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マグロ丸々一尾を解体! 一匹の魚を通じて、想像力を育む「おさかな小学校」イベントレポート


5月27日(土)に「おさかな小学校」を運営する一般社団法人日本サステナブルシーフード
協会(代表理事:鈴木允さん)が、親子で食べものの裏側を学ぶ「ポケマルこども食育クラブ」を運営する株式会社雨風太陽おいしい未来研究所が連携し、マグロの生態を学びながら、その場で食べて楽しめるイベント「おさかな小学校 ーマグロ編ー」を開催。

また、おいしい未来研究所のつながりから、今回のイベントに興味を持ってくださった東京海洋大学院生の3名にイベントの運営をサポートしてもらいました。


会場となった「おいしい未来研究所」のキッチンで、マグロ1匹が丸々解体され、生きものが食べものになるまでを学んだのち、親子で一緒に手巻き寿司を味わう体験型イベントの様子をお届けします。


一匹の魚を通じて、想像力を育む「おさかな小学校」

「おさかな小学校」代表の鈴木さん(通称・スーさん)は、日本が海に囲まれているにもかかわらず、多くの人が身近なはずの海や魚について知らないことに疑問を持ち、おさかなを通じて日本を囲む海とのつながりを学ぶ学校として「おさかな小学校」を立ち上げました。


私たちは生活のなかで、当たり前のようにスーパーに行けば魚が買えるし、回転寿司に行けばお寿司が食べられます。ただ、その魚がどこの海で獲れたのか、どんな流れで食卓に届くのか、よくよく考えると知らないことだらけ。

「おさかな小学校」では、目の前にいる一匹の魚を通じて、魚のこと、海のこと、世界のことを少しでも想像できる子供を増やしたい!と願って授業づくりをしています。

月毎に1種類の魚にテーマを絞り、その魚を入口とした体験を通じて、子供たちの目線になって学びの機会を提供するのが「おさかな小学校」の授業の特徴です。


五感を使って学び、食べる

今回テーマとなった魚は、日本でも馴染みの深い「マグロ」。

まず冒頭で、マグロの生態や漁業の方法について、クイズ形式で学んでいきます。



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Q:マグロは何種類いるか知ってる?

A:一般的に流通しているマグロは、以下の5種類がいます。

・クロマグロ(本マグロ)
・ミナミマグロ(インドマグロ)
・メバチマグロ
・キハダマグロ
・ビンナガマグロ(ビンチョウ)
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スーさんの「キハダマグロはツナ缶の原料にもなります」という説明に対して、「ええ〜!ツナってマグロだったんだ…!」と驚きの声をあげる子供たち。

マグロを獲る方法は、延縄、一本釣り、定置網、巻網の4種類があり、それぞれの漁業の方法と特徴について学んでいきます。


海で漁をするところから、市場を通して近所のスーパーにマグロが届くまでの流れを教わったのち、子供たちの目の前にどーんと丸々1匹のマグロが登場。子供から歓声が上がります。



初めて間近で見るであろうマグロの巨体に子供たちは興味津々。特に、子供たちから「触りたい!触りたい!」とオーダーが入り、我先にとマグロの体を触りにいく姿が印象的でした。

「鱗がザラザラしてる!」
「目玉はプニプニしてる〜」
「心臓ってどこなの!?」

と、子供たちの好奇心はとまりません。


スーさんがマグロを捌きはじめると、子供たちはカウンターにかぶりつくように観察をはじめます。スーさんによると、子供たちが魚の構造を理解しやすいような捌き方をしているそうで、そうすることで子供たちは魚の生態により興味をもつんだとか。


実際に捌く過程でマグロの内臓(肝臓、腸、心臓など)が現れると、「心臓触りたい!肝臓触りたい!」と、子供たちのあいだで謎の内臓ムーブメントが発生(笑)。

マグロを捌いたときに出た血にも恐れることなく、果敢にマグロの内臓を触って確かめようとする好奇心に圧倒されました…!


スーさんがいったんマグロを柵まで捌くと、柵になったマグロを親子一緒に手巻き寿司のお刺身サイズに包丁で切りわけ、マグロの骨身から中落ちを剥いでいきます。

先生から切り方の手本を教わると、子供たちはそれを真似しながら真剣な顔つきで切っていきます。


お母さんが「切るの手伝おうか?」と聞いても、「自分でやる!」と果敢にマグロと格闘する子供や、「こんなにたくさんマグロ食べていいの!」とテンションが上がる食いしん坊の子供など、それぞれが五感で感じながら料理を楽しむ様子が伝わってきました。


