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シリーズ読書感想文|精読・整理・思索第五回 「すごすぎる色の図鑑」


(はじめに)

 こんにちは、吉村うにうにです。普段は、小説、エッセイ、詩、童話などを書いております。ちなみに記事はこんな感じ

このシリーズでは、不定期的に本を取り上げ、その内容をまとめ、考察したことを述べていきたいと思います。「書評」+「読書感想文」のようなものです。
過去の「シリーズ読書感想文」は、こちらのマガジンに入っております。

構成はこんな感じ

(一)まず、短いまとめから入ります。この記事は、読書会の資料を兼ねていますので、1000文字以下を目途に、本の紹介、感想を簡単に書きます。これは、読書会で紹介する方向けですので、深掘りよりも、分かりやすさ、魅力の紹介に重点を置きます。「こんな本なんだ」と、ここだけ読んで頂いても嬉しいです。

(二)つづいて、内容を深めに紹介します。但し、こちらは私の備忘録に近いので、読みやすさを優先しておりません。

(三)最後に、本から学べたことを述べたり、自分の身近な話に例えたり、考察したりします。ここはダラダラ書きますがご容赦ください。「うにうにってこんなことを考えているんだ」というのを共有して頂ければ嬉しいです。「私ならこう考える」と一緒に考えて頂けても嬉しいです。

(はじめに)と(一)と(さいごに)は敬体で、(二)(三)は常体で書きます。

(一)と(二)(三)はおそらく被るので、何度も同じワードに出くわしたらごめんなさい。

それでは、今回の本はこちら

「すごすぎる色の図鑑」です。桜井照子さんの監修で、児童向けのようですが、大人が読んでも勉強になります。色彩の本は好きで何冊か持っています。それぞれに長所があり、例えば「小さな色の本」では、紹介される色の種類が豊富で、イラストが秀逸です。読んで眺めるだけで充分楽しいです。

「すごすぎる~」の特徴としては「色彩の知識」が一通り網羅されていて(おそらく)、しかもわかりやすい、という所でしょうか。児童書だから易しすぎるなどと言わずに、色彩の基礎知識を身につけたい方は、こちらをお勧めします。

(一)まとめ⇇お時間のない方はこちらだけ

  今回紹介する本は「すごすぎる色の図鑑」です。書店によっては児童書のコーナーに置いてありますが、舐めてはいけない。色彩の知識が一通り学べます。結構色彩の本は好きでこちらは以前紹介した「小さな色の本」ですが、この本は様々な色を楽しめる仕様になっています。今回の本もカラーで楽しいのですが、色の紹介というよりは、色の知識、色によって生じる効果や錯視、各色が与える心理的効果や配色の基本、が書いてあります。では、いくつか学んだ例を挙げて行きます。
色には赤や緑といった有彩色、黒白灰の無彩色があり、有彩色は、純色、それに無彩色を混ぜると明清色(明るい空)、暗清色(夜空)、濁色(黄昏)、といったい変化を起こします。
 色の属性は色相(色)、明度(明るさ)、彩度(あざやかさ)があり、それを意識するだけで街を見る目が変わってきます。例えば、色相は色相環という色の輪を見ながら考えると良いのですが、同系色(色相環の近い場所にある色)は印象を強くし、反対色の組み合わせは互いを引き立て合います。反対色の中でも、赤と緑、黄色と紫の関係は補色と言って色相環の正反対にある色です。この組み合わせはハレーションという目がちかちかするリスクもあります。
 明度の話では、黒い服を着ると顔が白っぽく見えるので色白に見せたい方にはおススメです。明度対比といいます。
 彩度の違う色を並べると、鮮やかな色に囲まれるとくすみ、彩度の低い色に囲まれるとくっきりと見えます。
 このような知識があると、街中の看板を見たり、ファッションの参考になりそうです。
 錯覚についても説明しています。明度対比でハンマーグリッドが生じます。図で白が黒に囲まれてより白く見えるので、交差点では白の中に黒が見えます。(後の)図では透明なフィルムのように見えます。
 透明視といってこの図では、透明なフィルムの重なりに見えます。
 色って楽しいだけではなく、心理的に様々な効果を生み出していることに知らないと勿体ないと思いました。例えば、オレンジは食欲を増すからバーガーキングやチョコクロワッサンの看板がオレンジ色なのだと納得です。また、服装で悩んだ時に彩度を高くして活動的に見せたいのか、彩度を下げて落ち着いた大人の雰囲気にしたいのかと参考になりました。この色どこか変だと思った時に、ここで得られた知識が役に立ちそうです。例えば補色の組み合わせで派手過ぎたら、無彩色の灰色を間に挟むとハレーションが落ち着くなどです。
 そのほか、色の記述の仕方が参考になりました。小説を書く時にあざやかな、灰みの橙なんて書ければ表現の幅が広がりそうです。
 本書は膨大な知識が詰められていますが、私もちょっとした内容を覚えておりませんので、みなさんも、「へえ、色って不思議で面白い」といった気軽な気持ちで目を通して頂けると楽しく知識が身につくと思います。以上です。

