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10月8日第73回労働政策審議会雇用環境・均等分科会@厚生労働省を傍聴しました。



下記に検討のあらましと各委員の発言の要旨メモを記します。

なお、正式な議事録は後日同じURLに追加されると思います。

下記傍聴メモは特に「資料2 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題」の内容を把握して理解されることをお勧めします。
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冒頭、まず雇用機会均等課長による資料全体の説明がなされ、説明の最後にILO第190号「仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約」は現在44カ国が批准済みと付言されました。
当日資料のありかです。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44130.html
資料1 職場におけるハラスメント対策についての現状等
資料2 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題
参考資料1 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 概要
参考資料2 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書
参考資料3 雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書 参考資料

■本日の検討課題


資料2「女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題」の「2.職場におけるハラスメント防止対策の強化」における
 ⑴.職場におけるハラスメントは許されるものではない旨の明確化
 ⑵.顧客、取引先等からの著しい迷惑行為等(カスタマーハラスメント)対策の強化
 ⑶.就活等セクシュアルハラスメント対策の強化
 ⑷.いわゆる「自爆営業」についての考え方の明確化
のうち、(4)を除く3項目について重点的に検討することとされました。
なお(4)いわゆる自爆営業については「資料1 職場におけるハラスメント対策についての現状等」のP.18に示されている通り、令和6年6月 21日 に「規制改革実施計画」の一環として労政審で検討する旨が閣議決定されています。

検討に関わる発言メモ



(労働者代表委員1)
「職場のハラスメントは許されるものではない」という主旨を4つのハラスメントとは別に法律条文にいれるべき。
また、政府はILO第190号批准に向けて進めるべき。

(使用者代表委員2)
質問:カスハラは行為者が従業員ではないということをどう考えるか。
(雇用機会均等課課長)
消費者教育も含め社会全体への周知と機運醸成に向けて推進。

(使用者代表委員2)
4つのハラスメントとは別に昨今「何でもハラスメント」と言われる問題が起きている。ハラスメントが過剰に広く解釈されるべきではない。対象となる行為の範囲など慎重に検討すべき。

(労働者代表委員3)
カスハラ対策の強化(措置義務化)については必要と考える。
また、各業界対象の業法にも規定がバラバラに存在するので、これらの整合性見直しも検討すべき。
「④セクハラのように事業主が他の事業主から必要な協力を求められた場合の協力に関する規定を設けることについてどのように考えるか」については、努力ではなく義務とすべき。このとき、企業間での協力はもちろん労働者間での協力も対象とすべき。

(使用者代表委員4)
カスハラ対策の強化は他のパワハラ、セクハラと同様に雇用管理上の取り組みとして進めるべき。
カスハラの定義はこれから企業内で対応を検討するときの拠り所になる。
政府による業界団体への支援、消費者教育を望む。

(労働者代表委員5)
質問:民間企業でのカスハラだけでなく、学校保護者、通院患者の関係者をどう例示するか。
(雇用機会均等課長)
「その他利害関係者」に含まれてくると考えている。

(労働者代表委員5)
カスハラ該当例は限定列挙にした場合、すべて網羅できない。
言動の態様について。限度と内容、あらゆるハラスメントを。

(使用者代表委員2)
・第三者に対して「これはハラスメントだ」と明確化すべき。これからこの審議会において詳細を議論していくべき。
・「利害関係者」だが、すでに退職した者から窓口担当者に心無い言動もあると報告されている。
・他の事情主からの要請による対応協力を措置義務化することには異存ない。
・受注企業が発注元企業からカスハラされた場合、それが正当なクレームである場合も多く難しい問題がある。
・対応の実務については都道府県労働局への期待大。
・窓口担当、人事、法務等、多数の部門が対処すべきだが、個人情報などの取り扱い難しく、モデル事例(標準的な取り扱いのモデル?)などあればありがたい。
質問:カスハラは民間企業に限らない。官庁からのカスハラも多いがどう考えるか。
(雇用機会均等課長)
公務員を対象から排除しているわけではなく、対象となると考える。

