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[SNS崩壊の危機] 開示請求の簡略化は裁判の悪用をも招いた #4


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[SNS崩壊の危機] 開示請求の簡略化は裁判の悪用をも招いた
#1 https://note.com/oharan/n/n1c6a86f04a9c 
#2 https://note.com/oharan/n/n84f72ad84b02
#3 https://note.com/oharan/n/na1efc5bca230
#4 https://note.com/oharan/n/n27b621233b64
 



お詫びからスタート

Xで長く相互フォローの関係にあるフェミトー氏が、開示請求からの民事訴訟というコンボを喰らってしまったことに端を発したこの連載記事。

当初の予定では昨年中に今回アップする4本目まで書き上げるつもりだったのですが、3本目をアップした辺りで家庭内パンデミックが巻き起こり、インフル当選からの体調不良の雨あられ。

タイミング的にクリスマスも何もない、息子にプレゼントもケーキすらも買ってあげられずひたすら寝込むという酷すぎる年末年始を過ごすこととなりまして……。

そのせいで記事の更新もままならず、まさかの連載記事が年を越すという大失態となってしまいました。虚弱な自分が嫌い。

という訳で、すでに内容を忘れているという方は上のリンクから連載1本目から読み直していただき、「開示請求のハードルが下がった事によるリスク」について考えていただければと思います。


結論に向かう前に話を思い出そう

当初の予定では、さっくりと話をまとめて、今後想定できるアレやコレについて触れて〆るつもりだったのだが、間が空いてしまったので、まずは話の振り返りから行いたい。

第一回で触れたように、フェミトー氏も述べているが、ネット上の名誉毀損・侮辱などに対して開示請求が通りやすくなっている。それ自体は悪い話ではないのだが、こういう「法が変わる」局面では、必ずそれを悪用するヤカラが大量に現れるのが世の常である。

開示請求の場合はいわゆる「リツイート罪」と呼ばれる、他人のポストをリツイートしただけでも「拡散を手伝った」として開示請求を受け、それが通ってしまうという事案が続出している。

となるとどうなるか。

それを考えるために、私がジャーナリストとして本気で追い回した「東村山問題」という実際にあった事件、それに伴う膨大な裁判について、第2~3回でご紹介した。

すでに故人なのが救いだが、東村山市議会には「裁判所に判決文で認定された濫訴魔」という、中々レアな怪人が市議として居座っていた。その男の名は矢野穂積といい、1995年に議席譲渡事件という民主主義や選挙制度を揺るがす大事件を起こした張本人(おそらく絵を描いたのはこの男)である。

余談だが、議席譲渡事件のもうひとりの当事者である朝木直子はまだ東村山で市議会議員を続けていることを付け加えておく。

この東村山問題の主役とも呼べる矢野穂積は悪知恵だけは回るタイプで、民主主義を悪用するためならばどんな努力も厭わないという怪物である。たとえば人生で "4桁" 起こしていて不思議じゃないと言われている裁判にしたって、殆どの裁判で自分で訴状を書いており、弁護士費用を使わないのだ。

よって、弁護士を使った時点で訴えられた相手は大きな損害を被ることになり、矢野穂積に目を付けられただけで人生が狂うという、とんでもないヤカラだった。

その実例として具体的な話があった方がよかろうと第3話にまとめたのだが、約10年の間に東村山市が裁判費用として2,400万円もの税金を無駄遣いさせられたことはインパクト充分であろう。

矢野という男は、市議会議員ならば市議会の議題に挙げて解決すべき事案でも、いきなり訴えて相手に攻めかかるという意味不明な挙動を選び続けたのだ。それによって自分達の政治家としての活動実績とし、自分が発行している政治ビラ(東村山市民の家に勝手に投函される)に偏向した情報を書き立て、約20年もの間市議会議員の立場を守り続けたのである。

こんな怪物がもし今現在の開示請求のハードルが極端に下げられた時代を生きていたらどのような悲劇が起きていただろうか。

勘違いしているひとがあまりに多いので改めて言っておくが、裁判になった場合に弁護士を雇うと、その費用は依頼した人間が支払うことになる。よく「裁判費用は◯◯が負担」といった判決文を読んで、弁護士費用も負けた方が払うんだと思っている方もおられるが大間違いだ。弁護士費用(成功報酬や出張費などなど)は、裁判に勝とうと負けようと依頼を出した人間が払わねばならないのである。

