ソクラテスによる「話し言葉」の優位
ジャック・デリダの思想は幅が広く脱構築が有名だが、「話し言葉」の「書き言葉」に対する優位というものもある。
「書き言葉」はテクストとして著者から離れると独り歩きするものだ。よって「書き言葉」よりも実際の「話し言葉」のほうが優っていると主張した。
実はこの話はソクラテスによってすでになされている。
ソクラテス自身は著作がない。つまりテクストが独り歩きするのを避けていたのである。
しかし我々はソクラテスの哲学を知ることが出来る。自分では書かなかったが弟子のプラトンに書かせていたのである。
しかも用意周到にその哲学は対話篇という形となっている。「書き言葉」で哲学を残しつつも、「話し言葉」で残しているのだ。
これをどう考えるか。それも哲学である。