お、俺たちは何を見せられているんだ!? 【ネタバレ有】劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』感想・考察
INTRODUCTION
はじめましての方ははじめまして。『SEED FREEDOM』の感想を読んでくれた方はお久しぶりです。
格ゲーマー兼Webホラー小説家兼プロ官能小説家兼、ただのガノタの大萩おはぎです。2025年1月17日より、劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』公開されましたね!
ぼくも早速観てきました!
そして観終わった今、結論から言えば――。
全人類(ガノタ)、ネタバレ踏む前に黙って観に行け!
です。興奮冷めやらぬ今、この感動を共有したい! と思い感想記事を書くことにしました。
ただしここで注意ですが、本作の感想を語るという行為はネタバレを避けて通ることができません。
ですので、ネタバレが嫌という方はここでブラウザバックを推奨します。既に観た方、多少ネタバレされたほうが楽しめるという方だけは以下をお読みください。
1.お俺たちは何を見せられているんだ!?
大萩おはぎ、劇場(だいち)に立つ
本日1/17金曜、仕事の昼休憩時にぼくがポチポチTwitterを見ていると『ジークアクス』という単語をチラホラ見かけるようになりました。
調べてみると、以前発表されていたガンダムの新作がなんと本日が先行公開日ということじゃありませんか! 知らなかった! 大人になって仕事に追われ、ガンダムにばかりかまけている場合じゃなくなった自分のアンテナの低さにガッカリしつつも、思い直して劇場の予約をさっそくとりました。
金曜の仕事終わりにガンダム新作と洒落込むか! そんな心持ちで良い席をとり、ジュースとポップコーンを買い込んで準備完了。
劇場はわりと空いていました。
一年前に『SEED FREEDOM』を観に来たのと同じ劇場ですが、客の入りはだいぶ違います。特に女性比率はかなり低いです。ガンダム自体が男性向けコンテンツといった印象がありますが、SEEDはかなり女性人気があったことを実感させられます。
今作の『GQuuuuuuX』も女性主人公ということで、女性向けにもアプローチしているとは思いますが、果たして女性人気は出るのでしょうか。それはこれから次第でしょう。
そもそもぼくはほとんど新作の前情報は入れていません。なんとなく、『エヴァ』や『シン・シリーズ』で有名な庵野秀明監督やスタジオカラーが関わっているという程度の前知識です。
新作はどんな感じでくるかな~とか、事前に見たキャラデザはポップな感じだったし若者向けかな~なんてノンキに考えながらポップコーンを頬張っていると、あまりにも長過ぎる(体感一時間くらいある)(俺は映画泥棒じゃないけどお前は時間泥棒だよな)劇場CMがやっと終わって本編が始まりました。
果たして何が待ち受けているのか――。
そこで観たのは『機動戦士ガンダム』だった
劇場でぼくを待ち受けていたもの、それは――。
・なんか聞き覚えのあるBGM。
・なんか見覚えのあるキャラクター。
・なんか見覚えのあるシーン。
……あーうんうん、そうだよね。ガンダムってこういう感じだよね。なんていうか、ゆーてもガンダムタイプって同じ顔だしさ。展開もここまでシリーズが続いたら既視感っていうか被るくらい普通だよね。
あー、あの庵野秀明さんが脚本に関わっててもそう斬新な始まり方にはならないかー。さすがに過去作と似たような感じのモノがでてきてもしょうがないよね……。
やっぱマンネリってやつ? むしろ斬新な新作は富野由悠季監督自身が『∀』とか『Gレコ』で出してきたわけじゃん。庵野さんとスタジオカラーもしょせんは後追い、富野さんの先進性には追いつけないってこt――
いやこれ、『機動戦士ガンダム』じゃん!!!
