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【絶滅危惧文字】お正月に見かけそうな変体仮名

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左:書道家タケウチ 右上:書道家板谷栄司with鯖大寺鯖次朗 右下:ジャズギタリストタナカ


もうすぐお正月!!
今回は、お正月に見かけそうな変体仮名を集めてみました!

この記事のYouTube版はこちら↓↓


変体仮名って?


詳しくはひらがなの歴史の記事(ひらがな前編ひらがな後編)にて説明していますが、変体仮名とは言わば「昔の平仮名」!

1900年(明治33年)、それまで平仮名は一音につき複数個存在していましたが、それを一音一字に変更。現代のひらがなとなりました。

お字書き道TALKSでは、
1900年より前の複数個ある「平仮名」→漢字表記
それ以降の一音一字の「ひらがな」→ひらがな表記
に統一しています。

これ以降、使われなくなった平仮名のことを「変体仮名(へんたいがな)」と言います。
例えば、「あいうえお」であればこんな感じ↓↓

昔の平仮名の例

漢字の草書体に見えるかもしれませんが、これが昔の平仮名です。赤字は現行のひらがなの昔の書き方。それ以外の青字部分を「変体仮名」と呼びます。カッコ書きが字母(じぼ)、元になった漢字です。
※赤字の平仮名も今はこの書き方はしないという意味では、変体仮名と言えるかも。

この変体仮名は、国立国語研究所が制作している変体仮名のフォント。フォントデータをインストールしUnicodeを直接打ち込むとWordやPowerPointでも表示することができます。


書き方には幅があり、これ以外の変体仮名もあります。なので、これはあくまで例。
昔の人は本当に広くたくさんの平仮名を使っていました。

例えばこちらは、1886年(明治19年、一音一字になる14年前)の『現今児童重宝記 : 開化実益』。子どもの教科書の一コマです。
「変体(變體)」なので、タイトルの「いろは」のように、もっと一般的に使われていたひらがなもあるということです。

『現今児童重宝記 : 開化実益』変体いろは47字 1886年(明治19年)

このいろは歌を現代のひらがなと字母で表すと次のようになります。

▼現代のひらがな

いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑひもせす

▼字母
以路者尓本遍登知里努流越王可与多連曽川年那羅無宇井乃於九屋万希婦古衣亭阿佐起遊免三志衞飛毛世春

なかなか難解な変体仮名ですが、簡単な古文書を読むと、慣れてくるとだんだん読めるようになってくるかも・・・!逆も然りで、変体仮名が読めると古文書が読めるようになってきます。


変体仮名は絶滅危惧文字


1900年のひらがな一音一字の政策により、それまであった多くの平仮名の大半は「変体仮名」となり、使用頻度は激減しました。

1900年以後も人名(主に女性)では使われていましたが、1948年に命名において変体仮名は使えなくなりました。
※今は一般的には使わない「ヰ」「ヱ」「ゐ」「ゑ」は現在も使用可。

現在変体仮名は、1948年より前に生まれた方の名前や、古い看板や商品名で一部残るのみ。あとはかな書道の世界で一部の書道人によって書かれるのみ。まさに絶滅危惧文字です。

日常生活には支障をまったくきたさないとしても、それを残そう!読もう!書こう!という人がいても良いではないか!という気概で筆者はやっております。


おてもと


さてさて本題!
お正月シーズンにはお店などで箸袋に入った割りばしを使う機会も多いと思います。

箸袋と言えば「おてもと」!変体仮名バージョンは既に絶滅間近!?かもしれませんが、それでもまだ見かけることもあるでしょう!
(お正月には「寿」「祝」などの文字が書かれている箸袋の方が多いかもしれませんが)

「おてもと」をあえて今の漢字で書くなら「御手元」なのかと思いますが、箸袋は変体仮名で書かれる場合、以下のように書かれるのがメジャー。

kindai-netモノタロウパック館/『かなの成り立ち事典』p.93

「茂」は元の漢字の雰囲気がとても出ているので読めるのでは!
「と」と読む「登」を字母とする変体仮名は、江戸時代の書物では頻出しますが、知らないと到底読めない変体仮名なのではないかと思います。

現行ひらがなの「て」は「天」が字母。図のような「天」はほぼ草書体の「天」とも言えます。この「天」の「お天もと、お天も登」もしばしば見かけました。


おたおる


お年賀で贈るタオル。比較的安価で、皆があっても困らないものなので、数多く配るお年賀として人気です。

熨斗の表書きは「お年賀」と書かれていることが多いとは思いますが、下の図のように変体仮名で「おたおる」と書かれているものもたまに見かけます。

文字ブ/『かなの成り立ち事典』p.133

ちなみに、画像左の「越」は「を」と読む変体仮名。画像右も現行ひらがなの「を」です。タオルは現在の日本語表記では「たる」ですが、英語では「towel」、「wo」=「」の平仮名を使っているのかな・・・?と思います。

また、変体仮名ではありませんが、タオルメーカーのゲン担ぎで「御多織留」と書かれることもあるようです。こればくずし字ではないので、漢字の当て字、万葉仮名的な使い方と言えます。


お正月は変体仮名に出くわすチャンス


お正月は何かと和食を食べる機会が多いもの。古くからある和のお店、古くからある和の食べ物の看板や商品名に変体仮名はありがちです。

「てんぷら」「せんべい」「しるこ」「きそば」「だんご」「うなぎ」あたりでよく使われるので是非探してみてください!
東京だと、浅草・日本橋・上野のあたりのお店で見かけやすいかな。

読めない文字が読める!というのはちょっとした快感!
見つけたら是非コメントで教えてください^^


参考サイト:
学術情報交換用変体仮名
Unicode変体仮名一覧
日本古典籍くずし字データセット




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