(二)整理(内容まとめ、番号は本の章に対応)

●すごすぎる色のきほん

1 色には光源色と物体色があり、物体色はりんごのような表面色とステンドグラスのような透過色がある

3 テレビやスマホは光の3原色(レッド、グリーン、ブルー)、で加法原色(全て混ぜると白になる)である。

4 カラー印刷は色料の三原色で黒を加えてCMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)からなり、減法混色(全て混ぜると黒)である。

5 色は有彩色(純色、明清色、暗清色、濁色)と無彩色(白、黒、グレー)があり。無彩色はシンプルにスッキリまとめる効果と、有彩色を引き立てる効果がある。

6 純色+白で明清色 明るく元気なクリアカラーで澄んだ空のよう
  純色+黒で暗清色 知的でクールな大人のカラーで夜空のよう
  純色+クレーで濁色 落ち着きのあるミドルカラーで朝や黄昏時の空模様のよう

7 有彩色の三属性 色相、明度、彩度

8 色相環はゲーテが考え出した。

色相環(向かい合う色が補色)

9 原色(赤、青、黄)であらゆる色が作れる
  原色を二色ずつ混ぜると橙、紫、緑の二次色
  二次色にさらに原色を混ぜると、赤紫、青緑、黄緑などの三次色 
  混色のコツは、二つの原色を基に、別の色を加える
  反対色や二次色同士、三次色同士を混ぜると濁りやすい

10 同系色と反対色、正反対にあるのは補色 補色同士はきつい印象になる。
   補色の隣にある対照色相の方がバランスを取りやすい。

12 明度と彩度で作られる調子をトーンと呼ぶ 
   例:純色のみで構成 vivid

13 色の感情効果には情緒感情(カッコいい)と知覚感情(熱い、冷たい)がある
   赤系は暖色、青系は寒色、緑や紫は中性色(どちらにも感じない)

14 進出色 暖色系や明度の高い色
   後退色 寒色系や明度の低い色
   赤・橙・黄などの暖色は波長が長いのでよく目立つから

15 赤、オレンジ、黄色のような彩度の高い暖色系は興奮色
   青、紺、ブルーグレーなどの寒色系は鎮静色

16 膨張色 明度が高い
   収縮色 明度が低い
   碁石は白の方が大きく見えるので黒石を大きめに作っている。
   黒い服の方が引き締まって見える。

17 明度が高い方が軽そうに見える。
   例:白(1㎏)水色(1.5㎏)黒(1.87㎏)

18 パステルカラーのように明度高く彩度が低いと柔らかそうに見える

19 食べ物を美味しく見せるには:反対色を取り入れてアクセント
   例:サラダの緑と赤

21 色の表現
(明度及び彩度に関する修飾語)+(色相に関する修飾語)+(基本色名)  例:あざやかな、赤みの、黄=山吹色(固有色名)
固有色名には慣用色名、伝統色名、流行色名がある

●すごすぎる色のふしぎ

22 昔の日本の色は赤(明るい)、黒(暗い)、白(はっきりしている)、青(漠然としている)の四つのみ

23 緑のものも広く青と読んでいたから「青信号」

24 金色銀色はなく、金属が混じってあるだけ
   近い色を作るには:黄色に茶の絵の具を少しずつ混ぜる。
   もしくは、黄色に赤と青の絵の具を少しずつ混ぜる

26 瞳の色はメラニンが多い順に 黒→茶→緑→青
   色素が少ない方がまぶしく感じる
(突然クイズ)うにうに著「水深800メートルのシューベルト」の主人公、アシェルスコットが嫌いな瞳の色はどれ?