そう。
ぼくは令和最新作『GQuuuuuuX』を観に来たと思ったら、昭和の名作『機動戦士ガンダム』を観せられていたのだ。
まだ観ていない方は何を言っているのかわからないと思うがぼくも何を言っているのかわからない。
この意味が理解できると思うので、ネタバレを求めてきた未見の方はそろそろ劇場へ行ってくれ。
前半は『機動戦士ガンダム』のIFストーリーが展開される
さて、我々が見せられたのはよく知るあの『機動戦士ガンダム』(ファーストガンダム)だった。
しかし少し違う。
まず冒頭のサイド7に降り立ったのが二機のザクだけではなく、シャア専用ザク……ひいてはシャア・アズナブル自身という点だ。
ここで正史=『機動戦士ガンダム』では地球連邦軍の新兵器『RX-78-2 ガンダム』にアムロ・レイという少年が乗り込んでザクを撃退し~というストーリーが展開されるはずなのだが、本作にアムロは登場しない。
『GQuuuuuuX』ではシャアがある閃きによってガンダムに乗り込み、そのまま持ち帰る。これによりジオンでもガンダムタイプを製造できるようになったばかりか、ガンダム自体にサイコミュを搭載できるようになった。
シャアは赤くリペイントしたガンダムを駆り、本来はアムロ&ガンダムによって敗戦に追い込まれてゆく(アムロがいなくても負けてただろうけど)ジオン公国を勝利に導いてゆく……というIFストーリーが丁寧に描かれる。
最終的には負け確定の地球連邦がソロモンを月面としグラナダに落とそうとするが、それを阻止しようとしたタイミングでガンダムに積まれたサイコミュが暴走し(作中『ゼクノバ』と呼ばれる現象)、ガンダムごとシャアは行方不明となる。
こうした『機動戦士ガンダム』のIFが前半では繰り広げられ、そしてシャアが消えた後から新たな物語が展開される……。
後半はアマテ・ユズリハを中心とした新たな物語が
さて、本記事の目的はあらすじを語ることではないのでこれ以上は多くは語らない。
ここからが新主人公『アマテ・ユズリハ(マチュ)』を中心とした物語が始まる。
メカデザイン意外は初代ガンダムを踏襲した雰囲気だった前半と違い、後半はキャラデザがポップになり、特に主人公のアマテはデフォルメされた表情も多様して描かれるようになる。
絵柄と演出の違いは明確に、旧作の宇宙世紀から分岐した新たな世界観を表しているのだろう。
『愛媛みかん』といった、宇宙世紀的とはいい難いある種作中世界からすれば古い、そして現代日本からすれば比較的馴染みのある演出も、この作品が令和の若者向けに作られてた新たな物語であることを示す。
にしては始まり方がおじさん向けすぎるが?
若者が閉塞した日常を抜け出す、という物語の開幕を期待させる形で後半ひいては先行公開劇場版は幕を閉じるのだった。
さて、次章からはぼくが気になった点を箇条書きで語ってゆく。ただし、パンフレットは例によって変えなかった(人混みがや列に並ぶのが苦手だから……)ので、映像を一回みただけのガバガバ自力考察であることはご了承願いたい。
では、どうぞ――。
2.気になる点を箇条書きで考察
・シャアの声優が違う
アムロ・レイの声優がいろいろあってなかなか表舞台にでられない状態であるのはわかるのだが、今作は思いっきり前半の主人公であるシャアの声優が旧来の池田秀一さんとは違う(どうでもいい話だがぼくは池田さんと同じ誕生日12/2生まれだ。同じ誕生日の有名人で池田秀一さんというと「誰?」と言われるが気にせずずっといい続けると決めている)。
調べたところ、新しい声優は新祐樹さんというらしい。
この声優さん、声は違うがかなり池田秀一さんの抑揚を研究している。基本的には『機動戦士ガンダム』におけるシャアの抑えた演技を踏襲しているのだが、ぼくが一番「すごいな」と思ったのがあのシーン……
「アルテイシア!?」
である。
ここ、マジで池田秀一版シャアの演技を「声真似」ではなく「研究」している。「わかるー」と思った方はいいね、コメントお願いします(露骨なコメント乞食)
声優が違うことそのものについては、特に思うところはない。
だって本作は『機動戦士ガンダム』ではなく『GQuuuuuuX』なのだから。別世界のシャアはこの声ってだけのことだ。シャリア・ブルはもっといろいろ違うんだから、シャアの声が違うことは些細なことよ。
別世界のシャアとはいえ、新しい声優さんの研究成果が伝わってきて個人的にはかなり好感触でした。
・シャアがやけに自信満々なのだが
さて、新声優となったシャアだが、端的に言うと「自信満々」である。
常に強キャラであり、アルテイシア(セイラさん)と出会った瞬間意外は余裕綽々といった様子だ。
どうしてこういう違いがあるのだろう? と映画を観ながら考えていた。
おそらく、このシャアは「ガンダムと出会ってニュータイプとして覚醒したシャア」なのではないだろうか。本作におけるシャアの戦闘演出は、『機動戦士ガンダム』でのアムロの動きを踏襲している(シャア自身のものもあったが)。
これは単なるパロディという意味のみならず、正史にて「ガンダムと出会ってMS戦を繰り返しニュータイプとして開眼したキャラクター」がアムロだったところを、ごっそりシャアに置き換えているといるとい演出ナノではないかと思われる。
そうすれば、本作におけるシャアがやけに強い理由もわかる。たとえばララァではなくシャア自身がビットを使う点。これは、『機動戦士ガンダム』ではアムロとララァという強力なニュータイプの戦闘に置いていかれていたシャアが、本作ではあの二人の域に達しているという意味だろう。
正史のシャアは、ニュータイプとしての自分に常に疑念を抱いていた。故にシロッコには「ニュータイプの出来そこない」なんて言われてたし、自分でも、
なんて情けない発言をしていた。これはニュータイプである自分に自信がないことの裏返しだ。
しかし本作ではそういうシャアの弱さ、迷いは見られない。むしろシャリア・ブルを導く先輩ニュータイプとしての側面が強く出ている。
そして何より違うのは、このシャアには「母になってくれるかも知れなかった女性」がいないし、きっと必要ないという点だ。
・本作のシャアにはララァは必要ないのか?
