ヨーロッパに旅行したときに美術館でピカソの『泣く女』を観たとき衝撃を覚えたことがふと頭をよぎった。絵から出てくる後光が凄まじかったのである。 ヴァルター・ベンヤミンが『複製技術時代の芸術』で複製技術が発達した時代でも、オリジナル作品には「アウラ」があり違うものだと言ったのだが、ピカソの絵はまさにそれだったのだろう。 連想で思ったのは『源氏物語』の原本には「アウラ」が宿っているのだろうかということ。よく文学館には芥川龍之介の手書きの原稿用紙などが展示されているが、あれにも「
僕ははっきり言ってツイ廃である。手が空くとすぐにツイッターをやってしまう。 コミュニケーションツールとして面白いということ、何かつぶやくと大変気分がスッキリするというのがその理由だ。読まれるかわからないつぶやきをしても勝手に孤独が癒やされるという面もある。 もう一つはデジタルノートとしての役割だ。 僕は読書していて気になった部分があると抜粋をツイートする癖があるのだが、これはデジタル読書ノートの電子版である。紙の物理的な場所を取らない点、ローカルPCのようにその端末の寿
エッセイといっても種類みたいなものがあると思う。 枕草子や徒然草、方丈記のような自分の日常から導き出された鋭い人生観を紡ぎ出すようなスタイル。 ジョージ・オーウェルやモームのようなジャーナリスティックな視点から社会を切り裂いていくようなスタイル。 モンテーニュのように膨大な古典読書から得られた哲学的断片集まで。 いろいろ種類はあるが共通するのは物事を批判的に捉えるというところだろうか。物事を批判的に捉えるというのは実は難しい。文章を書いた人間の批判が適切な批判的な視点
兵庫県知事選挙の騒動で大手メディアが敗北しSNS広報の有効性が実証されたという。今回大手メディアが敗北したことが大きく取りざたされる段階だが、これからはむしろ大手メディアにはチャンスなのではないか? フェイクニュースの問題がネットの広がりで言われるようになったが、きちんとしたファクトチェックのされたニュースとして大手メディアの役割はむしろ意味を持ってくるのではないか? 公開情報の整理分析で秘密情報の90%がわかると言われることがあるのだが、きちんとした公開情報として大手メ
アメリカのトランプ大統領勝利と民主党の大敗北、日本の衆議院議員選挙での国民民主党の躍進、兵庫県知事選挙の結果、共通して無党派層の支持を得たものが勝っている。 この動きには以下のような条件が重なっているのではないか。 ①現状の生活が苦しくなんとかしてくれないと切実に困る層が増加している。 ②既得エリート層が既得権益を不当に得ている感覚がある。 ③既存のリベラル層、もしくは大手メディアが綺麗事を言っているだけに見える。 ④SNS等新しいメディアが真実を伝えているように見える、も
トランプが大統領になったことでディープステートとか陰謀論を口にするヤバい人物が権力持っちまったって話題になってるけどさあ、ニューヨークタイムズ読んでるとどうも単純な悪の組織の陰謀論ってわけでもなさそうなんだよな。 第一次トランプ政権のときにトランプの好む政策を邪魔した3つの官僚組織、司法省、軍部、情報機関への対抗人事を取るみたいな意味みたいなんだよ。 確かにアメリカは行政国家で大統領が何でもできるわけではない。トランプの第一次政権でアメリカが崩壊したかとゆうとそうとも言え
ニューヨークタイムズにトランプ当選でRFケネディJr.が保健関係の要職につくというので専門家の広報がもっと大事な問題が3つあるという話が載っていた。 その3つとは、はしかワクチン、水道水のフッ素添加、生の牛乳だそうだ。 はしかは感染力がバカ高い。これはなんとしても誤解を解く必要がある。 水道水のフッ素添加だが日本ではフッ素添加してるんだっけかと疑問に思った。子供の虫歯の抑止効果は明らかだが、胎児のIQが下がるという見解があるらしい。 個人的に一番わからないのが生の牛乳
ロシアに対しては経済制裁としてドルの国際決済システムであるSWIFTから排除したので相当効くのではないかとも思われたがそうでもない。 中国が2015年からCIPSという人民元の決済システムを運用しており、対中国貿易で人民元決済をしており、ロシア経済が回っているのではないかと個人的には推測している。 現代社会のインフラとしてはもう一つインターネットというものがある。 村井純の『インターネット文明』という本を読むと、ウクライナからロシアのインターネットを遮断するためにDNS