27 色の錯視の例 色の対比は同時対比と継時対比がある
   同時対比は、色相対比、彩度対比、明度対比、補色対比がある。

28 色相対比:色相が補色に近い方へと引き寄せられて見える。

29 明度対比:明度の高い色に囲まれると暗くなる。黒服で色白に見える

30 彩度対比:鮮やかな背景だとくすんで見える。くすんだ背景だとくっきり

31 補色対比:補色同士の組み合せは互いの彩度が高く見える。
   しかし、チカチカするハレーションも起こるので、
   無彩色を挟むか明度彩度を下げる。

32 縁辺対比:明るい色が接する隣はより暗く、暗い色の隣は明るく見える。明度差だけでなく、色相や彩度の対比でも起こる。

33 ある色をじっと見た後、目を移すと「補色残像」
 例:牛乳パックに青を使うのは牛乳が補足の黄色に見え、クリーミーに見えるから

34 色陰現象:グレーが鮮やかな色に囲まれるとグレーがその色の補色を帯びる
 例:モネの絵の陰がオレンジの補色の青みを帯びている

35 同化現象:異なる色が互いの色に近づいて見える。ミカンのネットが赤

36 色の恒常性:自然光や室内光の下で見た物体の色を記憶していて色を判断する。

37 明るさの恒常性、大きさの恒常性、形の恒常性 例:チェッカーシャドウ7錯視

38 演色性:初めて見るものには恒常性が働きにくい。服を買って家で見ると色が違う

40 プルキンエ現象:昼間は赤がはっきり見え、夕暮れ時には青に敏感になる

41 面積効果:面積が大きくなると、明るい色はより明るく、暗い色はより暗くなる

42 点描画:減法混色を避けるために「並置加法混色」を使う。ジョルジュ・スーラ

43 ハーマングリッド:明度対比で明るいため、交差点では暗く見える

46 透明視:透明でないものも形と色によって透明に見える

47 時間感覚:暖色系では時間が早く過ぎる感覚。店の回転速くなる
        寒色系ではゆったりと流れるような気がする。   

●すごすぎる色のべんり

49 錐体(L錐体(赤)、M錐体(緑)、S錐体(青))のいずれかに変異があると色弱
P型色覚はL錐体の特性がM型に近く、D型色覚はM錐体の特性がL型に近い。いずれも赤と緑が似ているように見える。

50 配色:同系色や対照色相の組み合わせは調和しやすい
   色相に類似性があると統一感が強く、色の印象を強く伝えられる。
   色相が対照的だと、互いの色を引き立て合い、インパクトや多様性を伝えられる。

51 メリハリをつけるなら明度差をつける。

52 彩度の高い配色:勢いのある若々しさ、春夏と合う 
   彩度が低くなる:落ち着いた大人っぽさ、秋冬と合う
   彩度にコントラストをつけた配色:スタイリッシュで洗練

53 配色の組み合わせで目がちかちかしたら無彩色を挟む(セパレーション)

54 誘目性が高い色:彩度の高い赤や橙、黄色などの暖色系
   視認性が高い配色:明度差をつけること

56 蛍光色:紫外線を吸収してそのエネルギーを基に発光する。
 例:黄色の道路標識は朝優やくもりの紫外線の割合が高い時に誘目性を発揮する。

57 人の色の好み:幼児は彩度や明度が高くはっきりした色。
          青は全世代が好き

59 赤はエネルギッシュで活動的なイメージ

60 橙は食欲を増進させるため、飲食店のロゴによく使われる(バーガーキングなど)

61 黄色は希望、幸福、喜びのイメージだが、キリスト教では「裏切り」

62 緑はエコロジーから

63 青は神秘の色

64 紫は、高貴、気品、知的のイメージ

65 明るいピンクは、純愛、甘さ、ロマンティック。ビビッドなピンクは革新性や勢い

66 茶色は、落ち着き、安心、力強さ

67 白は、清潔、純粋、無垢のイメージだが、一方で死や不吉も表わす。

68 グレーは、謙虚、控えめ、大人っぽさ

69 黒は、悲しみや苦しみを表わすが、染まらないというステータスの象徴でもある。

70 ゴールドは、富と権力

71 シルバーは、知性、洗練、高級感

72 流行色はインターカラーによって二年前から決められている。

(三)思索してみて(今回は、本書の内容から練習した方がいい内容を検討)

9  色相環は押さえておいた方が良い。
  少なくとも、赤と緑、黄色と紫などの補色関係は重要

21 色を表現してみよう

  ①明度及び彩度に関する表現
   あざやかな、あかるい、つよい、こい、うすい、やわらかい
   くすんだ(彩度低め)、くらい、ごくうすい、
   明るい灰みの(灰色のような)、灰みの、
   暗い灰みの、ごくくらい
  
  ②色相に関する修飾語
   赤みの、黄みの、緑みの、青みの、紫みの

  ③基本色名
   赤、黄、緑、青、紫、白、黒
   黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫、灰

  練習問題(自分の言葉で考えてみた)

マリーゴールド→あざやかな黄赤  臙脂→くらい黄みがかった赤  
深川鼠→くすんだ緑みの灰  浅葱色→明るい青みの緑

30 彩度対比の例

31 ハレーションの例

43 ハンマーグリッドの例(明度対比の応用、交差点が黒く見える)

46 透明視の例(透明なフィルムのように見える)

50 同系色の配色例

   反対色の配色例

(さいごに)

 この本を通じて色彩について関心を持つことで、なぜこの組み合わせが良いのか、どうしてこの色はあっていないんだろうと考えるいい機会になりました。世界の捉え方が少し広がるようで嬉しかったです。
 慣れないお絵かきに苦労しましたが、楽しめました。
 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。



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