本作にはシャア・アズナブルにとってのキーパーソンであるララァ・スンが登場しない。
その理由を考えていた。
理由を現実的に考えると、「シャア自身がビット兵器を扱える(ガンダムにビットが搭載された)ため、エルメスが開発されなかった」といったところだろうか。とすると、エルメスのパイロットであるララァもシャアと出会うことはない。
しかし本作のシャアはララァやアムロ並のニュータイプであり、自分がニュータイプであるという自信を持っているように見える。ガンダムを駆り戦果を上げ、ジオンを勝たせつつザビ家も打倒できるという圧倒的な「自己効力感」がある。
そんなシャアに「母になってくれるかもしれなかった女性」が必要だろうか? 否、ない。
作中設定はいろいろ考察できるだろうが、メタ的に言えばこのシャアにララァは必要ない。仮に出会ったとしても、魂が惹かれるようになるようには思えない。
『機動戦士ガンダム』におけるシャアはこう言った。
正史のシャアは迷い、ガンダムに負けまくり自己効力感を失っていた男だった。ニュータイプとしての格上のララァとアムロの感応を垣間見、結果として「ニュータイプのなりこそない」として生きるしかなかった。
しかし本作のシャアは後輩ニュータイプであるシャリア・ブルを導く立場である。導かれる必要はない。これはガンダムに載るという別の歴史を歩んだためニュータイプとして早期に開花し、自己効力感を持つことができた全く新しいシャア像である。
・ララァの面影:『シャロンの薔薇』って何?
本作前半終了時、ガンダムのサイコミュが突如発光現象を起こし、シャアジオンを救うことはできたがそこで行方不明となる。
その時にシャアが言ったのが「刻が見える」である。これはララァの言葉だ。本作に登場しないララァだが、ここにララァの面影がある。
本作ではこの発光現象を「ゼクノバ」と故障してるが、これは『逆襲のシャア』における「アクシズ・ショック」のサイコフレーム発光現象と類似している(シチュエーションもそっくりだ)。
シャアはガンダムとサイコミュ、そして自身のNT能力でこれを起こしたのか? それはまだ不明だ。
直前にアルテイシア(妹、おそらくNT)と邂逅したのも影響しているのか? そして『シャロンの薔薇』という謎の単語は、ジオンのNT研究と何か関係があるのか? このあたりの謎が複雑に絡み合ってあの「ゼクノバ」現象が起こったと思われるが、それはこれからのお楽しみといったところか。
今後の展開や、いろんな考察を楽しみにしてます。
・アムロのいない宇宙世紀
アムロがいない宇宙世紀はどうなるか、ガノタがさんざん議論してきたIFである。
本作はそれに一応の回答を示している。
アムロがガンダムに乗らない、だけだとゆーて地球連邦が強くてジオンが負けるというストーリーは変わらないとぼくは思っていたし、実際そう考察するガノタが多かった印象だ。
だけど本作では「アムロがいなかった場合シャアがガンダムに乗っていろいろ変わってジオンが勝つ」という大胆な歴史の変更を行っている。なるほどね、本家はオタクの想像を越えてくる。そうでなくっちゃあな……。
しかし期待してしまうよね。
IFの宇宙世紀において、アムロはどうなっているのか?
彼ははたして今後登場するのか……。正直登場しないと思うが、何かしら「面影」が出てくるのか? 今後が楽しみです。
・新主人公アマテ・ユズリハ:お前は頭エレン・イェーガーか?