思えばブッシュ政権時代の共和党はチェイニーやラムズフェルドを中心として、アメリカは自由と民主主義を世界に広めるんだと息巻いていた。ネオコン(新保守主義)と呼ばれていた。 思想的にはフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」があった。社会主義政権が崩壊し自由と民主主義が勝利し、イデオロギー闘争による「大きな歴史」が終わったというものだ。なお、フランシス・フクヤマ自身は俺は野蛮なネオコンではないとブッシュ政権には距離を置いていたが。 だが今回のトランプ共和党はネオコンと180度違
かつて池内恵さんは「日本人は心の中に神様がいる「こころ教」信者でキリスト教やイスラム教の世界観を理解できていない」と言っていたことがあって、へーと感心したことがある。 確かに僕も「こころ教」かもしれない。禅の影響が強いのではないだろうか。 一方で日本人には「お天道様が見ている」という心の外部に神様がいるという観念も強いと思う。神社にお詣りするときも外部の神様に祈っているはずだ。 この「こころ教」問題は日本文化を考える上で意外と重要なんじゃないかと思う。
哲学するとは考えることである。素朴に驚き問いをたてることである。だから、それを言っちゃおしめえよ、ということがよくある。 ドゥルーズ=がダリは『アンチ・オイディプス』で分裂病と資本主義の発達の関係を論じた。フーコーは『狂気の歴史』で精神病は社会のエピステーメーで病人と顕現化したと論じた。でも精神病って脳内神経伝達物質の異常で社会変化関係なくね?と思ったりする。 東浩紀さんの『存在論的郵便的』について、自分の言いたいことが相手に伝わらないことがあるって当たり前じゃね?とツイ
若き頃に池田晶子哲学に私淑し、穴があくほど彼女の著作を読んでいて、今現在でも何かを思考するときは池田晶子的な思考回路になる。 池田晶子自身はヘーゲルを読み「わかってしまった」と言うほどヘーゲルに傾倒しており、僕もその影響でヘーゲルをたまに紐解くことがある。 ヘーゲルははっきり言って上がる。精神が高揚する。次が『精神現象学』の中で一番好きな箇所で長谷川宏訳を少し長いが引用する。 "力なき美意識が知性を憎むのは、自分にできないことを知性が要求するからだが、死を避け、荒廃から
土日の夜はいつも眠れない。動いてないから疲れていないせいだろう。日中運動でもすればいいのかもしれないが。 そんなときはNHKFMの穏やかな放送を聞きながら読書することになる。 この時間帯に流れる音楽は大変心安まるものが多い。読書がはかどるはかどる。月曜日の仕事に支障が出るからよくないんだけどね。 眠られぬ夜、あなたは何をしますか?
ふと思ったのだが神秘体験についてその真偽を問われた現代の知識人は、「神を信じるべきか」というよりも「神を信じることはいいことだ」という前提で意見表明していているようだ。 神がいようがいまいが、神罰を怖れて神を信じるほうが得だという功利主義的な考え方もあるにはある。 だが、科学主義的な知識人でも無意識的に「神を信じることはいいことだ」となんだか暗黙の前提で話をしているようなのだ。 その前提は合理的に正しいのかどうかについては僕もわからない。だけどその前提は強固なものとして
Kindle本は大変素晴らしい。物理的な紙の本は置く場所がなくて困っていたのだ。読書中毒にとっては神のようなアプリだ。 物理的に置く場所を取らないというだけではなく、わからない漢字が出てきたときに辞書を簡単に引くことが出来る利点もある。旧漢字の多いちょっと古い本を読むときに効果が出る。スマホのKindleアプリを使っているのだが、青空文庫もPCでなく片手で気楽に読めることも経済的にも非常にお得になった。 難点と言えば、Kindleに最適化されてない形式の本があることか。最
読書していて非常に気持ちのいいときがある。 それはなぜだか知らないが、文章が「ありありとわかる」ときがあるのだ。その「ありありとわかる」ときは関連する過去の実体験や読書でと共感覚のような状態になる。 脳内に気持ちいい脳内麻薬が出ている感覚すら起こる。 ランナーズハイならぬリーディングハイだろうか?