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♯22 マーケティングとイノベーションだけが、成果をもたらす 後編

(この記事は約2分半で読めます)

今回はイノベーションについてです。

ドラッカー氏の名言「マーケティングの理想は、販売を無くすことである。」が如実に語っている通り、販売(売りたいモノやコトを売り込む行為)をしなくても、商品やサービスが自ずから求められる仕組みづくりがマーケティング。

お客さまの「欲しい」に応えるのが、マーケティングの定義です。


そして、ドラッカー氏が唱えるイノベーションの定義は、「新しい満足を生み出す」
マーケティングの定義同様、とても簡潔明瞭です。

その意味について、私なりの解釈を述べると、

「マーケティングは、既に顕在化したお客様の「欲しい」に応えること。
対して、イノベーションは、未だお客様が気付いていない、潜在的なニーズに対して新しい価値提供を行うこと」だと思っています。

一番判りやすい事例が、i Phone。
イノベーションの代表的事例として、色々なところで引き合いに出されます。

では、なぜ i Phoneがイノベーションなのでしょうか?

言うまでもなく、i Phoneは最新技術の粋を集めた次世代型商品。
最近だと、ChatGPTが世界を揺るがすイノベーションとして騒がれています。
i Phone も ChatGPTも先端技術っぽいことから、イノベーションは時に「技術革新」と訳され、IT先端企業のみ実現可能なイメージがありますね。

しかし、ドラッカー氏の考える「新しい満足を生み出す」イノベーションは、世の中の至る所にあります。

例えば「ライザップ」、そして「チョコザップ」。
この、革新的なサービス。
先端技術とは関係ありませんが、顧客に新しい価値(満足)を生み出しています

なので、ドラッカーの定義で言えば、ライザップも立派なイノベーションです。


つまりイノベーションは、先端技術がなくても起こし得ます。
モノだけでなく、コトやサービスでも起こせます。

また、「ライザップ」の例であるように、既存の商品やサービスでも、目指すゴールやサービスのプロセスを変えるだけで、イノベーションを起こすことも可能です。
 

イノベーションの要諦は、ゼロから生み出す新発見ではありません。
既に当たり前のように存在するものを掛け合わす、「コロンブスの卵」的な新提案が大半です。

上述 i Phoneも、技術的には決して革新的ではありませんでした。
生みの親であるスティーブジョブズも言っている通り、従来ある携帯電話と携帯型PCを結合したのが i Phone。

イノベーションの父と呼ばれる20世紀初頭の経済学者シュンペーター。
彼の提唱する「新結合」的視点から、i Phoneは誕生したようです。

要は、シャープが元気だった頃のキャッチコピー、「目の付けどころ」がポイントですね。

”イノベーションとは発明のことではない。技術のみに関するコンセプトでもない。
経済に関わることである。
経済的なイノベーション、さらに社会的イノベーションは、技術のイノベーション以上に重要である。”

ピーター・ドラッカー「マネジメント【エッセンシャル版】」


ドラッカー的視点で言えば、i Phoneは100年に一度レベルの大イノベーション。
対して ChatGPTは、まだまだ小さなイノベーション。

技術的革新性で言えば、おそらく ChatGPTのほうが i Phoneより大きいでしょう。
一方、ドラッカー氏が重要視しているのは、「その革新的なモノやサービスが、どれだけ"経済”や”社会”に影響を与えたか」です。

i Phoneから始まったスマートフォン革命は、全人類のライフスタイルを大きく変えました。

ChatGPTが私たちの住む経済や社会を、今後どれだけ変えていくか(=イノベーションの規模)、これから楽しみですね。


では、皆さんの「治療院業界」におけるイノベーションとは何でしょう?

新しい施術方法を生み出し、従来治療できなかった症状を治癒できるようになれば、間違いなくイノベーションですね。

針治療と不妊治療の親和性を徹底研究し、「不妊で悩む患者様」に特化した事業提案もイノベーションです。

ドラッカー氏曰く、

「企業の目的は“顧客の創造”
そして“顧客の創造”は、マーケティングとイノベーションのみで起こせる。」

ピーター・ドラッカー「マネジメント【エッセンシャル版】」


先生の院が提供する「マーケティング」、そしてこれから起こせる「イノベーション」は何でしょう?

~前号の「マーケティングとイノベーションだけが、成果をもたらす 前編」を読み返す~

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