古今東西、お金の話。
今日、お洗濯物を干しててふと思い出したんだけれど、って言ってもお洗濯物には何の関係もない話。
きっと脳みそがお留守になってたから、どの位置かのヒダからこぼれ落ちてきた記憶だと思う。
中学生の時初めてホームスティしたお家の子供が、やたらとお金の話をする子供だった。っつってもお姉ちゃんは10歳で弟は5歳だから、投資とかの話をしているわけではなくて、労働に対する対価の話と言ったらいいか、ようはお手伝いする時、お父さんとお母さんとの駆け引きをするわけ。
日本人の私からしたらお手伝いはまあ、いい子ぶるわけじゃないけれどやって当然って感じだったから面食らった。それも、ものすごくシビアに要求する。
お姉ちゃんはその時学校に行く時に使う新しいリュックが欲しかった。
弟は小さなキックボードが欲しかった。
目標があるものだから、駆け引きにも熱が入る。
その時の1番の高額お手伝いは、夏の間庭に出してたプラスティックとナイロンでできたちょっとデカめのプールの片付け。
ただ、それは大き過ぎて5歳の男の子1人ではできない。でも、お小遣いは欲しい。となると目をつけられるのが私なわけ。
彼らからしたら、自分達の家でお世話してる自分達よりちょっと大きなお姉さん。
そう、こいつだったら役に立つはず。
それで、私の取り合いになる。
そこで私が
「3人で一緒にやろうよ」と言ったところで、ものすごい反論が飛んでくる。
なぜなら一生懸命お仕事したのに、報酬を分けなくちゃいけなくなって取り分が減ってしまうからだ。
いつまで経っても話がまとまらない。
しょうがないから私が
「じゃあさ、私の事は人数にいれなくていいから2人で分けたら?」
と言ってみた。
そうしたら、2人とも変な顔をして同じことを言った。
「ダメだよ。〇〇もお仕事するんだから、自分の分はちゃんと貰わなくちゃ」
その時思った。もしもこの子達が大人になって、仕事で対面する事になったら明らかに私はダメダメちゃんだな。と。
現在の日本の子供達はどんな感じなんだろう。
もしかしたら、新しいリュックも小さなキックボードも簡単に買ってもらえるのかもしれない。だからあえて労働の対価を必要としないのかもしれない。
でも、あの子達は強い子になる気がする。お金の話ができて、労働には対価が払われるのが当たり前で、だからといって自分だけが徳をするような話は嫌がった。
結局、お母さんとお父さんが痺れを切らして、明日までに片付けなかったら来年はそのプールを出してあげないということになって、それは困ると3人で協力して片付けることになった。
足りない分は車庫の片付けという新たなミッションを提案して埋め合わせする事になった。
それも子供達が自分で考えたお仕事だ。
プールを片付けた後のアイスクリームがとても美味しかったことを覚えている。
そしてそのちっこい仕事人達は、お母さんとお父さんからもらったプールのお片付けの報酬の中から、私にもお小遣いをくれた。かわいくて大切なお金。
弟はちょっとヒトタラシで、お金をくれる時
「〇〇がいてくれたから、早く終われて良かった。ありがとう」と言った。
出世するな、この5歳。と思ったもんだ。
どうしてこの話を思い出したかというと、ギャラリーに出入りしてた作家がこう言った事をふっと思い出したから。
その作家は22歳くらい?だったかな。大学4年生か、もう卒業してたかも。
「オーナー、聞いてくださいよ。昨日□□社長からランチに誘われたんですよ。お寿司だったんですけど、せっかく行ったのに僕のランチ代、自分で払わされたんですよ」
「・・・。」
「呼び出されたからわざわざ行ったのに、お寿司だけどランチですよ?それに僕より年上で社長でしょ?それで奢らないなんてケチですよね。お金持ちなのに」
空いた口が塞がらなかった。
その社長さんはその子の絵を買ってくれたばかりだった。別にまだ駆け出しもいい所の作家なのに。
そんな人のことを、じゃあ逆にたかがランチ代くらいでなんて事言うんだこいつと思って、正直ムカついた。
年上で社長だったら、絶対おごらなくちゃいけないんだ。
そしておごらなかったら、絵を買ってくれた人のこと「ケチ」って言うんだ。
感謝のカの字も知らないやつだな。
恐ろしいそんなことをふと思い出して、変なこと思い出して嫌な気分になったじゃんと思ってたら、天使のような子供達があの頃のように私の周りにまとわりついてきて(なぜか子供には好かれる)あの夏のアイスクリームの味を思い出させてくれた。同じお金の思い出でも、全然違うなって。
それで、また鼻歌混じりに残りのお洗濯物を干した。ぴちっと、まっすぐに。
お母さんがよく言ってた。
「お金自体に価値があるわけじゃないの。大切な物とかしたい事とかと交換コするために、お金っていうチケットが必要なだけ。だから、お金と何を交換コするかが大切なの」と。そして
「ただ、持ってるだけだったら面白くはないものよ」って。
そのくらいかな。
私がお母さんから聞いたお金の話は。
あっ、それと
「お金を貸す時は、そのお金をその人のために捨ててもいいと思った時だけにしなさい」だな。
あの子達、おっきくなっただろうな。
っていうか、すでにものすごい大人になってるか。
覚えてるかな、あのアイスクリームの味。
食べながら顔に塗りたくって遊んだんだー。これは私の提案。チョコアイスで髭とか、ストロベリーアイスでチークとか言いながら。
なんか大変な労働の後に楽しいことがあったら、もっとアガルんじゃないかと思って。いや、ただ、やりたかっただけかも。へへっ。
初めは「そんなことしていいの?」って言ってたけど、やり始めたら止まらなくなった。その後、お庭のホースで服着たまま洗いっこして、パパとママが帰ってくるまでに3人とも必死で乾かした。
ごめんね、ママ。変なこと教えて。