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恋愛の話。

わたしには彼氏がいない。
周りにわたしほど「彼氏いない歴」が長い人はほぼゼロだ。
大学生になるとこうもバイトと恋愛の話しかしなくなるものかと苦々しい思いをすることが多々ある。
つまり私はその話題の半分にはついていけないと言うことになる。

もちろん、ドラマや本で見かけたようなあるあるを話の隙間に差し込むことはできる。
知ったかぶりもできる。
なんとなく話についていけているフリまでなら可能だ。

でも肝心の彼氏がいないことに加えてそういうエピソードが大学に入ってからまったくと言っていいほどない。
だから毎度「本当に何もないの?なんで?」と聞かれる。
そういうときは「あなたってこんなに性格がどーのこーので顔がナンタラで、私が男だったら云々」とか言ってもらえる。
大きなお世話だ。うるせえな。
なんだよ。こっちが聞きてえわ。そして私はそんなにいい人間ではないんだって自分が1番わかってんだ。くそう。

別に彼氏が欲しくて欲しくてたまらないわけではない。
欲しいなあと漠然と思うときもあれば、私は別に1人でも案外うまくやっていけるだろうと思うときもある。
その気持ちの波が寄せては返しての繰り返しだ。
でもやっぱりそういう話になった時には、私の中の何かが圧倒的に他の人と比べて欠落しているんだろうかと途方もなく不安に駆られるのだ。

しかもこの歳でも散々彼氏がいるかどうか聞かれるのだ。
この先いわゆる結婚適齢期なる魔の年齢が訪れたらどうなってしまうのだろう。
その時までできなかったら完全に不良品の烙印を押されてしまうのだろうか。
友達ならまだいい。
家族や親戚にまで聞かれ始めたらもうきっと耐えられない。

恋愛は生活において必須なのだろうか。
なくても生きてこれている。なんならある生活のほうが想像できない。
でもきっと恋愛をしている人のほうがくたびれた私の生活より数段豊かで潤いに溢れているのだろう。

こういう私の最も怯える質問は久しぶりに会った友達からの「最近どう?」だ。
これは暗黙の了解で「最近、男関係はどう?」っていう意味だ。おそらく。
しかも女子の会話というのは全員が一度は主役になる「その人のターン」が回ってくる仕組みになっている。
私はできうる限りこのパスが自分に回ってこないように努力するが、どういうわけか避けられない。

だから私はこの質問に備えてバイトや日常で起こった比較的えげつなめのエピソードをいくつかストックしている。
これを絶え間なく話せば自分のターンは一旦は回避できるのだ。
でもこの戦法も誰かの直接的な一手によってあっけなく崩れ落ちるのだ。

色恋沙汰さえあればなあ。と思わなくもない。
正直だいぶ思う。
しかし、もはやどう一歩を踏み出していいのかなんて分からないし、1人に慣れすぎてしまっている。
もう私は永遠ループから抜け出せないんだ。

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