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売りオペ基本なしになぜコールレートを誘導できるのか

日銀はマイナス金利政策を解除し、無担保コール翌日物金利を0〜0.1%にコントロール政策へと切り替えた。短期金利の誘導は「伝統的金融政策」とされる。

準備預金と日銀当座預金がほぼ等しい状態ならば、準備預金の積みの進捗に合わせて日銀は買いオペと売りオペで短期金利をコントロール出来る。しかし現状の日銀当座預金残高は500兆円を超える額が準備預金残高を上回る状況だ。その状況でなぜ短期金利を0〜0.1%という狭いレンジに誘導できるのだろうか。

それは超過準備部分の日銀当座預金に0.1%の金利をつけるからだ。

日銀当座預金金利に0.1%の金利がつくならそれ以上の金利で資金調達しても最終的に資金を置く金利が0.1%なのでそれ以上の金利で必要以上に資金調達しない。一方資金がじゃぶじゃぶしているので無限に金利を下げて運用しようとしても準備預金の分の日銀当座預金金利に適用される金利が0%なので0%より下の金利で資金運用しようとしない。

資金運用するのは主に投資信託や生損保などの日銀当座預金を持たない金融機関であり、0〜0.1%で最も金利が高いところで運用しようとする。資金の取り手は短資会社への手数料0.02%を除いた金利よりも妥協しないので無担保コール翌日物金利は0.07〜0.08%で取引されやすい。よって狭い0〜0.1%の範囲にコントロールできるのだ。

実際21日の無担保コール翌日物金利の平均は0.074%となった。

いわば日銀当座預金に付利することは日銀の売りオペレーションと同じ経済効果を持っていることになる。

実務的には0.1%に近づいたら買いオペレーションを実施する可能性はある。日銀当座預金残高は潤沢にあっても市場参加者自体が限られていてコールで運用する人数が限られる可能性があるからだ。


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