B2BとB2Cで、サービスの企画に違いなんて無い
こんにちは、Keiya Ohashiです。
Ohashiとは、数少ない横浜スタートアップの株式会社アペルザで事業企画をしている者です。※他企業で言うとPdM的な役回りですが、プロダクトのことに限らず会社の事業全体に関わるという意味で事業企画と呼称します。
今回の記事ではプロダクトに関わる人が集まるとたまに議論になる「B2B、B2Cのそれぞれのサービス企画の違い」というところについて記事にしました。
この記事で述べることのまとめ
・目の前の人を幸せにしよう。
・社内に答えは無い、常に顧客を見よう。
これまでの経歴
新卒でグリーに入社し、所謂B2Cソシャゲの企画としてキャリアをスタートし、その後メルカリでB2C企画をし、一度メルカリを退職し、DELISH KITCHENのエブリーでB2C企画をしました。
しかしエブリーの途中からスーパーやコンビニといった事業者を相手にした、リテールソリューションの立ち上げを行いました。ここでB2Bのサービスを初めて経験しました。
その後再度メルカリグループに戻り、メルペイの立ち上げを行い、ここでもQRコード決済を導入する事業者向けの管理画面やQRコード読み取りアプリの開発に携わりB2Bのプロダクト開発を行いました。その後メルカリのアプリ内Growth施策の企画運用(B2C)を担当。
そして現在は株式会社アペルザで製造業に特化したバーティカルSaaSを開発しており、B2Bのサービスを作っている訳です。
全く意図していたわけではないのですが、その時々に求めるものを追い続けた結果、toB、toCどちらのプロダクトにも種々関わってきました。
巷にあふれるB2BとB2Cの違い
・B2Cはクリエイティブ力が大事でB2Bはそうではない
→だからB2Cは深く理解することよりも試行の数が大事
・B2Cはスピードが大事、B2Bは確実さが大事
→だからB2Bの方が施策リリースに時間かかる
・B2Cはユーザーが多様、B2Bは限定的
→だからB2Bは特定のペルソナに合えば良い
上に挙げたようなことってよく言われているのを耳にしますし、採用面接をしていてもよく候補者の方から聞いたりもします。
B2BとB2Cでサービスの企画に違いなんて無い
ここからは全て主観ですが、私自身としては過去、今と多くのサービスに関わってきて、上記の違いなんて、この瞬間に忘れてしまっても良いくらい些細なことだと思っています。
やはり最後のところで選んでもらえるサービスは随所にクリエイティビティというか、作り手のこだわりが感じられるものだと思うし、また、サービスの受け手としては、「今俺はB向けのサービスを使ってるぞ!」、「今私はC向けのサービスを使ってるの♪」なんて微塵も考えないで目の前の画面に集中しているわけです。
また、C向けサービスはすぐに機能を引っ込めることになったとしても、何よりもスピードが大事だというのも一理あるんですが、メルカリ時代に駄目なら引っ込めてもいいやと提供した機能は一つも無いし、残念ながら引っ込めることになった新機能も取り下げた瞬間に、多くのお客様からのお叱りの声がCSに相次いだり、SNSが荒れたりもしました。そのリスクを孕んでいるのって、B2BでもB2Cでも絶対に変わらないし、一つの機能追加に作り手は魂を込めている(込めないといけない)し、その機能には常に、「挑戦」と「堅実さ」が同居しているのも変わらないことだと思っています。
また、確かに弊社は製造業の方々をお客様としてバーティカルなサービスを提供しているので、製造業で働くという人というペルソナで限定的じゃないか?と言われるかも知れません。ただ、日本の基幹産業である製造業で従事する方は1000万人を超えます(全就業者数の15%超を占めます)。言うならば、10代の男女全員(約1100万人)くらい荒い指定をしているのと同じです(もちろんその中で細分化してもっと細かいペルソナ決めるというのはありますが)。
ここでは、もちろん違いと言われれば、そういう要素は無きにしも非ずだけど(そういう考え方もあるよなと理解はできますが)、それによって、何か手法や、作り手の考えが変わるほどの要素にはなりえないんじゃないかと個人的には思っているということをお伝えしたかったです。
では、結局何が大事なのか?
