（ものがたり）おおきな ちいさな ともだち
（ものがたり）おおきな ちいさな ともだち
ボイラはおおきな 巨人です。
ちいさな小人のピコと ともだちです。
ボイラにピコは 見えません。
ちいさすぎて 見えません。
ピコにボイラは 見えません。
おおきすぎて 見えません。
声もきこえません。
さわった感覚もわかりません。
けれど。
そこにいることは わかります。
たしかに ともだちなんです。
見えないけど きこえないけど。
見えることだけが ともだちですか？
きこえることだけが ともだちですか？
本当に？
ボイラとピコは ともだちです。
おおきな ちいさな ともだちです。
ボーラーボラ。
ボイラが笑うと ピコもリンリン笑います。
そうしたら たのしいうたを うたいます。
のんびりお空のくもを ながめて。
ピト、ピト。
ピコが涙をおとすと ボイラもせつない気持ちになります。
そんなときは やさしいうたを うたいます。
ゆっくり遠くのおほしさまを ながめて。
ボイラとピコは ともだちです。
だけど ときどき ひとりきりになります。
そんな気分のときも あるね。
そして ボイラはピコへ お手紙をかきます。
ひろい砂浜に 流木で 『ピコへ』 って。
なにをかこうかなぁ？ って。
かんがえていたら 海の波が さらっていったよ。
ピコもボイラへ うたをつくります。
まるいこもれびの ステージで 『ボイラへ』 って。
なにをうたおうかなぁ？ って。
かんがえていたら 光はキラキラ かぜにゆれたよ。
ある日 ボイラはおもいます。
ピコは いるの？
ピコもおもいます。
ボイラは いるの？
見えないのに。
きこえないのに。
そしたら ふたりは かなしくなってね。
ひとりぼっちになりました。
ボイラは 泣きます。
ピコを あたまにのせながら。
ピコは 泣きます。
ボイラに 涙をこぼしながら。
そしたらね。
夜空から そっとやさしいうたが流れてきたんだ。
ボイラには きこえたよ。
『ボイラへ』 って。
ピコには きこえたよ。
『ピコへ』 って。
そこにいるの？ って。
うれしくなって。
お手紙を 届けてくれたんだね。
おほしさま おつきさま 夜かぜ 波おと。
ふたりは しあわせです。
いつまでも いつまでも。
ボイラはおおきな 巨人です。
ちいさな小人のピコと ともだちです。
ボイラにピコは 見えません。
ちいさすぎて 見えません。
ピコにボイラは 見えません。
おおきすぎて 見えません。
声もきこえません。
さわった感覚もわかりません。
けれどもね。
ボイラとピコは ともだちです。
おおきな ちいさな ともだちです。
いつまでも いつまでも。
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