真夏の夜のPTA焼きそば物語。
昨日夜7時。汗だくになりながら、闇を切り裂き、猛スピードで自転車を漕ぐ私。
日曜日の夜、晩御飯の後のまったりタイムを、大河ドラマ「光る君へ」を見逃してまで果たさなければならなかった重大なミッションとは、何なのか?それは、
夏祭りの焼きそば係。
今年、私は、高2息子のPTA役人に、くじ引きで選ばれてしまったのだ。
巨大な鉄板の周りには、鬼の様相をしたPTA役員が、4人がかりで焼きそばを焼いていた。
午後に夕立が降ったせいで、いつにも増して、ロウリュウ後のサウナのような暑さ。
立ってるだけでもめまいがしそうな中、私は「焼き」ではなく、「締め」係に任命された。
これは「不幸中の幸い」かも。
「締め」とは、焼き上がった焼きそばに、青のり、カツオ、紅しょうがが散りばめられた容器を、
輪ゴムで締める
という超重要なミッションである。
(何だそんな事。簡単じゃないか。)
と言う方に説明しよう。
ここでご注意いただきたいのは、両手にゴワゴワのビニール手袋をしているという点だ。
指先が、いつもの倍ほどの大きさになっていて、ずるずる滑り、細かいものがうまく掴めない。
それでも輪ゴムを一つだけとって、容器を締めないといけない。
みんな、この「締め」作業に苦戦していた。
焼きそばを求める長蛇の列も、無言の大きなプレッシャーとなり、みんななかなか輪ゴムがつかめない。ただ一人を除いては。
そう、それは、私。
ブッカブカの手袋をしながら、輪ゴムを巧みに操り、すごいスピードで「締め」作業を遂行し、最後の袋つめ係に、焼きそばを託す。
無言で、超高速締め作業をする私に、
「すごい。職人芸や。輪ゴム職人がおる!」
にわかに噂が広まり、なんやなんやと人だかりができる。
「ほんまや。めっちゃ早い」
「カツオと紅しょうが、追いついてないで」
想定外の賛辞に、ひきつり笑い。そうこうしている間に、最後の焼きそばが売れた。無事、完売。ああ、ようやく肩の荷が下りた。
ミッション、コンプリート。
お土産に、大容量のソースと油をいただいて、これは時給に換算すると、1000円は超えるよな、とひとり微笑んだ。
(完)