テスト:第四話
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「今のやり取りで分かったことがある」
藤野君は再び冷たさを帯びた声色を響かせた。
「結衣を取り巻く退屈感が、恋愛を邪魔しているんだ」
ハッとする単語が並んでいた。
退屈感。恋愛。
「恋愛に冷めている。ただでさえみんなから好きだの綺麗だの言われ慣れて、麻痺している。それが嫌だからって人を避けているけど、本当は一人で寂しいんでしょ」
「・・・寂しい、というか。話しても意味ないっていうか・・・退屈」
「それってたぶん、君が本当の恋愛を知らないからじゃないかな」
「・・・・・・」
本当の恋愛?・・・何言ってんのこいつ。
「教えてあげようか?・・・でも、教えるためにはまず、恋人同士にならないとね」
「は?藤野前夜、調子乗るなよ。なんで私があんたの恋人にならなきゃいけないの?」
「退屈してるから。俺も、君も」
「・・・・・・・」
退屈しのぎ、か。
そうだ、彼は何一つ間違っていない。恋愛とは、退屈を破壊できる起爆剤のようなもの。
「いいわよ。乗った。でも、初めに言っておく。恋愛なんてのはただの幻想よ!脳内にドーパミンが発生して・・・」
私が語り始めると、急に藤野君は私に顔を近づけてきた。
「よし、じゃあまず手始めにそのドーパミンとやらを出そう」
「・・・あ?どうやって」
「セックスとか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
こうして私たちの恋愛は、幕が開くことなく終わってしまったのだった。