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大企業の働き方改革とリモートワークが生む『サイレント脱落』が急増中
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リモートワークの急速な普及とともに、新たな社会問題が浮き彫りとなっている。それは「サイレント脱落」と呼ばれる現象で、表向きは業務を続けているかのように見えて、実際には仕事への意欲を失い、組織のモラルから逸脱した人々が一定数存在しているという事態である。
これらの人々がリモートワークの柔軟性を逆手に取り、組織に所属するメリットを利用して顧客や取引先に詐欺行為を働くケースも少なくない。
この現象の背景には、リモートワークという新たな労働形態が求める自己管理能力と、モラルの低下による倫理意識の欠如が複雑に絡み合っている。
リモートワークは、一見すると従業員の自由度を増し、通勤負担の軽減や働きやすさを向上させる革新的な働き方である。しかし、従来の対面型労働とは異なり、管理者が従業員の働きぶりを目視で確認できないため、業務の効率や成果を完全に把握するのが難しい。
また、リモートワークでは曖昧な業務が処理されにくい傾向にあり、従業員はマニュアル化された画一的な作業を行う事が多い。
そこで、リモートワークの精神として重視されるのが「自己管理能力」と「自己責任」である。だが、この精神を正しく実行するためには高いモラルと職業意識が不可欠であり、それが欠けていると「サイレント脱落」に陥る危険が増す。
「サイレント脱落」とは、表面上は職務を遂行しているように装いながら、実際には業務を放棄し、会社や上司に対する忠誠心を持たない従業員の状態を指す。
このような人々はリモートワークにおいて監視の目が緩むことを利用し、実質的に組織を裏切る行動をとる。例えば、業務時間を他の活動に費やす、担当業務の手抜きを続ける、他社の仕事を兼業してリソースを分散させるなどの行為が挙げられる。
こうした行動は、結果的に組織に損害を与えるのみならず、モラルの低下によって詐欺行為へとエスカレートすることもある。
さらに、リモートワークは業務の成果を成果物としてのみ評価するため、「如何に効率よくこなすか」という結果が重視される傾向が強まる。
このような風潮の中では、目先の成果や短期的な効率だけを重視し、倫理的な問題や長期的な貢献を軽視することが許容されやすくなる。
結果として、個人のモラルが緩み、詐欺的な行為が発生しやすい土壌が形成されてしまう。たとえば、成果物の水増し、提出されたデータの捏造、他人の成果を盗用する行為などが実際に起こり得る。
これらは一見効率的な働き方に見えるが、実際には組織に対する裏切り行為であり、信用を損ねる原因となる。このような裏切り行為は既に多くの大企業で常態化しており、極端な例では顧客や取引先を直接加害して金銭を騙し取るケースも出ている。
「サイレント脱落」を防ぐためには、まずリモートワークのシステム自体に倫理的な管理機能を導入する必要がある。従業員一人ひとりが自らの職業倫理を確認し、モラルを向上させるための教育が欠かせない。
また、企業側も成果だけでなく、プロセスそのものに目を向け、従業員が自己管理能力を正しく発揮できるような支援体制を整える必要がある。
企業はただ成果を求めるだけでなく、プロセスを重視し、日々の業務がどのように行われているかを確認し、従業員と共有する仕組みを築くことで、従業員のモラルを支えるべきである。
「サイレント脱落」と詐欺的行為の増加という問題は、リモートワークが生んだ新たな課題である。リモートワークが進む中で、従来の管理体制だけではモラル低下を防げないことが明らかになりつつある。
モラルの崩壊を防ぐためにも、企業と従業員が共に倫理観を再確認し、自己管理の意識を高める必要がある。