#78『前世からのメッセージ』ブライアン・ワイス
これでブライアン・ワイス著の本は全て読んだことになるのだろうか?
本書は著者の4冊目の本であり、集大成とも言っている。それで期待したのだが、いまいちだった。やはり最初の#44『前世療法』が一番だろうか。作りとしては#75『前世療法2』に近く、様々な事例集である。
しかし不思議なもので、証拠は多ければ多いほど良いわけではないらしい。キャサリンというたった一件を扱った#44『前世療法』は、細部が説得力を持っていた。惹き込まれた。しかし事例集となると「ほら、ね。これも前世の記憶だったんですよ。これも前世療法で治ったんですよ」と畳みかけられても、結論は決まっている訳だから「うん、分かったから、もういいよ」となってしまう。実際、少々読み飛ばした。
また本書は前世から離れて、遠隔視、ヒーラー、チャネラーにも頁を割いていて、精神科医から一転して魂の専門家になった著者が、これまでの年月で体験した様々なことを網羅している。ただしその語りは必ずしも面白くない。
本書の感想はその程度なのだが、マスター(中間生において魂を導く霊的存在)の言葉は相変わらず素晴らしいものなので、書き留めておく。
仏教ではなくスピリチュアル系における輪廻転生の説明に関して、ようやく自分の直観に適合する言葉に出会えた。スピリチュアル系の輪廻転生、生前記憶、臨死体験、退行催眠の報告や説明によると、死ぬと魂は無量光に包まれ祝福される、生前の行いによらず――ということになっている(宇宙は慈悲深いのでほとんど全ての罪を許す)。
しかし私は、本当だろうか?と思っていた。多分、死ぬとその無量光に包まれるような人だけが、臨死体験の報告者となったり、退行催眠を受けたりしていると私は想像している。死ぬと地獄が待っている人は、多分これらの現場に近付かないから臨床報告や体験報告として挙がってこないだけではないか。そしてまた霊的存在および著者のようなその普及者は、地獄を伝えることではなく天国を伝えることに任務がある。だから地獄についてはあえての無視がされているのだと思う。
上述のマスターの声では殺人の罪について語られているが、勿論、罪は他にもあるはずだ。
ただ――と思う。地獄については真実だろうが、やはりそれを言っても啓蒙的な価値はない。人を喜びと感謝に向かわせる力にはなり得ない。だから言う必要はないのだろう。
ただ私にとっては、これでようやくすっきりするものがあった。
次は著者の言葉。
それと、自分用にこれもまたすっきりしたこと。
この道に入って15年? やっと分かった。そうだったんだ。
著者が言うには霊媒はメッセージを「シンボル」で受け取る人と、「言葉」で受け取る人の二種類らしい。私はシンボル方面の体験はまるでない。明らかに言葉のほうだ。そして交信能力を得た最初の日から、YESかNOかで質問をしていた。昔は「なんでいちいち二択で尋ねないといけないんだよ~、なんでいちいち尋ねるまで教えてくれないんだよ~」とぼやいていたのだが、ようやく、これで訳が分かりました。それしか方法がなかったんだね。
というわけで、地獄の件、YES/NOの件、この二つの理解を得られただけで、充分価値ある本だった。私には。
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