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#19 勇気こそ、新大陸発見の栄養素
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前号では、元旦に決意する「一年の計」を、「今年はなにをやるか」ではなく、「今年はなにをやめるか」にすることを提唱しました。
ドラッカー氏の説く「過去を計画的に廃棄せよ」です。
ドラッカー氏は、「過去を計画的に廃棄する際、まずは ”劣後順位”を付けることが重要」と合わせて指南します。
「劣後順位」という言葉は聞き慣れないので、一瞬面喰います。
意味は単純明快で、「優先順位」の対極にある言葉。
つまり、「やらないこと」の順位付けです。
「優先順位」に上がっている仕事は常に頭の中にあり、その重要性も理解しています。それらの仕事は概してその効果もイメージしやすいので、ポジティブな意識で考えることが可能です。
対して「劣後順位」。
取り組むべきではない仕事の棚卸と順位付けを、普段意識することはありません。
また、取り組みをやめることは前号で話した「保有効果」と「現状維持バイアス」が働くので、精神的にも不安がつきまといます。
なので、「劣後順位」付けは、常に「優先順位」の対象外...
何かを廃棄することなく、「To Do List」の更新だけが行われてしまいがちです。。。
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しかし、優先順位と劣後順位には、強い相関関係があります。
高い優先順位にある仕事で大きな成果を出すには、限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)を集中して投下できる環境作りが必須です。
そのために、生産的でなくなった仕事の棚卸を定期的に行い、劣後順位を付け、計画的に廃棄せよというのが、ドラッカー氏のポイント。
今やっている仕事が生産的でなくなったかどうかを見極めるうえで、ドラッカー氏は次の問いを自問自答せよと説きます。
「その仕事をまだ行っていなかったとしたら、その仕事を今から新たに始めるか?」 (ピーター・ドラッカー 「経営者の条件」)
至言ですね。
たとえば、今参加している鍼灸や柔整師業界の会合、あるいは勉強会。
仮に今まで参加していなかったと想定した場合、今から新規に入会するか否かが、その会合の現存価値を測る試金石になります。
たとえば、今行っている施術法。
柔整師業界の会合参加とは違い、施術法は経営の根幹。
容易に廃棄することはできません。
そのような重要事項に対しては、以下の問いが有効です。
「今から5年後を見据えたとき、あるいは先生が10歳若かったとしたら、今行っている施術法を選択するか?」
答えがNOだったとしても、明日から捨て去るわけにはいきません。
それゆえ、「計画的な廃棄」がとても重要なのです。
このように今やっている仕事をひとつづつ棚卸してみると、「過去からのしがらみがなければ、新たには始めない」、あるいは、「新規に始めるのなら、今までのやりかたではやらない」ものが、意外と多いのではないでしょうか?
” 経営において最も重要な決定とは、何をするかではなく、何をしないかを決めることだ ”
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先月から2回に渡り、「何をやめるか」「何をしないか」について一緒に考えてみました。
「何をしないか」を決める目的は、「何をやるか」の優先順位を尖らせるため。
その優先順位を決める上でも、ドラッカー氏は金言を遺しています。
” 優先順位の決定について最も重要なことは分析ではない。
勇気である。”
”勇気” という言葉は、多分に情緒的であり、直観的かつ非論理的表現。
常に理路整然とロジカルに論じているドラッカー氏の言葉としては、ちょっと意外な感じです。
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しかし、未来を決める重要な意思決定に関しては、ドラッカー氏は ”勇気” が最も大切であると、一貫して論じています。
その点に関してドラッカー氏が詳細に説明している箇所は、今のところ見つかっていません。
私自身の解釈では、未来は不確かゆえ、過去に起きたことをあれこれ論じたり分析しても、あまり意味がない。
それよりも、最終的には自分自身の直観を信じ、その意思決定を行動に移す ”勇気”。
それが最も大切なのだと、ドラッカー氏は言っているのだと思っています。
前述した「施術法を変える」を例に取ってみると、その真意が分かりやすいかもしれません。
前述した問いに対し、先生が「今の施術法は、新しい施術法に変えるべき」という答えを出したとします。
でも、今の施術法を計画的に廃棄することは、心情的にも技能的にも困難が伴います。
また新しい施術法が未来を約束するわけではないので、事業上でも大きなリスクを伴います。
その際、先生が決断するうえで最も重要なのは、分析でも、他の治療院の先生からの助言でもありません。
自分自身の背中を押す ”勇気”。
一旦決断したら、やるべきことはやりきる”勇気”。
そのために、劣後順位の高い仕事を廃棄する ”勇気”。
勇気こそ、未知なる新大陸を発見するうえで、欠かすことのできない栄養素かもしれませんね。
” 長い間、岸を見失う勇気がなければ、新しい大陸を発見することはできない。”
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