ですが、あまりお勧めはしません。ここまで旨味とかコクとかにこだわって作る訳ですから、ここはできるだけ。加塩バターでも代用可能ですが、その際は塩分調節が必要になります。加塩バターの塩分は1.5%〜2%と言われています。今回の場合、スイーツというよりはご飯としてのパンレシピですので、多少塩分量が増えても良いという前提で、1.5%で計算しましょう。
【バターの分量(70g)】×【塩分濃度(1.5%)】
=【塩分量(1.05g)】
ちなみに2%で計算すると1.4gです。
よって加塩バターを使用する際の塩の分量は約1gを差し引いた約5gを計量してください。
作り方
1)材料を計量しましょう。
材料a.のものは全てボウルに合わせます。スケールにボウルを置いて計量しながら合わせていくと作業がスムーズです。
その際、塩と砂糖は対極に配置しましょう。イースト菌は塩が嫌いですからね。逆にイースト菌にとって砂糖は餌になります。イーストの隣、または被さるように砂糖を配置してあげてください。
ボウルに加える順番はお好みで構いません。
2)ボウルの中の材料を混ぜ合わせます。
全体を混ぜ合わせたら真ん中にくぼみを作ります。カード(スケッパー)またはゴムベラ、木ベラを使うとスムーズです。このとき、1でも述べたようにイースト、砂糖、塩に気をつけましょう。最初にイーストと砂糖の場所を混ぜてあげます。強力粉でイーストと砂糖をコーティングさせてあげるイメージ。
3)卵黄と水を混ぜ合わせおきます。
4)ボウルの中に作ったくぼみに3)を投入し、少しずつ混ぜ合わせます。
カードがなければゴムベラでも。手が汚れて、ベタベタすると生地が無駄になってしまう可能性が高いので、ここは何かしらキッチンツールを使うことをお勧めします。
5)ひとまとまりになったら台に移しましょう。
『ひとまとまり』といっても、かなりベタベタです。ここで普段のパン作りのようにこねようとしても厳しいと思うので気にしなくて大丈夫。次行きましょう。
6)ボウルを被せて30分放置します。
この作業をオートリーズと言います。
オートリーズの効果は様々ある(らしい)んですが、ここでは主に生地を馴染ませて作業性をあげること。自然とグルテンが繋がってくれます。
これをせずに初めからこねてしまうとなかなか綺麗にまとまってくれません。むしろ手に生地がくっついて無駄になったりイライラし始める可能性大ですので、このレシピに限らず、加水率高めなパン作りの工程にも是非取り入れてみてくださいね。
※ちなみにオートリーズについては、ぼくもどちらかと言うと初心者サイドの人間ですので確かなことは言えません。いろいろと調べても、意見が分かれるようですが、個人的には圧倒的に生地の扱いやすさは変わってきます。
7)打ち粉をしてこねていきましょう。
非常にゆるい生地ですので、打ち粉、手粉は多めでいきましょう。最初は特に作業台に生地がくっつきます。カードがあると便利です。
8)バターを加えます。
基本的にバターなどの油脂は生地がまとまってから加えます。
切って重ねてを繰り返します。全体的に馴染み始めたら両手でこねましょう。
9)生地を丸くまとめて、閉じ目を下にして打ち粉をしたボウルに入れ、ラップをして一次発酵に入ります。
今回は冷蔵庫で10時間ほど一次発酵させました。
10)フィンガーチェックします。
フィンガーチェックについては過去記事を参考にしてください!
一次発酵が適正でしたらそのまま室温に30分放置してください。生地が緩んで傷みにくくなります。
11)ガス抜き・分割
室温に戻してからガス抜きをしましょう。続いて分割です。中心から外に向かって切り込みを入れてから伸ばすと簡単に棒状になるので分割しやすくなります。
今回は一人80g〜85gで分割しました。
12)丸め
よく見るみんなの憧れのあれです。頑張って練習しましょう!
13)丸めたらベンチタイムに入ります。
乾燥しないようにラップや固く絞った濡れふきん等をかけましょう。ぼくは何かとボウルをよく使います。
今回は20分とりました。このまま二次発酵に入ると生地が傷んだまま膨らんでしまうのでバランスが悪くなったりしちゃいます。
14)二次発酵に入ります。
今回は常温より少しあったかいところ(ウォーマーの上)で発酵させたので50分でした。
ここでも乾燥が大敵です。大きめの袋やラップはお忘れなく!
ちなみにぼくはゴミ袋をよく使います。空気を入れて口を縛ると生地が膨れても当たらないのでラップよりおすすめです!
二次発酵の途中からオーブンの余熱を始めましょう!
15)ちょびっとだけ押さえつけてバンズっぽい形にしましょう。
まん丸でも可愛いんですが、今回は挟む具材が多かったので。あと食べやすくなるし、持ちやすくなります。
ここは本当にちょびっとにしてくださいね。せっかく発酵させてガスを閉じ込めたのに、それが抜けてしまうともったいないですから。
てか、これ多分ご法度(笑)普通しません!
16)焼きます!
予熱は230℃。扉を開けると温度が下がることを意識して、高めの温度で予熱しましょう。できればスチーム機能を使いたいのですが、ご家庭のオーブンに加湿機能がない場合は、耐熱容器に水を入れて予熱の段階から一緒にオーブンに入れておきましょう。
210℃の加湿状態で12分焼きました。オーブンによって調節してください。
ちなみに、ぼくはどんなパンでも、基本的に210℃で焼いている気がします。理由はなんとなくです。
まとめ
これであなたもバンズマスター!
溶き卵塗ってないのがまたいい感じだと思いますが、お好みで。
それではみなさま、楽しいハンバーガーライフを!
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