家の心音(いえのしんおん)

時の音を聞くのは、

自分の命の音を聞くようです。


先日ひょんなことから、

機械式の壁掛け時計が

我が家の一員となりました。

機械式というのは、

電池ではなくて、ゼンマイ巻いて動くのです。

チクタクチクタク、ボーンボーンと

『ザ・時計の音』がする、時計です。

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私も夫も、

そういう時計と暮らすのは初めてでした。


夜中には音が大きくて、子どもが眠れないんじゃないか…

とかいう考えも一瞬よぎりましたが、

私は、

シーンとした無音で急にガタッとか物音がしたり(大体ネコとかヘビとは思いますが)、

この家の辺りでは名物の

夜中にビュービュー不規則に強く鳴る風の音の方が

怖くて眠れないので、


落ち着いた鼓動に近い

規則正しいアナログ音があると、

逆に安心、と感じました。

そして、子どもも、グーグー寝ています。



この時計、

振り子の奏でる秒針音が、とても良いのです。


生きている音、というか、

この家に心臓があるのなら、

きっとこういう音なんだろう、

と思わせる音なのです。


加えて各時間の始まりに時間の回数と、

30分に1回、

ボーンと鳴ってくれるのですが、

その音も大変素敵です。


ある時は

お坊さんの撞くお寺の鐘の音のように聞こえ、

またある時は

ヨーロッパの教会の鐘の音にも聞こえます。


「いいものなんですよ」

という譲っていただいた方のお言葉通りでした。


「心が鎮まる音がする良い時計」

というジャンルがあることを、

知りました。


合掌です。


自分の脈動、

お腹にいたときの子どもたちの心音、

記憶の奥深くに残る母の胎内で聞いた心音。


そんな風に聞こえます。


自分の心臓も、この時計の音のように、

休まずに脈打ってくれています。


時は止まらず、

生命の時間もまた流れていきます。

と、時計が言っているようです。


私たちをいつも包んでくれてる家が、

機械式時計を通して私たちに伝わる言葉をもったように、

時間を知らせてくれるように想像するのが、

嬉しい日々です。










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