テスト:第六話
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早速、私たちはデートの約束をした。帰宅部の私は藤野君の都合のいい日を聞いた。今週の日曜日は天気が雨であったため、私は藤野君の家に行くことにした。
そして当日、玄関のチャイムを聞いて出てきた藤野君は私に言った。
「すっぽかされると思ったけど、本当に来たんだね。いきなり家に行くって言い出す女の子、初めてだわ」
「情報収集よ。あんたのこと信用してないからこそ」
「いや、普通、信用のない男の家なんて来ないよ」
「常識ある振りなのか。でも心配しないで。あんたのここ最近別れた元カノに聞いたら、割と奥手で全然自分からは手を出してこなかったって裏取ってあるから」
「・・・なんでそんなことまで探り入れるの?」
嫌悪感を示す藤野君は、普通だと思った。しかし、正気ではない。私より藤野君の方が、危険である。私の提案に対し、警戒心を示しつつも家に上がることを許してしまう。彼は脇が甘い・・・それに彼自身の言動に矛盾が孕んでいることに気づいていない。
「怖いなら、あんたの家に上がるの辞めてもいいよ?」
しかし、こんなことを言ったら大抵、男は強がってくる。
「いや、いいよ。上がってって」
「ありがとう。お邪魔します」
彼の部屋に行く。黒いカーテン。黒い椅子。黒で統一されたモノトーンな部屋。漆黒。その中に対照的な真っ白の空手着がかかってあった。
「黒が大好きなの?」
「暗いの好きだし」
見た目は体育会系なのに、なんでこんな暗く冷たいのかと思えば。部屋が暗いからかもしれない。割と繊細だから光の刺激に弱いとか?それはわかる。私もそう。
「ゲーミングPCじゃん。ゲームするの?」
「割としてた時期もあるけど、最近はあまり」
「インドア?」
「そうでもないかな。元カノいた時はアウトドアだったし。でも・・・」
目が泳ぐ藤野君。この部屋では彼本来の弱さが透けて見えてくるようだ。特に、あの空手着。どこかの漫画で見た。大きくなっても空手道場に残るのは弱いいじめられっ子だけだって。学校の時よりも今の彼は小さく見える。この黒く暗い部屋に吸い込まれていきそうな収縮を彼自身に感じる。
「何があったの?」
「女が嫌いで・・・セックスできなかった。吐いちゃった」