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[映画感想文]│『ウルトラマンブレーザー』上の子と映画デート

下の子が深夜に嘔吐した。

妻と一緒にバタバタと跡を片付け、独り飲んだくれて寝落ちしたまま朝を迎えた。今日は一家で『ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突』を観に行く予定なのだ。

朝から待ち切れない上の子は、ソファから起き上がれない私の下へ度々やってきて、「はやくいかないと!」みたいなことを言いながらチョロチョロしていた。

しかし下の子はやはり体調が優れない様子であり、連れて出るのは難しそうだった。出掛けたいのに留守番を強いられる下の子は不機嫌そのもの。それもその筈、水疱瘡に罹ってから保育園以外の場所へは行けていないのだ。

泣きながら妻に抱きかかえられる下の子を尻目に、上の子と私は出発した。お父さんだって本当はキミも連れて行きたいんだぞ!

昨日までの雨はすっかり上がり晴れ渡る空。しかし吹き付ける風は冷たく、まだ冬を感じることができる。

不本意なラーメン屋で不本意なラーメンを食べ、我々は劇場へと到着した。

塩気が凄く強い

開場まで30分以上もあり、我が子のトイレタイムやポップコーンの購入を済ませてもまだ時間は余っていた。

劇場にはウルトラマン関係の衣装に身を包んだキッズ(意外と大人も多い)がひとりまたひとりと増えてゆき気付けば開場を待つウルトラマンファンで溢れていた。我が子も待ちきれずにソワソワしつつ、ゲートと私の時計を見比べながらその時を待っていた。

お父さんはこっちのが興味あるなぁ…

やがて開場のアナウンスが流れると、そこかしこからオープニング曲『ぼくらのスペクトラ』と思しきメロディを口ずさむ子供達の声が聞こえてきた。

普通の怪獣と大怪獣って何が違うのだろう

我々は前寄りの座席で且つ来られなかった妻と下の子の分の座席もあったので、比較的ゆったりと落ち着くことができた。予告はアニメ関係のものが多く、私は退屈だったが上の子は楽しそうに見入っていた。劇場の7割くらいは親子連れとなっており、キッズの人数は結構なものだったものの、皆割と静かに鑑賞していた。偉い。

さて肝心の映画だが、まずテレビシリーズのおさらいから入る親切な作りとなっている。全体的にコメディ色が強く笑い声の聞こえてくるシーンも多かった。ウルトラマンの出番まで子供達が飽きずに観ていられたのは、こういうところが影響しているのかも知れない。

そういう親切さは全体的に行き届いている映画となっており、敢えてチープに作ってあるダムノー星人やその行動に違和感を覚えるゲントのセリフなど丁寧に作られていた。また序盤で「ママの様子が変」と言う子供の姿には、2人以上子供の居るご家庭ならばピンと来るものがあっただろう。同じくゲントも「もしかして」と思ったからこそ素っ気ない対応をしているのかと思ったら、最後のシーンで思い切り驚いているというチグハグな部分もあったが、それはそれとして投げっ放しで意味深なだけの演出やギミックが無かった点は偉い。忙しそうなゲント隊長も、やることやってんのね。

一方で、ファンタジーな部分も少なくはなかった。12歳の子供が何の後ろ盾もなく世界中のサーバを経由して父親の会社のシステムを掌握した上に電波ジャックどころか軍事施設のミサイルまで自由に動かせるのは流石に無理がある気がしたし、そのミサイルが24発も着弾した施設から無傷で脱出できるのも「えっ…?」となってしまう。カプセルを持ち逃げしようとした社員が平然と銃を持っているのも不思議だし、そもそもアイツは殆ど話に絡んでいない気がする。ナンなら12歳の子供をそそのかした張本人とかにしておいた方がスッキリしたに違いない。

あんな速さでAD弾やADアーマーを作るヤスノブ隊員は相変わらずのバケモンだが、怪獣の体内へ突入するのが前提ならばそのアーマーは全身を覆う作りにしておくべきではないのだろうか。もっと言えばAD弾もアースガロンの武装に搭載した方が効果的だろう。

しかし80分程度という短い枠の中できちんとドラマを展開してキレイに片付けているだけでも凄いことだ。しかもダイジェストや主題歌まで入っている。

剣や鳥も出て来たけれど、スパイラルバレードが大活躍だった点は好きだったしテレビシリーズ同様にラストシューティングはグッと来た。怪獣もブレーザーもよく動くので、肉弾戦は往年の怪獣プロレス感があってノスタルジックな興奮もあった。派手に壊れる国会議事堂のセットは凄く力の入った作りであったし、あれが音を立てて崩れるシーンには子供だけでなく大人たちも胸がすく思いだったのではないだろうか。

私も眠らずに最後まで楽しめたし、我が子は大満足だった。「いきなり50mになるとは思わないじゃないか」みたいなセリフには大人達の笑い声が響いていたので、周囲のお父さんたちも退屈せずに観ていたようだ。「もっと父親に認められたい・父親と遊びたい」という子供達の要求に応えるべく、それぞれ劇場を後にしたのだろう。

我が子が握り締めて帰った特典アイテム

私も上の子のリクエストに応えてクレーンゲームやカードゲームで一緒に遊び、帰りは回転寿司屋のカウンターに並んで座った。

我が子の嬉しそうな笑顔を何度も見ることができたのは良いのだが、そんな上の子は寝る前に発熱した。下の子の体調も快復とはならず、妻も疲れている。

我が家の明日はどっちだ。

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