黒歴史小説が書けなかった僕が、自分を曝け出すnoteを投稿している話
文章を書ける人間になりたいと思った。
それは高校2年生の頃、ちょうど引きこもりを始めた頃、クソ暑い8月、自室のベットでただ意味のない毎日を過ごしていた頃。
文章を書けば、この引き込みり生活が変わるんじゃないかと思った。
夢も希望もない、ただ過ぎてく毎日が変わるんじゃないかと思った。
自分の書いた文章で人生が変わるんじゃないかと思った。
それで文章を書こうと思った。
当時は小説が書きたかった。
当時の僕はブログとかアフィリエイトについてよく知らなかった。
「とりあえず文章書くなら小説だ!」と考えていたし、「引きこもりでも小説家にならなれるんじゃないか」とも思ってた。
"小説は紙と鉛筆で書く時代じゃない、パソコンで書く時代だ!でも今、自由に使えるパソコンがないから、まずはパソコンを買えるまでお金を貯めて、それから書き始めよう。
きっとネットにアップしてたら多くの人に読まれて大ヒット!
上手いこと事が進んで、僕の書いた小説でお金が稼げるようになり、気付けば編集者に囲まれ「先生」と呼ばれるようになる!
引きこもりの今も下積み話として自慢げに語れる日が来るに違いない"
そんな妄想で小説を書こうと思った。パソコンの購入資金を貯め始めた。
といっても当時はバイトもしてないただの引きこもり。
一応まだ学生だったし、校則はバイト禁止。
自力で稼ぐ手段はなかったので、とりあえず出費を抑えるために深夜のコンビニ徘徊を止め、おばあちゃん家に行った際にもらえるお小遣いを全額貯金に回した。
家族は僕が外に出るきっかけを作りたがっていたので、頻繁におばあちゃん家に僕を連れ出してくれた。お陰で年末までには予定金額を貯めることができ、晴れてパソコンが購入できた。
ただ、その間に物語の構想を考えりといった小説を書く準備をするわけでもなく、僕は自分が成功する妄想に日々浸ってた。
引きこもりの暇な毎日を妄想の中で過ごしていたため、いざパソコンを買い小説を書き始めてみたが、白紙のワードの画面を前に一向に手が動かない。
今まで小説を書いた経験はゼロ、文章だって学校の宿題で書く作文くらい。それもむしろ苦手で、先生に褒められたことや、コンクールに提出し賞を取ったことも勿論ない。
読書にしたって友達に勧められたものを読む程度。
経験も才能も何もない、ただの引きこもりが、ただの思い付きで小説を書こうとしていただけ。
そんな奴にいきなりオリジナルの小説を書けるはずがない、ハードルが高過ぎた。
そこでとりあえず、まずは何か文章を書き上げてみるために、二次創作の小説を書いてみようと、ちょうど当時ハマっていたアニメを元に、アニメ本編とは別の物語を書き始めてみたものの、いつになってもワードの1ページ目すら埋まり切らない。
ベットの中で何日もかけて思いついたストーリーは、誰でも思いつきそうなありきたりな物語。書き出しは何度書き直してみても、しっくりこない。何とか絞り出して綴った文書も、無駄に難しい言葉を使って読みにくく、それでいて語彙のバリエーションのない幼稚な文章。
苦労して生み出した文章が、読んでいられないほどの駄作で、パソコンにファイルを残して置くことさえ恥ずかしく感じ、耐えきれずそのまま削除してしまう。
初めて書いているのだから、思い通りにいかないのなんて当たり前の事だが、ただ当時の自分は思い通りではない"間違った自分"が許せなかった。
妄想の中の自分は、もっとカッコいい文章が書けて、面白い展開を思いつく。小説を書くことに没頭し、寝る事さえ忘れて一心不乱にパソコンに向かっている。
けれど現実の自分は、パソコンの前に座る事すら億劫で、それでもなんとか書き上げた文章は、何の面白みも感じない駄作。
期待外れのみっともない自分。妄想の中の成功者とはまるでかけ離れた、醜い自分。
それは今まで必死に目を背けていた、自分が何よりも見たくなかった、何者にも成れない本当の自分。
そんな自分から逃れるために引きこもりになったのに、またそんな自分に出会ってしまった。
1週間もしないうちに、ワードを開くことは無くなった。
気付けば引きこもって文章書こうとした時から10年近く経った。
10年経って、あの時諦めた文章を書くことを再び始めた。
きっかけは、大学生の時にカウンセリングに通ったこと。
学校のスクールカウンセリングで、自分の感情を言語化する体験を1年以上経験したこと。
カウンセリングを通じて、今まで気にも留めていなかった、日々生まれては忘れされていく自分の感情を、一つ一つ丁寧に言葉にしていく経験をしたこと。
その経験が、凄く気持ちよかったから。
そして、その経験の中でようやく気付く事が出来た自分の感情を忘れないために、文章にして残しておきたいと思ったから。
それはもちろん、引きこもった高校2年生の夏の時の気持ちも。
また、折角なら自分だけの物にするのではなく、多くの人に見てもらおうと思った。
それは僕が苦しんでる人の感情を知りたいと思っていたから。
自分の中にある、言葉のついてないこの感情をいったい何と表せばよいのか知りたかったから。
自分以外にも同じような感情を抱いている人がいるのだと知りたかったから。
そして、1年以上も感情を言語化する経験をした僕が紡ぐ言葉は、きっと誰かに響くと思ったから。
引きこもり、そしてカウンセリングを経験している僕の言葉は、きっと多くの人に興味をもって貰えると思ったから。
書き続けてたらきっと誰かにとって必要な人になれるんじゃないかと思ったから。
そんなこんなで始めたnoteだが、気付けばもう1年。
相変わらず更新頻度は低いし、全体ビューは伸びない、いいねもコメントもつかない。
正直、モチベーションは全然上がらない。
けれども、記事を上げれば見てくれる人が少なからずいる、いいねをつけてくれる人がいる、この前初めてコメントも貰った。
きっと僕の紡ぐ言葉が、誰かに響いていると信じている。
僕の言葉で、苦しんでる人が少しでも安らぎを手に入れますように。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?