見えないつながりを想像することが、おいしさにつながる。

親子揃っての調理を終え、いよいよ食卓には手巻き寿司の食材の準備が整いました。


・マグロ
・酢飯
 お米(提供:押田農園 「てまひま米」彩のかがやき)
 すし酢(提供:飯尾醸造 富士酢)
・海苔(3種類)
 提供:
 兵庫県加古川「黒海苔」
 佐賀県有明海「あけぼの」
 千葉県富津産「ちばのり」
・キュウリ
・錦糸卵
 相馬ミルキーエッグ(提供:大野村農園)
・大葉
生わさび(提供:五代目わさび師『坂ぐち』)

なお、「海苔」「卵」「生わさび」「お米」「すし酢」などは、ポケマルの生産者さんからご提供いただきました。魚だけでなく、あらゆる食材の背景に生産者や作り手がいることを「おいしさ」から体感・想像できるように授業が作られていることに感動!

各自のテーブルに手巻き寿司の準備が整うと、スーさんから「いただきます」の挨拶が。


「広い海を泳いでるマグロを漁師さんが捕まえて、市場を通じて、スーパーに届き、いま皆さんの前にやってきました。普段は見えてこない漁師さんやお刺身になるまでの過程に思いを馳せながら『いただきます』を言いましょう」

会場のみんなで元気に「いただきます」をしたのち、いよいよお待ちかねの実食タイム。


やっぱり自分で料理をすると、いつもより一層おいしく感じるもの。

・おいしそうに手巻き寿司を頬張る子供たち
・姉妹そろって参加し、妹のために手巻き寿司を作ってあげる優しいお姉ちゃん
・調理のときは、はしゃいでいたものの、打って変わって黙々と食べ続ける男の子
・生わさびを自分でするのにハマる女の子

楽しみ方は本当に人それぞれ。マグロの手巻き寿司を親子揃って食べている会場は、わいわいと温かい空気で包まれていました。


本当の食育は「子供の疑問に答え、好奇心を育ててあげること」

イベントを終え、参加した親子数名に感想を伺いました。

まずは、親御さんの感想から。

「子供がマグロの内臓に興味をもったり、血を恐れずに調理したり、普段は見られない子供の一面に触れて新しい発見がありました」

「今まで栄養のあるものを食べさせたり、お弁当を工夫することを食育だと思っていました。でも、今日の授業を通じて、本当の食育は子供の疑問に答え、好奇心を育ててあげることにあるんだなと勉強になりました」

「実際に一匹の魚から調理して食べると、食のありがたみがわかるし、先生のパフォーマンスなど子供たちの集中力が最後まで続くようにプログラムが工夫されていました。親である私自身も学ぶことが多くて、楽しかったです」

続いて子供たちの感想。

「魚を切るのが初めてで難しかった。料理人の技術がいかにすごいかわかった!」

「マグロがおいしかった!今までマグロの部位を知らずに食べていたけど、部位によって味が全然違った。自分がどの部位が好きなのか初めて知ることができました」

他にも、「おさかな小学校で魚に興味をもって、週1回、魚を捌く教室に通うようになり、家でも料理をはじめました」という子供まで。

実際に丸々一匹の魚を捌いて、五感で感じながら食べるイベントだからこそ、「おさかな小学校」には身になる学びがたくさん。


授業を終えた鈴木先生からもコメントをいただきました。

「コロナの期間はオンラインでの授業が中心だったので、リアルな場での授業をずっと開きたかった。子供たちは食にものすごい興味がある。おいしいものに触れると、子供たちは好奇心でいっぱいになるので、食に関する素朴な疑問に答えながら、食への興味を引きだしてあげる機会をつくっていきたいです。

魚ひとつからでも、文化・歴史・環境など、たくさんのことを学ぶことができます。普段の何気ない生活の中から、想像力をもっていろんなことにアクセスし、好奇心や生きる力を育める子供を増やしていきたい。そんな思いで『おさかな小学校』の授業をやっています」

「おさかな小学校」は、頭を使って知識を増やすだけの勉強ではなく、自分の五感を通じて好奇心や疑問をもち、能動的に学んでいく場。

ひとつの食材に好奇心をもち、想像力を育む経験が子供の「やりたい」の原点になり、それが子供たちの生きる力になる。

そして、当たり前に食べている普段の食事も、それが誰かの手によって支えられている背景を知ると、「おいしい」という感情はもっと豊かになる。

一匹の魚を通じて、想像力を育む。スーさんと子供たちから大切なことを教わった「おさかな小学校」でした。

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おさかな小学校


おさかな小学校は、おさかなを通じて日本を囲む海とのつながりを学ぶ学校です。

かつお節を削ってみる。
煮干しから出汁を取ってみる。
丸の魚を1匹さばいてみる。
 
そんな経験から、 日本を囲む海とのつながりについて、親子で一緒に考えてみませんか?

▼公式サイト
https://www.osakana-sho.jp/
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