(労働者代表委員6)
・消費者などからの正当なクレームを妨げられないことは重要。
・カスハラは事業主の取り組みだけではNG。社会全体として、国が消費者を啓発し社会的な合意形成を進めるべき。
・業界ごとに標準的な対応マニュアルを望む。

(使用者代表委員5)
雇用管理上の措置義務は必要と考えるが、資源に限界がある中小企業の取り組みを支援して欲しい。

(使用者代表委員6)
「ハラスメントは許されない」を法律条文に含む件はOK。ただし業種業界ごとの支援や、中小企業への支援を望む。

(使用者代表委員7)
カスハラについては実務的な事例を積み重ねが重要。それを踏まえて消費者保護と消費者利益も両立させるべき。消費者はいわばサイレントマジョリティで法制化のプロセスで直接意見を言えない。消費者の意見をどう汲み取り反映するか。近時、外注化やたらい回しで消費者の正当なクレームの処理がうまくできていないという問題もあり。

(使用者代表委員8)
このテーマは労使ともにたくさんの意見があると感じた。東京都条例、各業界、業種によって取り組みに濃淡がある。推進について相談できる枠組みを国として用意して欲しい。

(使用者代表委員9)
職場における一層の対応が必要。社会全体として進めるべきこととともに職場で取り組むことが一番必要だが、LGBT差別禁止が職場では厳しくなりつつあるが社会的な感覚とギャップがある。このようなことは国としての周知が必要。

(労働者代表委員5)
今回の課題設定で「就活セクハラ」とあるが、就活はセクハラだけではなくパワハラもある点を指摘しておきたい。

(労働者代表委員1)
求職者に対しても、就活時のハラスメント行為についての注意を周知すべき。また、ハラスメントを受けた場合の相談窓口情報なども周知すべき。

(使用者代表委員4)
就活ハラスメントについて厳しく対応する点に異存なし。

(公益代表委員10)
就活生へのハラスメント行為は職場の雇用管理の延長と考えて法制化するべき。事業場以外も広く捉えるべき。


【参考】


カスタマーハラスメントの定義については、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会報告書」(令和6年8月8日)において、以下の3つの要素をいずれも満たすものとされている。

ⅰ.顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと。
・ 「顧客」には、今後利用する可能性がある潜在的な顧客も含むと考えられること。
・ 「施設利用者」とは、施設を利用する者をいい、施設の具体例としては、駅、空港、病院、学校、福祉施設、公共施設等が考えられること。
・ 「利害関係者」には、法令上の利害関係だけではなく、施設の近隣住民等、事実上の利害関係がある者も含むと考えられること。

ⅱ.社会通念上相当な範囲を超えた言動であること。
・ 権利の濫用・逸脱に当たるものをいい、社会通念に照らし、当該顧客等の言動の内容が契約内容からして相当性を欠くもの、又は、手段・態様が相当でないものが考えられること。
・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の判断については、「言動の内容」及び「手段・態様」に着目し、総合的に判断することが適当であり、一方のみでも社会通念上相当な範囲を超える場合もあり得ることに留意が必要であること。
・ 事業者又は労働者の側の不適切な対応が端緒となっている場合もあることにも留意する必要があること。
・ 「社会通念上相当な範囲を超えた言動」の具体例(を今後挙げる)

ⅲ.労働者の就業環境が害されること。
・ 労働者が身体的又は精神的苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じるなどの、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを意味すること。
・ 「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当であること。
・ 言動の頻度や継続性は考慮するが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合は、1回でも就業環境を害する場合があり得ること。

講ずべき措置の具体的な内容(案)


・ 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
・ 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・ カスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
(カスタマーハラスメントの発生を契機として、カスタマーハラスメントの端緒となった商品やサービス、接客の問題点等が把握された場合には、その問題点等そのものの改善を図ることも含む。)

・ これらの措置と併せて講ずべき措置
他の事業主から協力を求められた場合の対応に関する規定
○ 仮に措置義務を設ける場合に、セクシュアルハラスメントに係る雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47 年法律第113号)第11 条第3項の規定を踏まえ、カスタマーハラスメントについても、事業主が、他の事業主から必要な協力を求められた場合の協力に関する規定を設ける。

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