目の前の人を幸せにしよう
我々はなぜサービス、プロダクトを作るのでしょうか?
自分の根底にあるものは、自分が作ったものを使ってくれる人がいる喜び、それを使ってくれる人が結果として、今までよりも幸せになることの喜びだと思っています。
自分が作ったゲームで「退屈だった日常だけど、誰かとつながっている実感が得られた」人がいる喜び。
自分が作ったアプリで「大切な人に美味しいと言ってもらえて、料理を作る喜びを知った」人がいる喜び。
自分が作ったアプリで「自分にとって不要だったものが、新たな誰かの元で再び輝くことを知った」人がいる喜び。
自分が作ったSaaSで「今までなかなか受注が取れなかったあの顧客から初めて受注した」と喜んで報告してきてくれる人がいる喜び。
本当にかけがえのない経験だし、本当にこの仕事を選んで良かった、プロダクト開発をしていて良かった、と心から思う瞬間です。
いきなり世界中の人を幸せにはできないかもしれない。だけど、調査に協力してくれたあの人、家族、友達、Twitterの告知Tweetに律儀にリプライくれるプロダクトのファンの人、そういう自分の目の前にいる人は絶対幸せにする。そういう強い気持ちがまずは一番大事だと思っています。もちろん、2B、2Cに限らず。
社内に答えは無い、常に顧客を見よう。
プロダクト開発において、B2B、B2Cに限らず、使ってくれるお客さんのことをよく知り、解像度を高めることは何よりも重要です。
社内で仕様についてあーでもない、こーでもないの議論は不要です。
何よりも企画者たるべきもの、社内の誰よりも顧客の今を知ってなければいけないし、知る努力をし続けるべきです。そうすれば自ずと使う人のジャーニーに基づいた仕様がわかる(not考えられる)はずです。
「ユーザーはこの時こういう操作をしてしまっていました」や、「○○社ではこういう用途でこの業務をしていましたよ」という実例よりも強いものはありません。
B2Cの場合なら、想定利用ユーザーの家にお邪魔して、居住空間、家族構成、生活リズム、想起するもの、具体的に同様の欲求を満たすとしたらの既存行動等の観察は必須ですし、また都市部とそうでない地域でも大きく行動や思考に差が出るので、その両方で一定数の調査は必要になります。
B2Bの場合なら、想定利用企業のオフィスにお邪魔して実際に数日間、サービス使用するであろう人の席の隣に陣取り、つぶさに業務観察をし、また、経営者にもインタビューを行います。それを企業のサイズ、経営状態、商流のどこに位置するプレイヤーなのかを意識しながら調査を繰り返します。
(調査について詳しく書くとそれだけで大作になってしまうのでまたの機会に。。。)
そして、そこで見つけ、聞いた課題を抽象化し、構造化して、テクノロジーを掛け合わせ、施策に落とし込んでいくことがPdMが求められる一番の姿勢だと思います。全てはその正攻法をやり続け、小さなPMFを繰り返すことが偉大なサービスを作る道だと思っています。
終わりに
読んでくださり、ありがとうございました。
あくまでこれまでの経験に基づく主観ですので、そうは言っても違いはあるという反対意見も当然あると思います。
本記事では、もう少し抽象的なところで、作り手としての心構え、サービス企画の初期のプロセスについて触れました。
無理やりまとめると、結局のところ、利用者が誰であろうと、プロダクト開発って楽しいものだし、根底にある作り手の欲求みたいなものって変わらないんじゃないかと思っています。釣りみたいなタイトルですが、Ohashiという一PdMがどういう者か?ということを知ってもらえるキッカケになればと思います。
今後は事例や手法的なところも書いていければいいなと。
では、また次の記事でお会いできれば幸いです。
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