アタイと和牛と狂戦士
元々フッワフワだったベッドカバーが
その油分を失いに失った末に今や
夜な夜なアタイの皮フを削り取るガッスガスの布ヤスリと化しておる。
ご無沙汰です。
高級(薄給)焼肉バイトの大葉です。
焼肉屋さんで洗い物したことある人なら分かるかもですが、皿に付着している脂の量が他の飲食店と比べものになりません。
再利用してまたお肉焼けそうなくらいの脂の池を綺麗サッパリ落とそうとすると、どうしても掌への被弾は免れません。
いかに高級な焼肉屋さんとはいえど、
いかに高級な和牛の脂とはいえど、
生半可な手洗いじゃなかなか掌から離れてくれません。
存在そのものがブランド品なんだからもうちょい紳士的な振る舞いをしてほしいものです。
女々しい牛肉は嫌われますよ。
てかオマェ別にゴム手袋すりゃええやんと思ったそこのアナタ🫵😄
鋭敏なセンスをお持ちの方だとお見受けします。
ですがもう少し広く柔らかく想像を巡らせることをお勧めします。
油は水よりお湯で流した方が落ちやすいです。こんなの大前提です。
しかしそんな環境でゴム手袋を付けて作業するとどうなるでしょう。
熱と湯気で手袋の中はムレッムレです。
しかも何かのはずみで中に入り込んだ脂や焼肉のタレ、洗剤が留まり皮フを長時間蝕んでいきます。
じゃあ洗わない時は手袋外して都度取り替えたらええやんと思ったそこのアナタ🫵😁
バカですか🫵😡
ムレムレのゴム手袋ほど付けづらいものはないのをご存知ないのですか🫵😡
それを無理矢理付けようとするといとも簡単に破けてしまうのをご存知ないのですか🫵😡
そうして社員さんに無駄遣いするなと言われるのが想像できませんか🫵😡
とはいえ普段行くスーパーじゃケース越しに指を咥えて眺めることしかできない、そんな憧れの和牛から滲み出たタップリの脂と目一杯戯れることができるというのはさして悪い気分でもありません。
さらにさらに、こういう店に来る金持ちは金銭感覚がイカれてるのか、せっかく焼いたお肉に手を付けず皿に残したまま帰る輩がそこそこ居ます。
(彼等のアタマの中にはフードロスへの危機感も日本が世界に誇る『MOTTAINAI』のスピリットも皆無なようです)
そういうトンチンカンのお陰で我々バイトは、
「金持ちに焼かせた和牛を一瞥してそのままゴミ箱にブチ込む」という、
字面だけならそこらの王族・貴族ですら滅多にしないであろう至高の愉悦を体験できるのです。
でも普通に心痛むからちゃんと残さず食べてね、、、
なんやかんや言いながら楽しく働いとるわけですが、それでも脂塗れの手で家に帰るわけにはいきません。
いかにJAPAN WAGYU BEEFのABURAといえども動物油脂であることには変わりありません。
オリーブオイルと違い肌に付けたまま放置すると普通に荒れます。
しかし先述したように和牛の脂、量はもとより粘度もねっとり濃密ハイブランド仕様なので、下手なハンドソープじゃ文字通り格が違いすぎて太刀打ちできません。
そこで助けを乞うのが「業務用食器洗剤」です。
歴戦の猛者のみに与えられる称号を携えた彼ならば或いはと一縷の希望を掌にまぶし付けるわけです。
ですが絶大な破壊力に犠牲はツキモノ。
花王による幾多の投薬実験と肉体改造の果てに、彼は本来殲滅すべき敵と守るべき存在を区別する知能すら失ってしまいました。
そうして生まれた哀しき狂戦士(バーサーカー)には我々の声など届くはずもなく、牛脂も皮脂も全て葬り去って行きます。
牛脂を残したら手が荒れるから強めの洗剤を付けたのに、逆に強すぎて手が荒れるという無情。
こんなトコに2日に1回くらいの頻度で入るもんだから一向に手荒れ治らないし、
おかげでハンドクリームがないと生活できない体になっちゃったけど、
アタイどうにも憎めないんだなぁ、、
この掌の王国は、最後に荒野と化す運命からは決して逃れられないと分かってはいても、ココのまかないくそ美味いからなぁ、、、
なので世の製薬会社のみなさま、動物油脂だけ消し飛ばす洗剤が欲しいですお願いします。
…あ、人間の皮脂も動物油脂判定になる説ある?
さいならー