だから東村山市は矢野穂積相手の裁判で2,400万円なんていう桁違いの金(市民の税金)をドブに捨てねばならなくなったのだ。

この基本中の基本だけは絶対に頭に入れておいて欲しい。


やられた側は逃げ場のない示談金ビジネス

もしあなたが矢野穂積のような狂人・怪人に目を付けられ、相手は殆ど金がかからない状態で次から次に裁判を起こされたら、どう対応すればいいだろうか。

普段は強がって「◯◯すりゃいいじゃんw」なんて言っている人間でも、いざ実際にそのような狂犬に噛みつかれたら、慌てて警察や弁護士事務所に相談しに行くだろう。

度を越した狂人を相手に、冷静に「じゃあこっちも自分で答弁書書くわ」なんて冷静に対応できる人間は中々いない。

だから世の中には "示談金ビジネス" という悪魔のような所業がまかり通ってしまっているのだ。

開示請求が通ってしまったら、イニシアチブはすべて相手が握ることになる。こちらは相手がどう動いてくるかを待つ以外にない。

ただ、ここで注意すべきなのは「実際に裁判を起こされるとは限らない」という点である。

弁護士を雇って裁判をしたところで、勝っても(無実を証明しても)数十万円という多額のお金を失う。だからなるべく金をかけないように開示請求をして、それが通ったら和解金の支払いを要求して来るのである。

「裁判になったら弁護士費用で数十万円飛びますよ。いま和解金を払うなら10万円で勘弁してあげますよ」と。

自分に非がなく、絶対に金など払いたくないと思っても、裁判を起こされてしまったら絶対に金がかかる。それが嫌ならば弁護士を雇わずこちらも本人訴訟で立ち向かうしかないが、繰り返しになるがそんな芸当が出来る人間は少数派だ。

頑張って戦い抜いたとしても、裁判が終わる頃にはメンタルがぶっ壊れて社会復帰が出来なくなっている可能性すらある。ごく普通の人間にとって、裁判というのはそれほど心を削られるものである。

開示請求が通ってしまった時点で、ヤラれた側はそういった展開を覚悟し、また受け入れなければならないのだ。

だからこそ先に挙げた "示談金ビジネス" が成立してしまうのである。


いま望めるのは発信者情報開示の見直し

こうした状況は民事訴訟・裁判権に関するバグだと思うのだが、この辺りの法律を変えるには時間がかかるため、もっと大きな社会問題になってからじゃないと何の動きも起こらないだろう。

なんせ発信者情報開示の簡略化、個人情報保護とのバランスの考え方に関しては、数え切れないほどのSNSリンチなどが起こり、何人もの自死者を出し、その上で司法が「こうすべき」と考えを改めたという経緯がある。

それを再び修正するとなると、それ相応の理由が必要となる。

特に問題なのは先にも話したが「RTしただけで罪」というRT罪という悪しき前例である。フェミトー氏とは個人的な繋がりがあるので、当該ポストなどを教えて貰ったが、完全にRTしただけという絵に描いたようなRT罪だった。これでなぜ開示請求が通ってしまったのか意味が分からないレベルだ。

司法に思い出して頂きたいのは、開示請求のハードルを引き下げ、SNSを悪用した誹謗中傷などを防ぐことと同様に、そもそも個人情報を守ることも大切だという一点である。

もしかすると司法の立場では「開示命令を出した後に裁判所で白黒つければいい」と考えているのかもしれないが、しつこく述べて来たように一般市民からすると開示請求が通った時点で、数十万円の損金を覚悟せねばならないのである。

今のご時世、それが一発で人生を狂わせるダメージになるということを忘れないでいただきたい。

「裁判所・裁判官の判断を改める」のであれば、法の改正よりか遥かに時間がかからないのだから、今現在こういう悪質なヤカラが生まれてしまっているという状況を踏まえ、早急に考え方を変えて頂きたいと心から願う。

こういう事情から、私はフェミトー氏が巻き込まれたRT罪裁判を応援しているのである。これで妙な判決が出てしまったら、誰もが「社会問題などについてRTしただけで数十万円飛んで行く」という悲惨な目に遭うかもしれないのだから。

このお話に興味がある、応援したいという方は、フェミトー氏の裁判支援をよろしくお願いいたします。


※ 本文は以上です
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