#48『魂の伴侶』ブライアン・ワイス
著者の現代思想(の一角)に対する影響力の大きさに改めて驚かされる。転生、前世、ソウルメイトなど、スピリチュアル系に興味を持つ人なら、いやそうでなくとも抵抗しない人なら、今や誰でも当たり前のように受け入れているこれらの概念、そして事象を世に明らかにしたのはこの著者ブライアン・ワイスであった。
本書は#44『前世療法』の時より著者の導師としての力量は更に増している。頼もしく、力強い。別々に前世療法を試みていた二人の男女が実はソウルメイトだったことが判明する、という実話。
あまりにも出来過ぎていると思われるこういう現象。これは人類のガイドたる霊的存在が、人に教えるために特別に用意した機会なのだ。パイオニアの臨床ではこういうことが頻繁に起きる。フロイト然り、ユング然り、キューブラーロス然り。実はそれは普遍的現象ではない。しかし集中的に現象を起こさせることによって我々の意識に強く刷り込み、思考の枠組みを変革させようと意図されている。
本書は『前世療法』より更に価値が高いと感じる。よりダイナミックで、こちらに様々な思いを呼び起こさせる。昨晩の私の夢は何本立てだったか忘れたが、一本を除いて全部前世に関する夢だった。踏み込んだ夢はなかったが、意識はそちらの方に確かに誘導されていた。読みながらも、平常の思考モードが減速する、逸脱するなどのことが起きて、最後の方は文字がなかなか入らなくなってきた。魂の方に、意識が半分ほど移っていたのだ。
得るものが非常に多い本である。
受け取る方の霊的準備は勿論、求められる。前にも書いたことだが、平常思考の好奇心のレベルは低い。「魂の方に、意識が半分ほど移って」いるような段階でないと、深い洞察は得られないかもしれない。
私も自分の仕事の初期に前世の事柄を扱っていた時(やはりそれも霊的導きによるものだったが)、同じ印象を持った。それで私は前世のことは考慮の外に置くようになったし、お客様方にも滅多には話さないことにしている。最近、また考えが改まりつつあるが。
しかしそれはそれとして、前世の重要性は変わらない。本書を読んで驚いたのは、各章の冒頭に引用されている過去の著述家の一節の数々だ。キリスト教文明において、これほど明らかに転生について言及した言葉が多かったことは、寡聞にして知らなかった。例えばユング。
ユングがこういう発言をするのは別に驚くに足らないが、トルストイ、ホイットマン、エマソンなどそうそうたる顔ぶれが、皆深い確信を持って転生について言葉を綴っている。現代文明の深層には脈々と古代思想が受け継がれている。
いくつもの奥深い教えがある。
実に言い得て妙。これが今縁ある人とのその所以に関する最も簡潔で分かり易い説明だろう。「好きだから」「嫌いなのに」そんなことは、全く重要ではない。冬になれば葉は落ちる、しかし春になればまた芽が出る。そして「また会いましたね」と。
正直言って、困る肉親はいる。ここは達観が必要な所だと最近、悟った。
即座に、私のことを憎み、妬み続ける姉のことを思った。しかしそんな姉のことも、今では私は悪感情を持つことなく赦している。
無限に繰り返される営みの中で、人はある時には傷つけ、後悔する。傷つけられ、恨む。しかし全ては然るべく持たれた縁であり、私たちはその中から学び、自らの悪感情を浄化し、愛に向かう。悲痛な過去ばかりが思い出されるのは単にそれが思い出しやすいからであるに過ぎない。人は同じ善行も必ずしている。
今、私は自分の前世を自らの内に再生させている。
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