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もの書きのレシピ
「料理の何がおもしろいか、といえば、レシピに忠実に作ればその料理ができるということだ。マーボー豆腐を作ろうとしていたのに、豆腐ハンバーグができるということは、まずない」
角田光代さんが思いを述べている。
何が感激かといえば、小説書きは、マーボー豆腐を作ろう思ったのに豆腐ハンバーグどころか意味不明の料理(小説)ができあがってしまうからだという。
プロの書き手のこと、額面どおり受け取っていいとは思えない。が、素人はそのとおりなのだ。いつの間にか横道にそれて、思っていたように書けたためしがない。
話題のチャットGPTはどこまでできるのだろうか。マーボー豆腐を思い浮かべて材料と味付けを言えば、四川風じゃなくても上海風味のマーボー豆腐小説ができ上がるかもしれない。
でもねえ。しょうがなしに義務感でもの書きを「こなす」のならそれでいいかもしれないけれど、素人は手づくりがいい。自分でレシピをつくっていくのが楽しみで書いているのだから。それをAIに渡す必要はない。もったいない。