さて、シャアの話ばかりしてしまった……。
ガノタはほうっておくとシャアの話をする。証明されちまったな……。
そろそろ新主人公アマテ・ユズリハの話をしよう。
ここは今後の展開があるから考察できる部分は少ないが、気になった点は一つ。
頭エレン・イェーガーか?
本作を見たぼくがアマテに抱いた印象は一言で言うとコレである。
彼女は普通の学生っぽい境遇で、ちゃんと親もいるのだが、どこかネジが外れている。
自由を侵害されると感じたらすぐに「戦う」という選択肢を取れる精神性を持っている。これは『進撃の巨人』のエレン・イェーガーと同様である。家庭環境ではなく、生まれ持った精神性で境界を踏み越えてしまえる者だ。
さて、「境界を踏み越える」とぼくは言ったが、その精神性は作中で如実に描写されている。
それは本作のヒロイン「ニャアン」が、運び屋の仕事をするために客の隠れ家の呼び鈴を鳴らそうとするシーンでわかる。ニャアンは難民という境遇のため生き抜くために仕事をするのだが、境界を踏み越えることに躊躇する姿を見せる。対象的に、アマテは躊躇なく呼び鈴を鳴らし境界を踏み越える。
彼女は常人が躊躇する一線を用意に踏み越える精神性を備えているのは間違いない。
しかしそれが今後吉と出るか今日と出るか。
そしてその精神性が、家庭や環境から生まれたものか、本当にそんなものとは関係なく彼女自身の資質から出たものなのかも今はまだ確定していない。今後の物語に期待である。
ちなみに目が大きくて身体がちっちゃくてデフォルメ顔が多くて……髪や瞳はポップな色合い。キャラクターデザインは素直に可愛いと思いました。けっこう好みです(パイロットスーツだと意外とデカいのも好き、とガンダムが言っている)。人気が出てほしいですね!
3.新たなニュータイプの物語が始まる
そもそもニュータイプってなんなんだろう
本記事では頻繁にニュータイプとかNTって単語を口にしましたが、ニュータイプって何なんでしょうね?
ぼくはガノタとはいいましたが、まあ正直ニワカです。ガノタという生き物は人生に何度かニュータイプ論を展開すると決まっているのですが、ぼくのニュータイプ観はかなりざっくりです。
つまり、「1.ジオン・ダイクンが提唱した、本来労働者階級だったスペースノイドは支配階級だったアースノイドより宇宙に適応した分、優越してるんだよというポジショントーク」と「2.実際に宇宙進出した結果、認識能力が拡張されてサイコミュを扱えるようになる人間(エスパー)がでてきた」という二つの事象が合わさって「ニュータイプ」という概念が成立したという理解です。
ニュータイプが「他人とわかり合う」とか「人類の革新」ってのは、あくまで作中人物の個々の解釈や願望であって、宇宙世紀における一般的なニュータイプ概念はこんなところではないでしょうか(異論は認める)。
しかし本作は従来の宇宙世紀ではなく、分岐した宇宙世紀です。『シャロンの薔薇』といい、まだ謎が多く、従来の宇宙世紀とは違うニュータイプ観が披露されるのかもしれません。これは今後に期待しています。
ジークアクス、ちょっとUCと似てるよね
さて、そろそろ本記事も終わりなのですが。『GQuuuuuuX(ジークアクス)』ってちょっと『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』と似てますよね。
・主人公が新型サイコミュ(サイコフレーム)搭載ガンダムと強く共鳴し、性能を引き出せるためパイロットとなる。
・宇宙世紀における「発光現象(アクシズショック、ゼクノバ)」を起点に物語が展開し、ニュータイプの解釈を提示する。
・シャアという人物の面影を追う物語(ジークアクスでは別世界のシャアが、UCではシャアの再来と言われるフル・フロンタルが登場しました)。
・『ラプラスの箱』や『シャロンの薔薇』といった『謎(マクガフィン)』の存在。
など。
宇宙世紀の続きを描いた作品として類似していると思います。制作陣が意識したのかはわかりませんが。
CONCLUSION
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』とっても楽しめました!
ポップなアートスタイルで若者向けかと思ったら思いっきりおじさんむけの作品だと思います。頑固な旧来のガノタも是非行ってきて楽しんだり、ブツクサ文句を言ってほしいと思います。
初見で考察できる部分はこのくらいですが、皆様の感想・考察も楽しみにしています。「ここはこうじゃないかな?」と思った方はコメントもお待ちしています。
ではでは今回はこのへんで。TVシリーズも待ち遠しいですね!
本noteが面白いと思った方は、♡いいね、コメントなどお待ちしています!
BGM:井上大輔『めぐりあい』